- 総量規制とは何か知りたい
- 総量規制の対象外の借入方法を知りたい
- 総量規制対象外のカードローンでいくら借りられるか知りたい
カードローンの借入を検討する際に「総量規制」というルールを耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。
借入額を制限するルールであるが、具体的にはどういった内容なのだろうか。また、総量規制の対象とならない借入方法にはどういったものがあるのだろうか。
本記事では、総量規制の基本的な内容や規制対象外となる借入の方法、総量規制に関する注意点と対策法を紹介する。
ぜひ本記事を参考にルールに対する理解を深め、ベストな借入額を検討しよう。
総量規制とは何か?
カードローンの利用で耳にすることが多い「総量規制」とはいったいどういったルールなのだろうか。
ここでは、総量規制の基本的な内容やルールが設けられた目的、規制対象となる借入方法について解説していく。
総量規制とは
総量規制とは、貸金業者に対して個人への貸付の上限額を定めたルールのことだ。
貸金業法によって2006年12月に公布、2007年1月から段階的に施行されて2010年6月に完全施行された。
具体的には「本人の年収の3分の1以上の貸付をしてはならない」といった規制内容となっている。
借りる側の目線で言うと「年収の3分の1以上の金額を借りられない」という内容だ。
例えば、年収300万円の人が借りられる上限額は100万円までとなる。もし、すでに50万円の借入がある場合、残りの借入可能額は50万円までとなるのだ。
総量規制の対象となる商品に申し込んだときには、年収や他社での借入状況がチェックされる。
それは、規制を超えた借入可能額を設定しないために確認を行っているのだ。
規制の対象商品を利用する際には、年収の3分の1以上の金額を借りられないことを把握しておこう。
規制の目的
総量規制が設けられた背景には「個人消費者を過剰な借入から守る」という目的がある。
返済能力を超えた借入をしてしまったり、多重債務に陥ってしまったりといったリスクから消費者を守り、健全な借入を促進する目的で規制が設けられたのだ。
過剰な借入によって多重債務に陥ると、借金で借金を返す自転車操業になったり、闇金などの悪徳業者からの借入に手を出したりという事態に陥るリスクもある。
従来は多重債務によって自己破産まで追い込まれるケースも多く、個人向けの融資が健全に活用されないケースが多かったのだ。
しかし、総量規制の導入によって多重債務者は大きく減少している。
日本貸金業協会のホームページによると5件以上の借入残高がある人の数は2007年には171万人いたが、2022年には9.9万人となっている。およそ15年で多重債務者の数は94.2%も減少したのだ。
「個人消費者を過剰な借入から守る」という規制の目的はしっかりと果たされていると言えるだろう。
総量規制の対象となる借入
総量規制は、貸金業者に対して設けられたルールである。貸金業者とは、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社などの金銭の貸付を業務として行っている会社のことだ。
そのため、以下のような借入は規制の対象となる。
- 消費者金融のカードローン
- 信販会社のカードローン
- クレジットカードのキャッシング
消費者金融・信販会社からの借入や、クレジットカードで与えられるキャッシング枠を利用した借入は規制の対象となる。
上記の借入をすべて合計して年収の3分の1以内に収める必要があることを頭に入れておこう。
総量規制の対象外となる借入方法
ここまで総量規制の基本的な内容を解説してきたが、すべての借入が規制対象になるわけではない。
規制の対象から外れる借入方法を理解し、効果的に融資を活用していこう。
ここでは、規制の対象外となる借入方法を紹介していく。
銀行カードローン
銀行は個人消費者に対する金銭の貸付業務を行っているものの、貸金業法が適用される貸金業者ではない。
そのため、銀行が提供するカードローンは規制の対象外となっている。
銀行カードローンであれば、収入の安定性を示すことで年収の3分の1以上の金額を借入できる可能性がある。
もし、それなりにまとまった金額の借入を予定しているのであれば、消費者金融よりも銀行のカードローンに申し込んだ方が希望が通る可能性が高いと言えるだろう。
ただし、銀行も利用者に貸し付けたお金を回収しなければならない。
