- カードローンの返済期間をどのように決めるのか知りたい
- 返済期間が利息や総返済額に与える影響が知りたい
- カードローンの返済期間、返済期限、契約期間の違いを理解したい
借りたお金を利息とともに返し終わるまでの期間を意味する「カードローンの返済期間」は、お金を借りる前に慎重に検討すべき項目だ。
カードローンの場合、契約によって返済期間が定められているわけではない。
しかし返済期間について十分に検証しないままお金を借りた場合、毎月お金を返し続けてもなかなか完済できない、という悩みを抱える可能性がある。
そこで本記事ではまず、返済期間が利息や総返済額に与える影響や返済期限や契約期間との違いについて、またこれらを踏まえた上で、カードローンの返済期間を適切に設定するための考え方について説明する。
本記事を読めば、無理のない返済計画を立てるために欠かせない知識を身につけられる。返済の負担を最小化できるだろう。
カードローンの返済期間とは?返済期限や契約期間との違い
返済期間・返済期限・契約期間という3つの用語には、次のような違いがある。
用語 | 定義 |
---|---|
返済期間 | 借入金を全額返済するまでの期間 カードローンでは任意に決定できる |
返済期限 | 借入金を返済し終えなければならない期日 契約で決定されるのが一般的 カードローンでは、返済期限の定めがないことが多い |
契約期間 | 借入契約を結んだ日から始まる取引期間 カードローンでは通常5年間の契約が一般的 契約が満了すると、自動的に更新されることが多い |
それぞれについて、詳しく説明する。
カードローンの返済期間とは
返済期間とは、借入日から完済するまでの期間だ。毎月の返済額や金利によって変動する。ただしカードローンの返済期間は、契約上設定されるものではなく、任意に調整できる。
たとえば返済期間を短くして早く完済したい場合は、毎月の返済額を増やしたり臨時返済したりといった方法で、借入したお金である元金の返済を進めればよい。
逆に月々の返済の負担が大きいときは返済期間を長くして、1回あたりの返済額を減らすことで、延滞のリスクを避ける方法もある。
カードローンの返済期限とは
返済期限とは、借りたお金を返し終える日のことであり、具体的な日付が設定される。たとえば住宅ローンであれば、返済期限は35年と設定されるケースが多い。
しかし、借入可能額の範囲内であれば何度でも借入できるカードローンの場合、返済期限は設けられていないケースがほとんどだ。
ただし完済の期としての返済期限が指定されていないカードローンでも、期日は存在する。それが、毎月訪れる返済期日だ。
毎月の返済期日とは、カードローン会社と借入契約を締結した際に決定される、借りたお金を返す日のことだ。カードローンを契約した際に具体的に決定される。
毎月の返済期日は、カードローン会社や契約内容によってさまざまだ。
たとえば消費者金融のアコムの場合は、35日ごとに毎月の返済期日が訪れる。
最初の借入時は借入日の翌日から35日目、2回目以降は前回返済日から数えて35日目が返済期日だ。
また銀行カードローンの住信SBIネット銀行カードローンは、毎月5日を約定返済日として定めている。
約定返済日とは、金銭消費貸借契約書に定められた支払期日のことだ。約定返済日が休日に当たる場合は、翌営業日が返済期日だ。
複数のカードローン会社と契約する場合、それぞれに毎月の返済日が異なるケースが多いため、返済し忘れることがないように管理する必要がある。
万が一毎月の返済日に支払いが間に合わない場合は、毎月の返済額に加えて遅延損害金を支払わなければならない。
また信用情報機関の把握する金融情報にもネガティブな実績が残るため、将来的な借入に影響を及ぼしかねない。
カードローンを利用する場合は、毎月の返済期限を守ることが重要だ。
カードローンの契約期間とは
契約期間とは、契約書に記載される借入可能な期間のことだ。借入の審査を通過した段階で、契約期間が設定される。
カードローンの場合は、5年程度の契約期間が設定されるのが一般的だ。
契約日以降の契約期間中はいつでも、契約金額の範囲内での借入が可能である。
たとえば50万円の借入契約を締結し、一旦20万円借入するとしよう。この場合、まだ30万円まで借入する枠が残されているため、契約期間内であれば、追加での借入が可能だ。
またカードローンの場合、契約期間内に借りたお金のすべてを返済できなくても問題ない。
契約満了日を迎えると、自動的に更新される。契約更新のタイミングで借入残高がある場合は、自動的に引き継がれる。したがってそれまでと同様に、返済や借入といった取引を続けていけばよい。
ただし、契約期間内に返済が滞ったり、収入が極端に減少したりといった事情がある場合は、契約更新されない、もしくは契約更新の際に借入限度額が減少するといった可能性もある。
カードローンの返済期間はどうやって決める?
