- 他社借入がある場合でもカードローンが組めるか知りたい
- 他社借入に含まれるものが何か知りたい
- 審査時に他社借入を申告する際の注意点が知りたい
他社借入とは、すでに複数のカードローンを利用している状態だ。
他社借入があっても、難なく審査通過するケースはいくつもある。しかし同時に、他社借入が審査に及ぼす影響については、無視できない。
そこで本記事では他社借入について説明し、さらにカードローンの審査に及ぼす影響や、申告時に注意すべき点を詳しく解説する。スムーズな審査通過を目指す参考にしていただきたい。
他社借入とは?カードローン審査での定義
他社借入とは文字どおり、カードローンで他社から借りているお金だ。他社借入は、審査の成否に大きな影響を及ぼすため、正確に把握することが欠かせない。
ところでなぜ、他社借入はここまで重要視されるのだろうか。その理由を、他社借入をチェックする手続きが果たす、2つの目的から説明する。
- 法的要件の順守
- 返済能力の評価
法的要件の順守
他社借入の確認は、法で定められた総量規制に抵触しないために重要な手続きだ。
総量規制とは、借り過ぎや貸し過ぎを防ぐために設けられたルールである。具体的には、年収の3分の1を超える金額を貸してはならない、と定められている。
たとえば年収300万円の場合、貸金業者が貸せるのは100万円までだ。なお100万円とは、すべての貸金業者が貸せる額の総計だ。
他社借入の総計が65万円と仮定すると、100万円からすでに借りている額を相殺した残りの金額、つまり35万円までしか貸せない計算だ。
万が一にも総量規制を超えて貸付した場合、カードローン会社には貸金業登録の取り消しや罰金が課される。
他社借入を確認し総量規制に対処することは、カードローン会社にとって必須の手続きだ。
- 出典:金融庁「貸金業法Q&A」
返済能力の評価
他社借入は、申込者の返済能力を評価する指標だ。
たとえば他社借入があっても滞りなく返済している場合は、返済能力を裏付ける証拠となる。審査に良い影響を及ぼす要素となるだろう。
では、他社借入で遅延の実績がある場合はどうだろうか。返済能力が十分ではない、と判断される可能性が濃厚だ。さらに今後、支払い不能に陥る不安も払拭できない。
また過去の他社借入の中で債務不履行に陥った実績がある場合、新たな借入は難しくなる傾向が顕著だ。
カードローン会社にとって、貸したお金が返ってこない事態は、何としても避けなければならない。
カードローン審査で申告する他社借入には何が含まれるか?
他社借入というと、すべての借入が含まれる印象を持つだろう。しかし実際は、そうではない。カードローンの申請時に報告する必要があるものと、そうではないものがある。
他社借入に含まれるものと含まれないものの違いについて、説明する。
他社借入に含まれるもの
カードローンをはじめとする貸金業者からの借入は、他社借入に含まれる。代表的なものを挙げると、次のとおりだ。
- 各種のカードローン(信販会社や消費者金融業者など)
- クレジットカードに付帯するキャッシング枠の利用
- その他の貸金業者からの借入
- 銀行系のカードローンやフリーローン
他社借入に含まれないもの
カードローン以外の借入の多くは、他社借入には含まれない。具体的には、次のとおりである。
- 各種の目的別ローン(住宅・自動車・教育など)
- クレジットカードのショッピング枠
- 国や地方自治体からの借入
- 奨学金
- 個人からの借入
他社借入に含まれるものと含まれないものの違い
ここで、疑問が沸き起こるだろう。なぜカードローンは他社借入で、住宅ローンや教育ローンなどは違うのか。
また、なぜクレジットカードのキャッシング枠とショッピング枠で取り扱いが違うのか、という疑問だ。
他社借入に含まれるものと含まれないものを区別するポイントは、次のとおりである。
- 金利の違い
- 返済負担の違い
- 担保や保証人の有無
- 借入目的の違い
カードローンの多くは住宅ローンや教育ローンといった目的別ローンに比べて、金利が高く、短期間での借入を想定しているケースが多い。
これに対して目的別ローンは、長期的な返済計画をもとに契約を締結するため、金利が低く、返済の負担になりにくいと判断できる。
また目的別ローンは担保や保証人を設定していることがあり、万が一の返済リスクへの備えがある。
これに対してカードローンのほとんどが無担保・無保証人でお金を貸すため、貸し倒れのリスクが高い。
そのため複数のカードローン会社から借りている場合、これらの返済負担を考慮しながら貸付の可否が検討される。
またクレジットカードのキャッシング枠とショッピング利用枠の違いによる取り扱いの違いについては、借入目的の違いに起因する。
クレジットカードのショッピング利用枠は、通常の消費活動に関連するため、返済能力の評価に反映されない。
一方のキャッシング利用枠は、現金の借入であるため返済負担が増える。また金利も目的別ローンより高い傾向だ。
こういったことから、金利が高く返済負担になりやすいカードローンなどと、それ以外の借入を区別するのが一般的だ。
他社借入がある場合でもカードローンを組めるか?