過剰な貸付を行ってしまい、返済が滞ってしまうと銀行側が損をしてしまうため、貸付上限額を独自に定めて自主的な規制を設けている場合もある。
規制の対象とならないからといって高額な融資を受けられるとは限らない点に注意が必要だ。
例外貸付
「例外貸付」に該当する貸付の場合は、規制の対象から外れる。例外貸付とは、消費者の利益の保護に支障がない貸付のことだ。
緊急で資金が必要であるケースや必要性が高いと認められるケースの場合、例外的に年収の3分の1を超える金額を借りられる。
例外貸付の一例として以下のようなものが挙げられる。
- 緊急の医療費を支払うための貸付
- おまとめローンなどの他社での借入を一本化するための貸付
- 個人事業主に対する事業に必要な資金の貸付
緊急で医療費が必要となった場合、融資を受けられないと身体的に大きな損害を被るリスクがある。
社会通念上、緊急に必要とみなされた場合は規制の対象とならない。
また、他社での借入を一本にまとめる「おまとめローン」などの借り換え専用商品の場合も規制対象外となる。
借り換えによって適用金利が下がって返済額の負担が減るケースが多く、消費者の利益となるためだ。
そして、個人事業主に対する事業に必要な資金の貸付も規制対象から外れる場合がある。
事業計画や資金計画などをチェックした上で、返済能力に問題がないと認められれば例外貸付となる。
上記のような目的で借入を検討している場合は、規制の対象から外れる可能性が高いことを理解しておこう。
除外貸付
「除外貸付」に該当する貸付も規制の対象とはならない。
除外貸付とは借入金額が多額になりやすいローンなど、総量規制による借入上限ルールの適用が難しい貸付のことを指す。
除外貸付の一例として以下のようなものが挙げられる。
- 住宅ローン
- マイカーローン
- 不動産を担保にした借入
- 有価証券を担保にした借入
住宅ローンやマイカーローンは、一般的に年収の3分の1を上回る借入額となるケースが多い。
しかし、返済期間が長期間にわたり、返済負担が過度に重くなる心配がないと考えられることから総量規制からは除外されている。
また、不動産や有価証券を担保とした借入についても除外貸付に含まれる。
返済ができなかったときの損失を補うための担保が設定されているため、規制を設ける必要性が低いとして規制の対象から除外されているのだ。
クレジットカードのショッピング枠
先ほどクレジットカードのキャッシング枠を利用した借入が規制の対象であると解説したが、ショッピング枠については規制の対象外である。
ショッピング枠とは、クレジットカードを利用して商品・サービスの代金の支払いを行える限度額のことだ。
ショッピング枠はあくまでもカード会社に支払いを立て替えてもらっている仕組みなので、金銭の借入を規制する規制の対象とはならない。
そのため、ショッピング枠の利用とローンの借入の合計が年収の3分の1以上になっても問題はない。
しかし、無計画にショッピング枠を利用すると支払いが厳しくなる可能性があるため、買い物の際には注意しておこう。
総量規制対象外のカードローンでいくら借りられるのか?
総量規制の対象外となる借入の場合、どれくらいの金額を借りることができるのだろうか。ここでは、借入の目安額や借入額を決定する審査について解説していく。
借入の目安額
総量規制の対象とならない借入方法の借入上限の目安額は以下の通りだ。
- 銀行カードローン
- 年収の3分の1程度
- 緊急の医療費を支払うための貸付
- 10万円以下
- おまとめローン
- 他社での借入合計額
- 個人事業主に対する事業に必要な資金の貸付
- 事業に必要な金額
- 住宅ローン
- 年収の5〜7倍程度
- マイカーローン
- 年収の30〜40%程度
- 不動産・有価証券を担保にした借入
- 不動産・有価証券の評価額の60〜80%程度
銀行カードローンについては規制の対象とならないものの、銀行独自でルールを設けているケースが多い。
そのため、借入上限の目安額は年収の3分の1程度になる可能性が高い。
また、カードローン以外の借入方法については目安となる金額がおおよそ決まっているので、上記の一覧を参考に借入を検討してみよう。
年収以外の要素を含めて審査でチェックされる
総量規制の対象外の借入方法の場合、年収の3分の1以上の金額を借りることも可能だ。
しかし、年収以外のあらゆる要素を踏まえた審査が行われ、借入可能額が決定される。