カードローンの場合、返済期間が明確に定められていない。
借入金をまとめて一括で返済して早々に完済する方法もあれば、月々の返済の負担を減らしながら長期間にわたって返済する方法もある。
しかしカードローンの返済期間は、借入総額に大きく影響をおよぼす要素だ。返済能力と返済計画に則って、慎重に検討した上で設定しなければならない
そこで返済期間と利息や総返済額との関係性といった観点から、返済期間をどうやって決定すればよいかについて、説明する。
返済期間を決める際に考慮する要素
月々の返済額と返済期間のバランスを取るなら、次の要素を総合的に検討する必要がある。
- 収入と支出のバランス
- 返済能力
- ライフプラン
- 緊急時の備え
- 金利
収入と支出のバランスは、返済期間について考える際の前提条件である。
まずは毎月の収入額を把握し、返済額にいくら充当できるかを確認する。このとき、支出についても考慮し、無理のない返済額を設定することが大切だ。
なお考慮すべき支出には、直近の生活費の他に、結婚や子供の教育といった将来の大きな支出のほか、病気や失業といった予期せぬ事態への備えが含まれる。
返済期間を短くしたいと考えるあまり無理な計画を立てると、月々の負担が大きくなるため、注意が必要だ。
支出が多い場合は収入を増やす努力を重ねると同時に、一時的に返済期間を長く設定して、月々の負担を軽減するのもよいだろう。
また返済期間に大きな影響を及ぼす要素として、金利がある。金利が高い場合は、返済期間を短くすることで総返済額が抑えられる。
また金利が低い場合は返済期間を長くしても総返済額が大きく増えることがない。
金利は各金融機関や金融商品によってさまざまだ。借入前に各社の金利をチェックすることが大切だ。
またすでに借入している場合は、より金利が低い商品への借り換えや、おまとめローンの利用を検討するのもよいだろう。
返済期間と利息・総返済額の関係性
返済期間が長くなるほど借入金に対する利息は増加する。利息は、借入した元金のうち未返済の金額に対して加算されるためだ。
実際の数値を当てはめて、返済期間が利息や総返済額に与える影響をシミュレーションしよう。
ここでは、100万円を年利15%で借り、1年で返済する場合と5年で返済する場合、返済期間が異なる2つのケースを想定して算定したのが下の表だ。
返済期間1年 | 返済期間5年 | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 約9万258円 | 約2万3,789円 |
総返済額 | 約108万2,844円 | 約142万7,340円 |
支払う総利息額 | 約8万2,844円 | 約42万7,340円 |
同じように100万円を年利15%で借りても、返済期間が1年の場合と5年の場合では総返済額に大きな差異があることに気づくだろう。
5年の返済期間の場合、月々の返済金額は7万円近く安価になるため、返済の負担が大きく減る。しかし返済期間が5年の場合、1年で完済したときに比べて、総利息額が増大する。
返済期間が長くなるほど返済の負担が増すことが、おわかりいただけただろう。
返済期間を長くしすぎないためのポイント
カードローンの返済期間を適切に設定するためには、いくつかのポイントがある。
- 金利が低いカードローンを利用する
- 家計のバランスを考える
- ライフプランを見直す
- 繰り上げ返済を活用する
返済期間を長くしすぎないためには、金利が低いカードローンを利用することが大切だ。
金利が高い場合、毎月の返済額の多くが利息に充当されるため、元金が減るペースは遅くなる。
一方で金利が低い場合は、同じ金額を返済してもより多くの部分が元金の返済に充当されるため、返済期間を短くできる。
また家計のバランスについて、短期と長期の両方の期間から見据えて、返済期間を調整することが可能だ。
たとえばファミリー世帯の場合、子供が小さいうちは子供の教育費がかかるだろう。また定年退職後の老後の生活費の蓄えも必要だ。
そのため大きなライフイベントがないタイミングでは繰り上げ返済して元金を減らし、大きな支出が見込まれる時期は返済期間を長く設定して月々の負担を抑える、といった方法でバランスを取るとよいだろう。