他社借入が原因で、「審査で不利になるのではないか」「借入できないかもしれない」と、不安を感じることもあるだろう。
そこで、他社借入についてよくある、次のような疑問について説明する。
- 他社借入があってもカードローン契約できるか
- 他社借入が多い場合の審査への影響
- 間違って他社借入額を申告したらどうなるか
- 他社借入の状況がわからない場合の対処法
他社借入があってもカードローン契約できるか
他社借入があっても、必要条件を満たせば審査にとおる可能性は高い。ただし次の3つの条件は、必ず満たす必要がある。
- 総量規制の範囲内
- 返済能力を証明できる
- 金融事故がない
総量規制の範囲(年収の1/3以内)であり、これまでに滞納をはじめとする金融事故情報が登録されていなければ、カードローンの審査を通過し契約できる可能性は十分にある。
金融事故情報とは、異動情報とも呼ばれる。事故は、カードローンやクレジットカードなどの支払いが大幅に遅れたり、返済できなくなった場合のことだ。
信用情報機関が管理する個人情報には、事故情報が登録される。いわゆる「ブラックリスト」入りである。
金融事故情報が登録されている場合は、カードローンの契約をできないケースが増大する。
なぜなら、信用情報に情報が登録されている場合、金融機関は支払い能力が低い利用者、と判断されるためだ。
なお信用情報機関には、主に次の3社がある。
- JICC(株式会社日本信用情報機関)
- 消費者金融が加盟
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- クレジットカード会社が加盟
- KSC(一般社団法人全国銀行個人信用情報センター)
- 銀行や信用金庫などが加盟
JICC、CIC、KSCの各社は別の組織だが、相互に情報交換している。
たとえばJICCに登録する消費者金融からの借入で大幅な延滞があり、事故情報が登録されたとする。この場合、審査にとおらない可能性が高い。
さらに登録された事故情報はCICやKSCとも情報共有される。そのため、クレジットカードを作ろうと申し込みしても、審査を通過できないことが考えられる。
- 出典:ベリーベスト法律事務所「任意整理の事故情報はいつから5年で消える?押さえるべきポイント」・JICC(株式会社日本信用情報機関)・CIC(株式会社シー・アイ・シー)・KSC(一般社団法人全国銀行個人信用情報センター)
他社借入が多い場合の審査への影響
他社借入の件数の多さは、審査を難しくする可能性がある。他社借入が増えるほど返済の負担が増大し、債務不履行に陥る可能性が高まるためだ。
たとえば、年収300万円で手取りの月額が20万円前後の場合に、消費者金融のA社とB社から次のような内容で借入していると仮定しよう。
- 消費者金融A
- 借入額50万円、金利18%、毎月の返済額15,000円
- 消費者金融B
- 借入額30万円、金利20%、毎月の返済額10,000円
月々20万円の収入のうち、全体の12.5%、2万5000円が返済額である。
これにさらに消費者金融C:から20万円を、金利15%、毎月の返済額7,000円で20万円を借入した場合はどうなるだろうか。
毎月の返済額は3万2000円となり、月収の16%を返済額が占める計算だ。
家計に占める借金の返済額の理想的な割合は、一般的に手取り年収の20%から25%といわれている。
またこのたとえの場合、総量規制にも抵触していないため、借入できる可能性はある。
しかし家賃をはじめとするその他の支出を考慮した場合、返済が難しいのでは、と判断されるケースもあるだろう。
他社借入が多い場合は、新規申し込みの前に、既存の借入額を減らすために返済を前倒しするといった方法を検討する必要がある。
間違って他社借入額を申告したらどうなるか
申告内容に誤りがある場合、審査に悪影響を及ぼす可能性が高い。
カードローン会社は契約審査において、加盟している信用機関に申込者の情報を照会する。この過程で、他社借入に関する誤りはすぐに明らかになる。
たとえば、他社借入が多いから審査に不利になるかもしれないと考え、実際より少なく申告した場合、どうなるだろうか。
カードローンやクレジットカードの審査に有利に働くどころか、むしろ悪影響だ。
最悪なケースでは、虚偽の申告による詐欺行為として、法的なリスクを負う可能性もある。故意に事実と異なる申告をする事態は、避けなければならない。
申告した他社借入の情報に誤りがあったと気づいた場合は、速やかに審査を申し込みしたカードローン会社に連絡し、修正内容を伝えることが大切だ。
他社借入の状況がわからない場合の対処法
借入審査で申告する内容は、自分自身の信用度を裏付けるものだ。正確に記載することは欠かせない。
しかし、他社借入の状況が正確にわからない場合もあるだろう。
その場合は、次の3つのいずれかの方法で事前に確認したい。
- 借入先の金融機関に問い合わせる
- 信用情報機関に情報開示を請求する
- 借入に関する契約書や銀行口座の取引明細を確認する
