- 株と不動産のどちらに投資するべきか迷っている
- どちらが自分に向いているのか知りたい
- 株と不動産の違いを理解したい
株式投資と不動産投資は、一定の資産を有する方にとっての代表的な資産形成手段だ。
しかし、両者の特性や運用方法には大きな違いがあるため、どちらが適した投資対象であるかは個人の状況によって異なる。
本記事では、株式と不動産という二つの投資対象を多角的に比較し、それぞれの特徴を詳しく解説する。
運用方法の違いや、必要な初期投資、期待されるリターン、そして潜在的なリスクなどを、わかりやすく説明する。
それぞれの長所短所を理解することで、より自信を持って資産運用の方向性を決められるようサポートしたい。
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株と不動産の違い
ここでは、株式と不動産は、投資対象としてどのような点に違いがあるのかを整理していく。
なお、本稿で不動産投資とは、物理的な不動産所有を伴う「伝統的な投資形態」を指す。
株式投資と不動産投資の概要
まずは簡単に、株式投資と不動産投資がどのようなものかを整理しよう。
両者の共通点は、長期的な資産形成手段であり、収益源にキャピタルゲイン(価値上昇)とインカムゲイン(配当/賃料)の2つがあることだ。
一方で、根本的に以下の点で大きく異なる。
- 価値の源泉が違う
- 株式は企業活動と成長に、不動産は物理的空間とその立地に、価値の源泉がある
- 影響を受ける要因の範囲が違う
- 株式はグローバルな経済動向や企業の世界的な競争力に影響されるが、不動産はより局所的な要因(地域の発展、人口動態など)に影響される
- 管理と関与の度合いが違う
- 株式投資は比較的受動的であり、投資家の直接的な関与は限定的だが、不動産投資は物件の管理や改善など、投資家の積極的な関与が可能である
このような違いは、投資家が直面するリスクやリターン、そして投資に必要な資金額に反映され、最適な投資手法の選択を左右する要因となる。
リスク、リターン、および必要資金
それでは、リスク、リターン、必要資金の順に、それぞれの投資について特徴を見ていこう。
リスク特性
はじめに、両者が持つリスク特性について確認しておこう。以下に、それぞれの投資に特有のリスクを整理した。
- 価格変動リスク
- 流動性リスク
- 不動産に比べると流動性は高いが、銘柄によっては希望価格での売却が難しいこともある
- 市場リスク
- 市場全体が経済情勢や政治情勢の影響を受けやすい
- 企業リスク
- 投資先企業の経営悪化や倒産などが該当する
- 価格変動リスク
- 経済状況や地域の変化により変動する
- リスク空室リスク
- 賃貸物件の場合、入居者が見つからず、収入を得られないリスクがある
- 金利変動リスク
- 不動産投資ローンを利用している場合、金利上昇により返済負担が増加するリスクもある
- 流動性リスク
- 不動産は売却に時間を要するのが一般的
株式投資では、市場の変動による価格リスクは大きいが、分散投資によるリスク軽減が可能。
また、流動性が高く、資金の引き出しが迅速に行える。
不動産投資では、物件固有のリスクと市場リスク、流動性リスクが存在する。
物件の選定や管理が重要であり、リスク軽減には専門的な知識が求められる。
リターンの性質と獲得方法
株式投資と不動産投資では、リターンの性質や獲得方法に違いがある。
まず、株式投資のリターンには、キャピタルゲイン(株価の上昇による利益)とインカムゲイン(配当金による収入)がある。
長期保有により、配当の再投資や株価上昇の複利効果が期待でき、長期的には年率7〜10%程度のリターンが期待できるといわれる。
一方の不動産投資には、賃料収入のほかに資産価値の上昇によるリターンがある。
不動産投資ローンを活用することで、少ない自己資金で大きな資産を運用できるため、投資効率を高められる可能性がある。
物件や地域により大きく異なるが、賃料収入と資産価値上昇を合わせて年率5〜10%程度のリターンが一般的とされる。
リターンの特性を比較すると、以下のような違いがある
- 不動産投資の方が、賃料収入により比較的安定したキャッシュフローが期待できる
- 株式投資の方が流動性は高く、迅速な売却が可能
- 不動産投資の方が、投資家自身による価値向上の余地がある
必要となる資金
必要資金についても大きな違いがある。
株式投資は、投資する銘柄の株価に応じて、数千円から数万円程度で投資を始められる。