適切な返済期間の設定には返済シミュレーションツールの活用が必須
カードローンの借入に先立って返済期間を検討する場合は、返済シミュレーションツールを活用すると便利だ。
先の項で示したように、手計算でカードローンの金利から1カ月あたりの利息を算定し、返済期間によって変動する総利息額を算定することは可能だ。
しかし細かな数字の計算になるため煩雑である。また、ささいな計算ミスで誤った数値を割り出してしまうこともあるだろう。
こういった手間やヒューマンエラーを回避しながら、速やかに返済計画を立てるなら、返済シミュレーションツールの利用が欠かせない。
返済シミュレーションツールは、カードローン各社の公式サイトに用意されているケースが多い。
借入金額ごとの金利をカードローンの公式サイトで確認する際に、返済シミュレーションツールも利用し、返済計画についても検討をした後に審査申し込みするとよいだろう。
なお返済シミュレーションツールを利用する際は、返済期間ごとにかかる利息や返済総額を必ずチェックしたい。
具体的には1年で返済した場合、2年で返済した場合、と返済期間を変えながらシミュレーションし、月々の返済額がどのくらいであれば利息を最小に抑えながら家計を圧迫せずに返済が可能なのかを確認しよう。
また借入れ後に収入が増加した場合や、臨時で収入があった場合にも、返済シミュレーションツールを利用して、追加で返済した場合の今後の返済状況や利息額の変化について確認するとよいだろう。
返済期間を短縮するメリット
返済期間を短縮すれば、次のようなメリットが期待できる。
- 総利息額の削減
- 早期の借入金完済
- 信用力の向上
返済期間が短くなれば支払う総利息額が減少する。これによって借入金のコストを抑え、早い段階で借入金を完済できる。
精神的な負担が軽減されるほか、将来的な資金計画も立てやすくなるだろう。
また早期に借入金を完済した実績は、信用情報機関の情報にも記録される。これによって信用力が向上し、将来新たな借入が必要になった際に、有利に働く可能性がある。
ただし無理に返済期間を短くしようとしすぎた場合、家計を圧迫する可能性が高いため、十分に注意したい。
返済期間を短縮する具体的な方法
返済期間を短縮する方法には、次の2つがある。
- 繰り上げ返済
- おまとめローンへの切り替え
繰り上げ返済とは、毎月の返済額とは別にまとまった金額を前倒しで返済する方法だ。
繰り上げ返済すると、多く返済した分のお金は元金のみに充当される。効率よく支払利息を減少させられるのが、繰り上げ返済のメリットだ。
たとえばボーナスが入った場合に、毎月の返済額にボーナス分を上乗せして支払えば、元金を減らせる。これによって利息を減少させ、総利息額を減らせられる。
もう一つの返済期間を短縮する方法は、おまとめローンに乗り換えることで実現可能だ。
まとめローンとは、複数のカードローン会社から借りているお金を一社にまとめる方法だ。
カードローン会社からの借入に課される金利は、借入金の額が高いほど低くなる傾向にある。
つまり小額を複数のカードローン会社から借りるよりも、それらの金額をまとめて1社で借りた方が借入れ総額が増えるため、低金利で借りられる可能性が高まる。
このとき大切なのは、これまで複数のカードローン会社に支払っていた返済金額をそのまま、おまとめローンの返済に充当することだ。
おまとめローンへの乗り換えで金利が下がる分だけ、元本充当額が増える。効率よく元金を減らせるので、返済期間を短くし、総利息額も減らすことが可能だ。
カードローンの返済期間を適切に設定して安くお金を借りよう
カードローンの返済期間には明確な定めがないため、任意に設定できる。自分の収入状況に合わせて、決定できるのはメリットだ。
しかし返済期間が長くなるほど総利息額が増えるため、収入と支出の状況を加味しながらも、長すぎず短すぎない適度な返済期間を設定することが大切である。
収入状況と返済期間の適切なバランスを測るなら、金融機関のシミュレーションツールを利用したい。
シミュレーションツールを活用すれば、利息や総返済額を確認しながら、無理のない返済計画を立てられる。
この記事を読んで返済期間について理解を深めたなら、すぐに自分に合ったカードローンに申し込み、無理のない返済計画を立てよう。