借入先の金融機関のカスタマーサポートに連絡すれば、借入残高や返済状況を確認できる。
また、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に自身の信用情報の開示を請求することで、借入状況を確認するのもよいだろう。
信用情報機関に照会をかければ、どの金融機関からいくら借入をしているか、また残高や返済状況を、容易に把握できる。
ただし信用情報機関で情報照会する場合は、料金がかかる点に注意したい。利用手数料は、以下のとおりだ。
信用情報機関 | 利用手数料(税込み) | 特記事項 | |
---|---|---|---|
CIC | インターネットでの照会 | 500円 | 初回開示から96時間以内の再開示は手数料無料 支払い方法はクレジットカード1回払い、またはキャリア決済のみ |
郵送での照会 | 1,500円 | 手数料は開示利用券(コンビニチケット) または ゆうちょ銀行の定額小為替証書にて支払い | |
JICC | 開示結果をデータで受取る場合 | 1,000円 | 決済手数料は除く |
開示結果を郵送で受取る場合 | 1,300円 | ||
KSC | インターネットで開示 | 1,000円 | クレジットカード PayPay キャリア決済で支払 |
郵送で開示 | 1,679円~1,800円 | コンビニエンスストアで「本人開示・申告手続き利用券」を購入 料金はコンビニエンスストアによって異なる |
信用情報機関に情報開示を請求すると、料金がかかる。
こういったコストを抑えながら他社借入を調べるなら、手元に補完している借入に関する契約書や銀行口座の取引明細を確認するのもよいだろう。
借入した金額を契約書で確認し、銀行口座の取引明細から返済した額を相殺する方法だ。
しかし返済額には、元金のほかに利息が含まれている。元金の充当額は取引金額と異なる点には、注意したい。
他社借入を申告する際の注意点
カードローンの審査に通りやすくするために、他社借入を申告する際は、次の点に注意することが大切だ。
- 正確な情報を提供する
- 総量規制に注意する
- 返済能力を示す
正確な情報を提供する
他社借入の金額や件数は、正確に申告することが重要だ。故意か否かを問わず、事実と異なる申告があれば、虚偽の申告とみなされ、審査で不利益を被る可能性がある。
他社借入状況が不明な場合は、信用情報機関に情報開示を請求したり、借入先に問い合わせたりといった方法で、審査に先んじて確認することが大切だ。
また他社借入に含まれる借入と含まれない借入についても、慎重に見極める必要がある。
一般的に、クレジットカードのキャッシング枠や消費者金融からの借入は申告が必要だ。
一方の住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードのショッピング枠は、他社借入に含まれないことが多い。
判断に迷う場合は、カードローンの審査申込先への確認が欠かせない。
総量規制に注意する
貸金業法の総量規制により、年収の3分の1を超える借入はできない。他社借入の合計が年収の3分の1を超えないよう、注意が必要だ。
また年収の1/3以内であっても、他社借入が多い場合は将来的に返済の負担が重くのしかかる可能性がある。
こういった不安要素を排除し、安心してカードローンを契約するなら、すでに借入している他社の返済を進めてから、新たなカードローンの審査申し込みをすることを検討したい。
返済能力を示す
他社借入がある場合でも、十分で安定した収入や返済能力を示せば、審査を有利に進められる可能性がある。
返済能力を示す代表的な方法は、次のとおりだ。
- 収入証明書の提出
- 給与明細や源泉徴収票確定申告書
- 預金残高証明書の提出
- 資産証明書の提出
- 不動産や株式などの資産の証明書
とくに転職して間もない場合は、勤続年数が短い分、返済能力が低く評価されがちだ。
こういったリスクを回避するために、預金の残高証明書や資産証明書を用意できれば、積極的に提出して、返済能力を裏付けることが大切だ。
カードローン申込時は他社借入を正確に申告してスムーズな審査通過をめざそう!
他社借入は、カードローンの審査において非常に重要な項目の一つだ。
他社借入が多い場合、返済能力を疑問視され、審査にネガティブな影響を及ぼす可能性がある。
また、カードローンの審査申請に際して、すべての借入を正確に報告し、信用情報と一致させることが欠かせない。
しかし上記の注意点を考慮し慎重に手続きを進め、返済能力を示せば、他社借入がある場合でもカードローンの申請は可能だ。
カードローンの審査をとおすために大切なのは、金融情報における信用度があり、返済能力が確かにあることを証明できることだ。
カードローンは、急な出費や予期せぬ支出があった際の心強いサポーターだ。ほかの金融機関に比べて審査時間が短く、スピーディーにお金を借りられるメリットもある。
あらかじめ他社借入の件数や金額を把握し、審査申し込みを丁寧に進めながら、便利なカードローンを活用したい。