- カードローンの限度額を増額したい
- 増額申請の審査に落ちる原因を理解したい
- 増額のデメリットについて把握したい
「カードローンの限度額を増やしたい」「急な入り用でまとまった資金が必要だ」と思う利用者にとって、借入限度額の増額は重要な選択肢の一つだ。
急な出費や長期的な支出への備えとして、限度額の引き上げを検討する方は少なくない。
すでに利用中のカードローンの限度額を引き上げるためには、どのような手順を進める必要があるのだろうか。
本記事では、カードローンの増額申請の手順から審査のポイント、限度額を引き上げるメリット・デメリットを解説する。
カードローンの増額申請の手順と必要な条件
カードローンの増額申請は、既存のカードローン契約者が利用できるサービスである。
利用者は金融機関に引き上げ希望額を申請し、審査に通過すれば利用限度額が引き上げられる。
増額申請の基本的な流れ
増額申請は、基本的に以下の流れで進められる。
- 金融機関に増額希望を申し込む
- 増額申請に必要な書類を提出する
- 金融機関による審査が行われる
- 通過すれば新たに設定された限度額までカードローンを利用可能になる
上記の手順は細かくは金融機関によって異なるが、原則として入会時同様の審査が行われる。
金融機関は新規申し込み時と同様に、一定の基準で審査を行い、通過した場合に利用限度額が引き上げる。
この審査は申請者に対して必ず行われるものである。たとえ金融機関側から限度額引き上げの勧誘があったとしても、審査に通過しなければ限度額を引き上げられない。
また、審査に通過しても必ず希望通りの上限まで引き上げられるとは限らず、審査内容次第では希望よりも低い限度額が提示される場合がある点にも注意が必要だ。
必要書類の準備
増額申請に必要な書類は、一般的に以下のものが求められる。金融機関によって多少の違いはあるが、多くは共通していると考えておこう。
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートのコピー)
- 所得証明書(源泉徴収票や確定申告書のコピー)
- 在籍確認書類(健康保険証のコピーなど)
どの書類も、カードローンの入会時に提示したものと同じである。
ただし、書類によっては有効期限が決まっているため、過去の提出物と全く同じ書類では、受け付けてもらえない。
特に所得証明書は現時点における所得の証明が求められるため、限度額引き上げを申し込む前には最新の書類を取り寄せておく必要があるだろう。
具体的な申請手順:株式会社プロミスの場合
ここでは増額申請の一例として、大手消費者金融の一つである株式会社プロミスの具体的な手続き手順を見ていこう。
- インターネット上の会員ページもしくはプロミスコールセンターに電話で申し込み
- マイページ内の「借入限度額の増額」または類似のメニューを選択
- 画面の指示に従い、希望の増額金額や個人情報を入力
- 必要書類をスキャンまたは撮影し、指定の方法でアップロード
- 入力内容と提出書類を確認し、申請を完了
- 審査に通過した場合は、新たな利用限度額の提示を受ける
プロミスの増額申請の審査にかかる時間は、申し込み金額によって増減する。
50万円以内の増額なら最短60秒、50万円超なら最短30分と、審査は短時間で終わる。
即日審査を請けられる時間は9時~21時と限られているものの、急いで融資を受けたい時には便利である。
ただし、プロミスの増額申請は以下の条件を満たしている場合のみ利用できる。
- プロミスのカードローンを1年以上利用している
- カードローンを繰り返し利用した実績があり、その間は延滞がない
- 新規入会時よりも年収がアップしている
増額申請時には、特に前回よりも返済能力が向上しているかどうかが重視される。
上記の条件を満たしていない場合、限度額の引き上げは難しい。プロミスへの増額申請を行う前には、各条件を確認した上で申し込みをしよう。
カードローンの増額審査に通過するためのポイント
一般的に、各金融機関は増額申請に対して、以下の点を重視した審査を行う。
- 総量規制に引っかかっていないか
- 過去に返済遅延を引き起こしたことがあるか