場合によっては年収の3分の1以下の借入可能額になる可能性もあるため注意しておこう。
審査では以下の要素が重視される。
- 返済能力
- 他社での借入状況
- 信用情報
まず、返済能力の確認が行われる。年収や勤務先、雇用形態、勤続年数などをもとに収入の安定性を確かめ、返済能力があることを確認している。
返済能力が低いと判断されると、借入可能額は低くなってしまう。
また、すでに他社である程度の借入がある場合、借入可能額は低くなる。他社で多くの借入を行っている人に貸付をしても、返済されないリスクが高いためだ。
そして、過去に滞納や返済遅延などがあり、信用情報に問題があるケースでも借入可能額は減ってしまう。
「また滞納をするのではないか」という疑念を審査担当者に抱かれてしまうためだ。場合によっては審査に通過できず、契約そのものを断られるリスクもある。
総量規制対象外の借入方法だからといって簡単に大きな金額を借りられるわけではない。上記の要素を総合的に考慮し、借入可能額を決定しているのだ。
総量規制に関する注意点と対策
総量規制を踏まえ、カードローンを利用する際には以下の3点に注意が必要だ。
- 複数の借入を検討する際は管理が必要
- 計画的に返済を行う
- 総量規制対象外の借入も注意する
上記3つの注意点を把握した上で、カードローンを効果的に活用しよう。
複数の借入を検討する際は管理が必要
消費者金融や信販会社のカードローンなど、規制の対象となる借入方法において複数の借入を検討している場合は適切な管理が必要だ。
借入をすべて合わせて年収の3分の1を超えないように管理しなければならない。
例えば、年収600万円の人がA社から100万円、B社から70万円を借りている場合、残りの借入可能額は30万円となる。
現状の他社での借入状況を把握していないと、希望通りの金額を借りられない可能性がある。
総量規制は1社から借りられる上限ではなく、すべての貸金業社からの借入を合算した金額を規制するルールであることを認識し、適切に管理を行おう。
計画的に返済を行う
総量規制オーバーとなった場合、銀行カードローンや例外貸付、除外貸付を除いて新規の借入が難しくなる。
借入残高を減らすためにも、計画的に返済を行っていくことが大切だ。
一般的にカードローンの返済方法は「約定返済(毎月の返済)」と「随時返済(一部または全額)」の2種類がある。
約定返済は定められた返済日に約定返済額を返していく返済方法、随時返済は任意のタイミング・金額で返済を行う方法のことだ。
返済計画を立てる際、毎月の約定返済額が余剰資金の範囲内に収めることが重要となる。
家計の見直しを行い、収入から支出を差し引いた余剰資金の額を把握した上で、余剰資金の範囲内に収まるように約定返済額を設定しよう。
また、余裕があるときには積極的に随時返済を活用すると良い。借入残高が早く減って新たな借入がしやすくなるほか、利息の負担を抑える効果もある。
ボーナス・賞与などの臨時収入があったときに随時返済を行って借入残高を早めに減らしていこう。
総量規制対象外の借入も注意する
銀行カードローンや例外貸付、除外貸付といった総量規制対象外の借入方法を選ぶ際も、計画的な利用は必須と言える。
過剰な借入を避け、事前に返済の見通しを立てた上で融資を受けるように心掛けよう。
特に、銀行カードローンの場合はATMやインターネットバンキングから気軽に借入を行えるため、自制心を働かせないと借入額が膨らんでしまいやすい。
そして、カードローンは住宅ローンやマイカーローンなどと比べて金利が高めに設定されている。
まとまった金額の借入を行うと、利息の負担が大きくなって家計を苦しめてしまう恐れがある。
総量規制対象外の借入だからといって身の丈に合わない借入を行うのではなく、無理のない範囲で計画的に利用していくように心掛けよう。
総量規制への理解を深めてカードローンを利用しよう
総量規制は、個人の借入額を年収の3分の1までに制限する法律である。
消費者金融や信販会社などの貸金業社の借入が対象となっており、銀行カードローンや例外貸付、除外貸付など規制の対象外となる借入方法も存在する。
規制の対象外のカードローンを利用する際は、審査基準や返済計画に十分な注意を払い、無理のない借入を心掛けることが重要だ。
そして、カードローンの申し込みを検討中の方は、総量規制を理解した上で最適な借入方法を選択してほしい。
ぜひ本記事を参考に自分にぴったりの商品を見つけ出し、申し込みを行ってみてはいかがだろうか。