- カードローンの繰り上げ返済を上手に活用したい
- 繰り上げ返済のメリット・デメリットを理解したい
- カードローンの繰り上げ返済の手順や注意点が知りたい
カードローンの返済方法のひとつに「繰り上げ返済」がある。繰り上げ返済を上手に活用すれば、返済の負担軽減に繋げることも可能だ。
一方、かえって家計への負担が増えてしまうことも珍しくないため、繰り上げ返済は計画的に行うことが重要であるといえる。
カードローンの繰り上げ返済は、いったいどのような点に注意すれば有効に活用できるのだろうか。
本記事では、カードローン繰り上げ返済の仕組みからメリット・デメリット、効果的なタイミングを紹介する。
カードローンの繰り上げ返済とは?基本的な仕組みを解説
カードローンの繰り上げ返済とは、毎月定められた返済額である約定返済額よりも多い金額を任意のタイミングで返済することである。
カードローンの利息は、借り入れた元本に対して金利が掛けられて発生する仕組みだ。そのため元本を早く返済できるほど利息の支払いを減らすことができる。
繰り上げ返済の具体的な方法や手順は、利用しているカードローンの商品や金融機関によって異なる。
一般的にはインターネットバンキングやATM、口座振込など、複数の返済方法の中から任意の方法を選んで手続きを行える。
なお、金融機関によっては、繰り上げ返済の回数を月2回までに限定するなど、制限を掛ける場合がある。
自分が利用しているカードローンで繰り上げ返済をする際には、事前に金融機関の規約等をチェックし、条件を確認しておこう。
カードローンの繰り上げ返済のメリット
では、繰り上げ返済をすることで、具体的にどのようなメリットを得られるのだろうか。
利息の負担を減らせる
カードローンを繰り上げ返済する最大のメリットは、利息の負担を減らせることだ。
カードローンの利息は借入残高に対して日割りで発生する。繰り上げ返済により約定返済額以上の返済を進めれば元本の減りが早まり、その分利息の発生を抑えられる。
例えば、100万円を年利18.0%のカードローンで借り入れ、毎月3万円を約定返済するとしよう。
この場合、毎月の約定返済額3万円のうち、当初は利息と元本の返済はそれぞれ15,000円程度。その後は徐々に元本の返済割合が増えていき、48カ月後に完済となる。
12カ月目に10万円の繰り上げ返済を行うと、その後に発生する利息は小さくなる。
総利息支払い額も繰り上げ返済なしの時の約40万円に対し33万円強と、6万円ほど圧縮されるのも大きい。
このように、繰り上げ返済は利息を減らし、総利息を圧縮する効果が期待できる。
また、同じ金額を繰り入れるとしても、元本残高が多い初期に行うほど利息の圧縮効果は高まる。
返済期間が短縮できる
繰り上げ返済は利息を減らせるのと同時に、返済期間を短縮する効果も期待できる。利息が発生しなくなる分、返済額の多くが元本に充てられ、完済が近づくということだ。
前述と同じ条件の借入中、12カ月目に10万円の繰り上げ返済を行った場合、返済期間は48カ月から43カ月に短縮される。
24カ月目に再び10万円の繰り上げ返済を行うなら、返済期間は38カ月とさらに短縮できる。
返済期間中は収入の一部が返済に回され続けるため、生活資金不足を感じることも多いだろう。
毎月の返済から解放されることで生活が楽になり、精神的にも余裕を持てるようになることからも、繰り上げ返済が持つメリットの大きさがうかがえるだろう。
再度借り入れできる枠が生まれる
カードローンの繰り上げ返済は、大部分が元本返済に充てられる。
カードローンは借入額が利用限度額に達するまでは何度でも利用できるため、繰り上げ返済を積極的に行うほど、再度利用できる枠が生まれることになる。
もちろん、常に利用限度額まで使い続けることを推奨はしないが、必要な時に使えるカードローンがあるという状態は、精神的な余裕を生む側面もある。
実際に借り入れるかどうかは別にして、繰り上げ返済によってカードローンを再度利用できる余地を作るのは、利息を抑える面においても、精神衛生の面でもいい効果が生まれるだろう。