- 申込時に比べて年収が下がっていないか
増額審査を通すには、上記に抵触しない状態を作る必要がある。それぞれへの対策を見てみよう。
総量規制への対応
総量規制とは、貸金業者からの借入額が年収の3分の1を超えさせないようにするための貸金業法上の規制である。
増額申請の時点で総量規制に引っかかっている場合、限度額の引き上げは困難だ。
総量規制に引っかかっている状態を解消するには、借入総額を年収の3分の1以下にする必要がある。
現在借り入れているお金を返済するのが最短の方法ではあるが、年収を上げて規制の上限を引き上げるのも有効だ。
ただし、いずれも一朝一夕では対応が難しい。近い将来に大幅な収入増が見込めないようなら、わずかずつでも借入残高を減らせるような返済計画を立てるのが望ましいだろう。
なお、総量規制はあくまで貸金業者に対する規制であるため、銀行などの貸金業に該当しない金融機関からの借入は対象外となる。
また、住宅ローンやマイカーローン、個人事業主に対する事業資金の貸付けなども対象外となる点は覚えておこう。
返済遅延状態の改善
過去に返済遅延が発生していた場合、金融商品の利用情報を記録する信用情報に記録が残る。
返済遅延や破産などの金融事故を起こしてしまうと、いわゆる信用情報に傷がついた状態となってしまい、増額申請の審査に通りにくくなるだろう。
なお、信用情報に記録が残る期間は、返済遅延の日数によって異なる。
延滞期間が61日以内(または3カ月以内)である場合には信用情報に「延滞」と記録されるが、返済が済めば延滞の記録は消去される。
しかし延滞期間が61日(または3カ月)を超えると、信用情報に記録される内容が「異動」となり、返済完了から5年間は記録が残り続けることになる。
信用情報に返済遅延の記録を残さないためには、定められた返済期日までに確実に返済をし続けることが大切だ。
可能ならば給料日に合わせて自動返済できるような設定をしておくのが望ましいだろう。
また、滞納した家賃を保証会社が支払った場合や、携帯電話料金の延滞も信用情報に記録されるため、カードローン以外の延滞も避けるようにしよう。
万が一なんらかの延滞が発生したとしても、可能な限り早く返済を済ませれば、被害を最小限に食い止められる可能性がある。
年収減少への対策
新規入会時または前回の増額申請時に比べて年収が下がっている場合、増額申請を通すのは難しい。
さらには、年収が下がるとそれだけ総量規制の枠も小さくなるため、利用中のカードローンの限度額が下げられる可能性もあるだろう。
カードローンの利用は、現在の収入に見合った限度額の中で利用するのが理想である。
また、金融機関側が利用者の返済能力に問題ありと判断した場合は、総量規制に満たない限度額に見直しされることもあるだろう。
常に利用限度額いっぱいまで借り続けている状態は金融機関側に不安を与えかねないため、常日頃から余裕を持った利用状態を維持しておきたい。
限度額引き上げのメリット・デメリット
カードローンの限度額引き上げには、メリット・デメリットがそれぞれ存在する。引き上げが必ずしも得にはならないことを理解したうえで利用を続けよう。
増額のメリット
限度額引き上げのメリットは、なんといっても扱える資金が増える点にある。
急な出費でまとまったお金が必要になった場合でも、柔軟に資金を調達できるのは大きなメリットであるといえるだろう。
また、利用限度額の引き上げにともない、適用金利が下げられる場合がある。一度下げられた金利は、利用額が小さくても引き上げられることはない。
そのため、限度額が低いカードを何枚も持つよりも、利用限度額が高いカードを1枚持っているほうが、結果的に金利負担が軽減されるだろう。
増額のデメリット
一方、借入可能額が引き上がると利用可能額が増えるため、過剰借入のリスクが高まる可能性がある。
日常的にカードローンを利用し続けると、借入可能額を預貯金のように感じるようになる場合があるため、計画的な返済に強い自制心が必要になることには注意が必要だろう。
また、総量規制の観点から、他の金融サービスの利用の制限がかかる可能性がある。
