【4197】株式会社アスマーク 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年4月24日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社アスマークは独自の価値を常に追求し、他社には真似できない高い品質でサービスを提供し続けるマーケティングリサーチ会社です。

代表取締役の町田 正一氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社アスマークを一言で言うと

独自の価値を追求し、クオリティの高さと顧客満足度にこだわるマーケティングリサーチ会社です。 

アスマークの沿革

株式会社アスマーク代表取締役 町田 正一氏

創業経緯

当社は1998年12月に設立し、当初はリサーチ会社ではなく、東急田園都市線沿線の住人向けに特化した会員制コミュニティサイトとしてスタートしました。

当時、日本ではインターネット上での情報交換サイトは少なく、アメリカのコミュニティサイトでの成功例を参考にしておりました。

また資本力のある楽天などがECサイトで成功している中、資本が少ない私たちにとって、コミュニティサイトは比較的少ない初期投資で始められる事業でした。

リサーチ会社として拡大

創業から3年後の2001年に拡大させたコミュニティサイトを活用し、パネル・リクルーティングサービスを開始し、リサーチ事業を始めました。

具体的には、田園都市線沿線在住の方々を市場調査やグループインタビューの参加者として提供するサービスです。

さらに2004年にはオンライン・リサーチサービスを開始しました。

2000年前半にはインターネットを活用したリサーチ会社が増え始めましたが、当社はコミュニティサイトから派生したリサーチ会社として、独自の価値を持って市場に参入しました。

事業拡大と上場

2014年に青森の八戸に事業所を開設したことをきっかけに、東京一極集中から地方分散型の事業運営へと戦略を変更しました。

同業他社が東京に限定された採用で困難を抱える中、私たちは地方での採用戦略を取りながら着実に成長を進めました。

そして2016年5月より顧客からの幅広い要望に応えていくため、オフライン・リサーチサービスを開始しました。

さらに2018年に在日外国人専門のパネルサイト「e-gaikokujin」の運用を開始しました。

これは国内のマーケティングリサーチ市場の成長が鈍化している中、積極的に外国人を採用し、グローバルな事業展開を進めていくための戦略でもありました。

その後も、HRテック分野に進出したり、新潟の長岡に事業所を開設したりしながら着実に事業を伸ばしてきました。

そして2022年1月に東証TOKYO PRO Marketに上場し、2023年12月に東証スタンダード市場に上場を果たしました。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

アスマークの事業概要と特徴

概要

当社のビジネスは主にマーケティングリサーチで、オンライン・リサーチ、オフライン・リサーチ、パネル・リクルーティングの3事業を展開しています。

まずオンライン・リサーチではインターネットを通じて、データ収集や集計、分析をしながら定量調査を行います。

またオフライン・リサーチは対面で行う定量調査です。

そしてパネル・リクルーティングは田園都市線沿線のコミュニティサイトから派生した事業で、調査の参加者を見つけてリサーチ会社に紹介するビジネスです。

この3つのサービスを有効的に活用しながら、クライアントに質の高いご提案をしています。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

事業における優位性

大規模で良質なアスマークパネルと外部パネル

マーケティングリサーチを行うためには、回答していただける協力者(=パネル)を確保する必要があります。

自社で保有しているアスマークパネルは約100万人おり、調査の需要が高いとされている首都圏の一都三県と関西の二府四県の大都市圏に住む30代〜50代の男女が中心です。

また、20社以上の国内提携パネルとの連携により、約1,800万人以上のパネル数を有しています。

さらに在日外国人モニターや海外パネルを使うことも可能で、性別年代別にバランスの良いパネルを構成しています。

あらゆるリサーチに総合的に対応可能

当社の最大の強みは、オンラインとオフライン両方のリサーチをワンストップで提供できる点です。

多くのリサーチ会社がオンラインへのシフトを進める中で、オフラインリサーチは別の会社が担うケースも多く、お客様のニーズに総合的に対応できる会社が減少してきています。