精神的なストレスから解放される
カードローンの借入残高が減ることにより、精神的なストレスの軽減も期待できるだろう。
常に厳しい返済に追われる日々を過ごしていると、人は徐々に精神が疲弊するものだ。
いつ終わりが来るのかわからない返済を続けているうちは重圧が常にかかり続けてしまうが、繰り上げ返済により返済期間の終わりが見えてくるようになると、最後まで頑張ろうという気力が沸いてくるはずだ。
カードローンを繰り上げ返済するデメリットと注意点
一方、繰り上げ返済はメリットだけがあるわけではなく、ある程度のデメリットがある点も理解しておかなければならない。
手元の資金に余裕がなくなる恐れがある
無理な繰り上げ返済を行うことで、手元の資金に余裕がなくなることが考えられる。
繰り上げ返済は確かに利息を減らす効果があるが、生活費や用途が決まっている資金まで繰り上げ返済に充ててしまうと、いざというときに使えるお金がが手元になくなってしまうだろう。
繰り上げ返済をすればその分借入可能額が回復するため、必要な金額を再度借りればいいと考える人もいるだろう。
しかし、カードローンの利用状況に問題があると、急きょ利用限度額を引き下げられてしまい、資金を調達できなくなるかもしれない。
また、日常的に借入をする習慣を身につけてしまった結果、常に利用限度額いっぱいまでの借入状態が続き、本当に必要な時に利用できる枠がなくなってしまうことも考えられるだろう。
カードローンの利用中は、収入が途絶えた時への備えである生活防衛資金に加え、ある程度自由に使える自己資金を手元に残しておく状態を維持するのが望ましい。
一部のカードローンでは手数料がかかる場合がある
一部のカードローンでは、繰り上げ返済時に手数料を請求されるケースがある。
金額はそれほど大きくないとはいえ、利息を減らすために手数料を支払うことになるため、結果的に総支払額が変わらず繰り上げ返済のメリットを享受できなくなる可能性がある。
特に頻繁に繰り上げ返済を行う場合には注意が必要だ。繰り上げ返済を繰り返した結果、コストばかりがかさむことにならないよう、ある程度まとまった金額が出来てから繰り上げ返済するのが望ましいだろう。
通常の返済日にも返済する必要がある
繰り上げ返済は、あくまで臨時の返済に当たる。ある程度大きな金額を繰り上げ返済したとしても、毎月の約定返済が免除されるわけではないため、定期的な返済も並行して行わなければならない。
思い切って手持ちの資金を全て繰り上げ返済に充てた結果、約定返済する資金がなくなり延滞を引き起こすことも考えられる。
そうなると延滞金を支払う必要があるほか、信用情報にも延滞の記録が残るといったペナルティを科せられることになるだろう。
無理な繰り上げ返済がかえって苦しい状況を招かないよう、返済は計画的に行おう。
適切なタイミングを見極める必要がある
前述の通り、早期の繰り上げ返済は利息の圧縮効果が高く、総利息を大きく削減することが期待できる。
100万円を年利18.0%で借り、毎月3万円ずつ返済するケースにおいて10万円の繰り上げ返済を行う場合、6カ月目と12カ月目では総利息に15,000円ほどの差が生じる。
もちろん、繰り上げ返済の時期が遅くなることがデメリットになるわけではないが、利息を圧縮する効果を最大にするなら、できるだけ早く繰り上げ返済できるのが理想だろう。
とはいえ、無理な繰り上げ返済をした結果、生活に支障を来してしてしまうのは本末転倒だ。
繰り上げ返済はあくまで計画的に無理がない範囲で行うのが望ましい。闇雲に繰り上げ返済を行うことがないよう、必要なお金は手元に残せるような返済計画を立てるとよいだろう。
カードローンの繰り上げ返済はどのようなケースで有効なのか
カードローンの繰り上げ返済にはさまざまなメリット・デメリットがある。では具体的に、どのようなシチュエーションで繰り上げ返済を行うのが効果的なのか、ケース別に見てみよう。
ボーナスなど多額の収入を得たタイミング
カードローンの繰り上げ返済が特に有効なのは、ボーナスなど多額の収入を得たタイミングだ。