オンライン証券を利用すれば、取引手数料も低く抑えられるため、資金の効率的な運用も可能になる。積立投資やインデックスファンドなどを活用すれば、資金が限られている投資家でも、リスクを分散しながら投資を続けられる。
一方、不動産投資には、株式投資に比べて大幅に高い初期資金が必要だ。ローンを活用するとしても、通常は物件価格の15%〜25%程度の頭金が必要である。
さらに、購入時には仲介手数料、登記費用、ローン手数料、不動産取得税など、さまざまな関連費用が発生するため、これらの費用を準備しておく必要がある。
加えて、不動産投資では物件の維持管理費用など「継続的な費用」も負担しなければならない。
たとえば、修繕費や管理費、保険料、固定資産税などが該当する。
よって、必要資金面については、以下のような違いがある
- 初期投資として準備すべき費用は、株式投資の方が圧倒的に低い
- 維持管理についても、株式投資の方が低い(一般的に維持費用は発生しない)
考慮すべきその他の要因
以下は、ここまでの説明も含めた、株式投資と不動産投資の違いについて整理したものである。
株式投資 | 不動産投資 | |
---|---|---|
初期投資 | 少額(数千円程度)から始められる | 最低でも数百万円程度は必要 |
参入障壁 | 低い。証券口座を開設できれば、誰でも始められる | 高い。十分な資金、計画、知識が必要 ローンを利用する場合は、金融機関等の審査も必要 |
流動性 | 高い | 低い |
レバレッジ | 利用可能(信用取引、FXなど) | 一般的(不動産投資ローンなど) |
管理の手間 | 日常的な管理は比較的容易 | 物件の維持管理、賃貸運営など継続的な労力が必要 |
専門知識 | 基本的な金融知識は必要 | 法律、税務、建築など幅広い専門知識が求められる |
手数料 | 売買手数料等は、近年大幅に低下 個別銘柄では保有に費用はかからない。 | 購入時および継続的にさまざまな費用負担が必要 とくに継続的なコストが高い |
税金 | 配当所得や譲渡所得に対して、 原則20.315%の税率(2024年時点) | 賃貸所得は通常の所得税率で課税(最高55%) 減価償却費の計上による節税効果がある |
インフレヘッジ効果 | 中程度。ただし業種や企業によって異なる | 比較的大きい 不動産価値や賃料は長期的にインフレに連動する傾向がある |
価格形成の透明性 | 高い | 低い 個別性が高く、取引事例も限られるため、 正確な価値評価が難しい |
株と不動産はどっちが良いの?メリット・デメリットを比較
次に、株と不動産の違いを理解するため、メリット・デメリットの形で整理してみよう。
株式投資のメリット
株式投資には、以下のようなメリットがある。
- 株式は迅速に売買可能で流動性が高い
- 少額から投資を始められ、参入障壁が低い
- 長期的には不動産より高い平均リターンを記録している
- 個別株、投資信託、ETFなど、多様な商品から選べる
- 上場企業は財務情報を公開しており透明性が高い
株式投資のデメリット
一方、デメリットとして挙げられるのは、以下の項目だ。
- 短期的な価格変動(ボラティリティ)が高いため、心理的ストレスを伴うおそれがある
- 経済状況や地政学的要因により、市場下落のリスクがある
- 効果的な投資には金融や経済の基本的知識が求められる
- 企業業績により、配当減少または停止する可能性がある
不動産のメリット
不動産投資では、以下のようなメリットが期待できる。
- 賃貸収入により、継続的で予測可能な現金収入が得られる。
- 長期的に見れば、不動産価値は一般的に上昇傾向にあり資産価値の上昇が期待できる
- 不動産投資ローン利用により、少ない自己資金で大きな資産を運用できる
- 不動産価値や家賃はインフレに連動して上昇する傾向がある
- 減価償却費の計上や、各種控除など、さまざまな税制上の優遇がある
不動産のデメリット
しかし、以下のようなデメリットがあることを考慮すべきである。
- 高い初期投資
- 物件購入には多額の頭金や諸経費が必要
- 低い流動性
- 不動産の売却には時間がかかり、急な資金需要に対応しづらい
- 管理の手間
- 物件のメンテナンスやテナント対応など、継続的な労力が必要
- 集中リスク
- 一つの物件に投資が集中するため、リスク分散が難しい
- 市場変動リスク
- 地域経済の衰退や不動産バブル崩壊により、資産価値が下落するおそれもある
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株と不動産はどっちを選ぶべき?