そのような中で、当社はオンライン・オフライン両方ともお仕事をいただける事業基盤を有しており、お客様の目的達成に向けて最適な調査プランを提案することができます。

当社は総合的なマーケティングリサーチを行うことができ、複数のプロフェッショナルを活かしながら、お客様の期待に迅速に対応しています。

このように着実に事業を行い、強固な信頼を築き上げたことで、年間売上500万円以上の大口顧客が増え続け、高いリピート率を維持しているので安定的収益を確立させています。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

アスマークの成長戦略

4つの柱

当社の成長戦略は、「4つの柱」に基づいています。

1つ目の柱は国内リサーチで、これが引き続き事業の基盤となります。

足元ではメーカーのお客様が増えており、今後はリサーチ会社や広告代理店を通さずに直接依頼が来る場合が増えてくると考えているので、内部の事業基盤を強化していく方針です。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

2つ目の柱はグローバルリサーチです。

これは他社がなかなか手がけない分野で、多言語対応の仕組みや外国人社員の採用を進め、グローバルに事業を拡大しており、今後総売上の10%にまで引き上げる計画です。

グローバルの市場は非常に成長性も見込まれる市場で、国内の市場は約2,500億円程度ですが、海外は約2兆円規模とスケールの大きい市場です。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

3つ目の柱はDXリサーチソリューションです。

2020年のコロナ禍を機に、オンラインでのインタビューツールを開発し、対面調査が困難な状況でも対面でのリサーチに近い形で可能になりました。

4つ目の柱はHR事業です。

今後は従業員満足度調査などを中心に、人事部門向けのサービスを拡充していく予定です。

当社の戦略の中でも成長性の高いHR事業については少し詳しくお話しさせていただきます。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

HR事業

これまで私たちのお客様はマーケティング部門のお客様とお仕事をさせていただくことが多かったのですが、今後は人事部門の課題解決にも注力していきたいと考えています。

現在、企業においては従業員の声に耳を傾け、組織を変革していくことが求められています。

そのような従業員に寄り沿った組織運営を支えるために、在席管理ツール・ES調査・ハラスメント防止などの需要が高いです。

まず、在席管理ツールの「せきなび」はテレワーク・座席管理・フリーアドレス等で活用され、組織を活性化させるシステムです。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

また、ES調査は当社のこれまでのマーケティングリサーチ事業で培ったノウハウを活かした従業員満足度調査です。

このシステムにより、組織の課題や社員の傾向を多面的に分析することで一般的なES調査では成し得なかったコンサルティングサービスを実現しています。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

また昨今の企業の課題でもあるコンプライアンスやハラスメントを防ぐため、調査から研修までトータルサポートを提供しています。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

今後このHR事業では、それぞれのプロダクトでNo.1を目指し、売上の10%にまで引き上げていきたいと考えています。

株式会社アスマーク 2024年11月期第1四半期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

私たちは、同業他社には真似できない自社独自の価値を創造し続け、独創的で高品質なサービスを提供する唯一無二のマーケティングリサーチ企業として成長し続けます。

高品質という観点については、国内のマーケティングリサーチ会社では珍しいISO認証の取得も行なっており、クオリティを高めるためにこだわり抜いたサービスを展開し続けています。

具体的にはパネルやリサーチの質にこだわり、そしてHR事業にもあるように独自的なサービスを生み出しています。

このような独自性と高品質という側面は、私たちの大きな強みとなり、今後の成長を支える大切な事業基盤でもあります。

ぜひ当社のこの両面にご注目していただければと思います。

投資家の皆様へメッセージ

設立以来、ベンチャースピリットを大切にし、常に挑戦を続けてきました。

上場を通じてさらに多くの新規事業にチャレンジし、事業のスピードを加速していきたいと考えています。

また私たちは、伝統的なマーケティングリサーチ会社とは一線を画し、常に新しい取り組みを追求しています。

上場によって得た資金を効果的に活用し、さらなる成長を目指していきますので、投資家の皆様には株主としてご支援いただければ幸いです。

株式会社アスマーク

本社所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東1-32-12 渋谷プロパティータワー4F

設立:2001年12月21日

資本金:139百万円(2023年12月31日時点)

上場市場:東証スタンダード市場(2023年12月4日上場)

証券コード:4197

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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