ある程度まとまった資金を繰り上げ返済に充てることで、利息の大幅なカットや返済期間の短縮が見込める。
特に約定返済の後に行う繰り上げ返済は、金額のほぼ全てが元本返済に充てられるので、利息の圧縮効果は非常に大きいといえる。
約定返済にボーナス払いを設定していないようなら、ボーナスの使い道としてぜひ選択肢に入れてほしい。
繰り上げ返済は高金利のカードローンから優先する
もし複数のローンを利用している場合、優先的に返済したいのは金利が高いカードローンである。
カードローンは契約時に担保の設定を必要としない無担保ローンであるため、他のローンよりも高い金利が設定されている。
仮に100万円を月3万円返済、60回払いで借りているローンがある場合、金利18.0%のカードローンと金利5%のその他のローンを比べると、最初12カ月の間に支払う利息はカードローンが約12万円ほど高くなる。
住宅ローンやマイカーローンは利用する金額が大きいため、優先的に返済したいと思う人も多いだろう。
しかし、同じ元本で比較すると高金利のカードローンのほうが負担は明らかに大きくなるため、優先的に返済するのをおすすめしたい。
早期の繰り上げ返済は利息削減に効果的
もし手元の資金に余裕があり、繰り上げ返済をするタイミングを自由に選べるようなら、できるだけ早期に繰り上げ返済するのがおすすめだ。
返済金額における元金と利息の合計額が常に一定の元利均等返済においては、返済日が早い時期であるほど利息の割合が高い。
そのため返済を続けてもなかなか元本が減らず、高い利息を生み続けることになるため、可能な限り早く元本を減らすのが理想的だ。
複数のカードローンを利用中なら「おまとめローン」という選択肢も
複数のカードローンを利用し、利息の支払いに四苦八苦しているようなら、おまとめローンを利用するという選択肢もある。
おまとめローンは、複数のローンを一本化し返済しやすくするためのローン商品だ。
一般的なカードローンよりも最低利率はやや高めに設定される商品が多いものの、おまとめローンでは新たに融資を受けられないため、結果的に返済速度が速まると期待できる。
実際におまとめローンに適用される金利は一般的なカードローンと同程度に高いため、繰り上げ返済による利息の圧縮効果は高い。
もし複数のカードローンを使い回して元本が減らない状態が続いているようなら、借入を増やさずに返済を進めやすいおまとめローンを繰り上げ返済先に設定するのがおすすめだ。
返済額が減ってきたタイミングにまとめて返済
毎月返済する金額のうち、元金の返済分が一定となる返済方法が元金均等方式だ。
元金均等方式は返済初期ほど約定返済額が大きくなり、返済が進むとともに小さくなっていく。繰り上げ返済を早期に行うほど圧縮効果が高いのは元利均等方式と変わらない。
元金均等方式における返済後期は、返済額の大半を元本が占める。
こうなると繰り上げ返済による利息の圧縮効果は小さくなるが、ローン返済のゴールである完済まで繰り上げ返済で一気に進めてしまうのもよい選択だ。
もちろん、生活防衛資金を使ってまで繰り上げ返済する必要はないが、ローン返済を終えて毎月の支払いから解放される日を早く迎えるのも、長い目で見ればメリットが大きいだろう。
繰り上げ返済はカードローンユーザーの強い味方
カードローンの繰り上げ返済には、利息の削減や借入限度額の回復といったメリットがある。
しかし、手元資金が不足するリスクや、手数料負担の可能性など、デメリットや注意点も理解しておく必要がある。
繰り上げ返済が効果的なのは、借入初期のタイミングだ。早期に元本を減らせば、それだけ利息発生スピードは低減しやすくなるだろう。
なかなか繰り上げ返済に回せる資金の余裕を持てないという人は、できるだけボーナスなどでまとまったお金が入ったタイミングで、一部でも繰り上げ返済に回すのがおすすめだ。
繰り上げ返済は、カードローンユーザーにとって強力な味方となる選択肢だ。
ただし、メリットとデメリットをよく理解し、自身の財務状況を見極めたうえで活用することが大切である。