たとえ限度額いっぱいまで利用していないとしても、カードローンの借入限度額は総量規制においては借入中と判断されるため、新たな金融商品の契約ができなくなるリスクが生まれる。
増額の必要性を判断する基準
前述の通り、利用限度額の増額はメリットばかりではなく、行動を制限するようなデメリットがともなうことがある。
増額申請を行う前には、本当に利用限度額を引き上げる必要があるのか十分に検討する必要があるだろう。
限度額引き上げの必要性を判断する際には、以下の点を考慮しよう。
まず考えるべきは、現在の借入額と返済能力のバランスである。
現時点で限度額いっぱいまで借り入れている状態が続いているようなら、限度額の引き上げはさらに返済が苦しい状態を招きかねないため、増額は見送った方がいいだろう。
どうしても増額の引き上げが必要な場合には、実現可能な返済計画を立てられることを引き上げの判断材料にするといいだろう。
また、何らかの資金の調達が目的であるなら、カードローンの他に資金調達手段がないか、今一度検討するのが望ましい。
一般的に、カードローンに適用されている金利は高い部類に入るため、利用額が増えるほど支払う利息も増える。
高額の借入を長期間利用すればするほど利息が増え、返済までの期間が伸びる。
カードローンよりも金利が低い資金調達方法がないかどうか、慎重な検討を行うのが望ましいだろう。
カードローンの増額審査に落ちた場合の対策
前述の通り、利用者の状態によってはカードローン増額審査に落ちることがある。もし増額審査に通らずに必要な資金を調達できないようなら、以下の対策を検討してみよう。
信用情報の改善と再申請
信用情報に記録された延滞等の情報は、一定期間で消滅する。仮に返済が遅延したとしても、遅延発生から61日以内に完済できれば信用情報からは削除される。
もし延滞中に増額審査に落ちたようなら、ある程度の期間を空けてから再度審査申請を行うことで、増額を請けられる可能性がある。
また、信用情報上は問題が無くても、返済能力が低いと判断されて審査に落ちる場合がある。
金融機関からの評価は、適度な利用額と遅延しない返済、継続した利用期間が影響するため、数カ月から1年程度適正額のカードローンの利用を続けることで、増額審査に通りやすくなるだろう。
他社への申し込み検討
現在利用中のカードローンで増額が難しいようなら、他社のカードローンを検討するのもひとつの選択肢だといえる。
1枚のカードで100万円借りられなくても2枚のカードで80万円+20万円の利用枠を確保できれば、トータルの借入可能額は変わらない。
ただし、複数のカードを利用すると、多重債務に陥るリスクは高まる。
複数社との契約をするだけの明確な理由がないようなら、将来的なリスク回避のためにも、契約は慎重に検討するとよいだろう。
不要なカードローンの解約
貸金業者が提供するカードローンの利用限度額は、必ず総量規制によって制限される。
複数のカードを持っていると、利用していないカードの限度額が総量規制の対象となり、増額審査に落ちる原因になることも考えられる。
もし利用していないカードローンがあるようなら、近い将来利用する予定がない限り、早めに解約しておくとよいだろう。
カードローンの増額は慎重に検討しよう
カードローンの利用可能額をふやすためには、増額審査に通過する必要がある。
審査対象は新規契約時と同様に、利用者の職業や返済能力、過去の金融商品の利用履歴が含まれる。
年収の低下や金融事故記録を理由に審査に落ちることがあるため、審査を受ける前には金融機関から高く評価されるような状態を作るのが望ましい。
なお、カードローン利用枠の増額は、メリットばかりがあるわけではない。
融通できる資金が増えるというメリットは大きなものだが、総量規制に引っかかり安くなり他のローン商品を利用しにくくなる側面もある。
カードローンは上手に使えば便利なサービスだ。計画的な利用は自由に使える資金を増やし、人生におけるさまざまな可能性を広げることも可能にしてくれるだろう。
最も恐ろしいのは、無計画な利用を続けた結果、お金に縛られて自由な人生を送れなくなることだ。
返済に追われてお金に不自由するようなことにならないよう、自身の返済能力を十分に把握した上で、無理のない範囲で利用するよう心がけよう。