ここでは、整理した情報をどのように使って「どちらを選ぶべきか」を考えてみたい。
まずは、一般的なステップを整理し、そのうえで判断に影響するポイントについて深掘りする。最後に、投資に向いている投資像についても考察する。
「株か、不動産か」を決めるステップ
株か不動産かの選択は、個人の状況や目標に応じて慎重に行うべきプロセスである。
財務状況、投資目的、リスク許容度、そして投資に割ける時間と労力を正確に把握する。
これらの自己分析は、適切な投資選択の土台となる重要なステップである。
次に、株式市場と不動産市場の現状と将来の見通しを調査する。
過去のパフォーマンス、現在の市況、そして経済動向や人口動態などの将来予測を考慮に入れること。
株式と不動産それぞれの特性を比較する。期待リターン、リスク、流動性、必要資金、管理の手間、税制上の取り扱いなどについて両者を評価しよう。
本格的な投資の前に、シミュレーションか小規模投資(どちらか、または両方)を行うことが望ましい。
シミュレーションでは具体的な数値を用いて、予想リターンの計算、コストの見積もり、キャッシュフロー分析を行う。
試験的投資では、株式なら少額投資、不動産ならREITへの投資を行う。
投資対象の選択においては、一般的には以下のようなポイントをもとに考えると、判断が容易になる。
- リスク許容度
- 株式価格は、市場の変動により大きく上下することがあるため、高いリスクを許容できる人向けだ
- 一方、不動産では、空室リスクや流動性リスクを許容する必要がある
- 投資目的
- 短期的なキャピタルゲインを狙うのであれば株式投資が適している
- 長期的な安定収入を目的とするなら、不動産投資が向いている
- 資金力
- 株式投資は少額から始められるが、不動産投資には多額の初期費用が必要である
- ローンを利用する場合も、頭金や諸経費を準備する必要がある
- 時間と労力
- 株式投資はオンラインで手軽に売買ができるため、日常の管理はほとんど必要ない
- 一方、不動産投資は物件の管理やメンテナンスなどに時間と労力を要する
株式が合っている人、不動産が合っている人
ここまでの分析を総合し、2つの資産クラスに合っている投資家像を整理してみよう。
以下のような特徴を持つ人は、株式投資が適している可能性が高い。
- 短期的な価格変動に動じず、リスクを取れる人
- 少額から投資を始めたい人
- 必要なときにすぐに現金化できる点を重視する人
- 短期的なキャピタルゲインを狙う人
- 分散投資によりリスク管理したい人
- 市場動向や企業業績の分析を楽しめる人
一方で、以下のような人には、不動産投資に向いている可能性が高い。
- 賃貸収入などの安定・定期的な収入を求める人
- 長期的に資産を保有したい人
- 多額の初期投資が可能な人
- 物件管理や賃借人対応などに時間を割ける人
- 借入を利用して大きな資産を運用したい人
- インフレに強い資産を保有したい人
株と不動産、どっちに投資するかで迷ったら誰に相談するべき?
一定以上の資産の投資先として、株式か不動産かを検討しているなら、まず行うべきは専門家への相談だ。
不動産投資の検討はしっかり行う必要がある
不動産への投資を検討するなら、「株か、不動産か」を決めるステップのシミュレーションをかなり精緻に行う必要がある。
適切にリスクを勘案した収益予想とキャッシュフロー予想を行わなければ、投資に求めているものを得られるかをジャッジできないからだ。
少額の試験的投資を行う時間的余裕があるのなら、自分で試行錯誤しても良いだろう。
しかし、ある程度のまとまった資金を投じる計画の場合には資産運用だけでなく、不動産、税務等に精通した専門家の力を借りた方が良い。
このときの相談相手としておすすめしたいのは、独立系フィナンシャルアドバイザー「IFA」である。
IFAだから得られる「広い視点からのアドバイス」
IFAは、資産運用の多岐にわたる領域をカバーする専門家だ。各自の得意分野を活かしつつ、他の専門家との連携により、顧客の悩みに対して包括的にサポートできる。
独立した立場にあるIFAだからこそ、「株か、不動産か」という選択においても、顧客の利益を最優先にしたアドバイスが可能だ。
検討の際には、市場環境やリスク評価に加え、複数のシナリオに基づくシミュレーションなども行い、顧客が最適な投資判断を下せるようサポートする。
「株か、不動産か」で迷ったら「わたしのIFA」
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何人かのIFAと話をしてから、より親密な関係が構築できる専門家を選ぶこともできる。
株と不動産「どっちが良いか」は投資家の目的と状況により異なる
投資先として株と不動産のどちらが良いかは、投資家の目標や状況によって変わってくる。
資金に余裕があり、どちらにすべきか迷うという状況は、資産運用を真剣に考えるための良い出発点である。
ただし、どちらが絶対に優れているというわけではない。
株式投資と不動産投資は、異なる性質とリスクを持ち、それぞれのメリットとデメリットが存在する。
したがって投資家は、自分自身のリスク許容度や目指すリターンに基づき、これに合った投資戦略を選定することが求められる。
判断に迷う場合は、IFAに相談することが有効だ。専門家の知見を借りて、自身の投資戦略を練り直し、より確かな判断を下すことが可能になる。
まずは無料の相談を試し、どのような選択肢があるのかを確認してはいかがだろうか。
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株式投資や不動産投資に関するQ&A
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