【3489】株式会社フェイスネットワーク 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年6月17日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社フェイスネットワークは城南3区(世田谷・目黒・渋谷)を中心に、多様な不動産商品をワンストップでお届けしています。

代表取締役社⻑の蜂谷 二郎氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社フェイスネットワークを一言で言うと

一人一人の夢の実現をサポートするワンストップパートナーです。 

フェイスネットワークの沿革

株式会社フェイスネットワーク代表取締役社⻑ 蜂谷 二郎氏

創業経緯

私は創業前、約12年間信用金庫に勤務し、融資業務に従事していました。

その中で、不動産を活用した相続対策や事業承継のサポートを行っていました。

しかし当時、不動産・金融・建築を総合的にサポートできる会社が存在せず、融資担当者として各業者を紹介するのみでした。

その後、バブルが崩壊し、金融機関内での業務範囲が大幅に縮小したことで、顧客に対する本来のライフサポートが困難になってしまいました。

この状況を打破するために不動産・金融・建築を総合的にサポートできるパートナーを目指し、2001年にフェイスネットワークを設立しました。

ワンストップパートナーへ

創業当初は自社開発は行っておらず、不動産を活用した資産コンサルティングを主事業とし、物件開発は外部の設計事務所や施工会社(ゼネコン)に依頼してビジネスを行っていました。

しかし、2008年のリーマンショック前にミニバブルが発生し、外部の設計事務所やゼネコンが忙しくなったため、建築が遅延したり工事を受託していただけない状況が続きました。

これではお客様のニーズに応えることはできないと考え、内製化を進めるために設計や施工に精通した社員を一人一人採用し、ワンストップサービス体制を整えていきました。

当時、リーマンショック前に高値で不動産を購入し、売却がままならず経営破綻する企業が多くありましたが、当社は多くの不動産を抱え込むようなことはせず、お客様にとって必要な物件の仲介業務のみを行っていたため、大きなダメージを受けることはありませんでした。

上場と事業拡大

当社はワンストップサービス体制を整えながら事業を拡大し続け、2018年に上場を果たしました。

2015年〜2016年ごろには当社の規模が約百人弱に達していたため、コンプライアンスや内部統制を強化していく必要があると考えました。

また、さらに事業を拡大させていくためには金融機関との関係強化や優秀な社員の獲得が必要だったため、IPOの準備を始めました。

そして上場後は、企業としての信用力を高め、今日まで事業基盤を強化しながら成長を続けています。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

フェイスネットワークの事業概要と特徴

概要

当社は不動産投資支援事業者です。

オーナー保護の観点から、開発する物件は長期保有でも資産価値が維持されるかどうかを重視し、賃貸収入が継続的に続くエリアに物件を開発しています。

そのため、エリア戦略や商品開発においては、慎重に計画を立てています。

そこで、新築一棟RCマンション・城南3区・ワンストップサービスの三要素を軸に事業を展開しています。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

事業における優位性

街並みと調和した新築一棟RCマンション

RCマンションは鉄筋コンクリート造のマンションのことで、耐用年数が47年(減価償却ベース)と耐久性が高く、長期的な賃貸需要に応えることができます。

当社が手がける新築RCマンションは、GranDuo(グランデュオ)シリーズとして知られています。

GranDuoシリーズは、デザインと居住性の両立を基本に街並みや物件コンセプトにこだわり、一つとして同じデザインの建物がないという特徴を持っています。

例えば、祖師ヶ谷大蔵駅にあるウルトラマン商店街の近くにあるGranDuoでは、ウルトラマンの青と赤をコンセプトカラーとしてさりげなく取り入れ、街並みと調和させたデザインを実現しています。

プロジェクトごとに独自のテーマを設け、それぞれのデザイン性と機能性を重視して物件を開発しています。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

城南3区を中心に開発

当社は城南3区(世田谷・目黒・渋谷)という、一年を通じて賃貸ニーズが高いエリアに特化することで空室リスクを最小限に抑えています。

そして、城南3区は関東ローム層という非常に硬い地盤を持っており、杭打ちが少なくて済むため、建築費の予算が安定しやすいのも強みです。

これまでの開発経験から、近隣のボーリングデータなども把握しており、事業収支の見通しを正確に立てることができます。

また、城南3区は人気エリアであるため、土地の仕入れは難しいのではないかとお考えの方もいらっしゃるかと思います。

しかし、当社はこれまでに城南3区で200棟以上の物件を開発してきました。

その結果、当社には毎月約500件、年間約6,000件の非公開の土地情報が仲介業者から入ってくるため、多くの選択肢の中で高収益が見込める開発用地を仕入れることが可能です。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

ワンストップサービス

物件の土地の仕入れから・設計・施工・物件管理・賃貸営業まで、全ての工程を自社で完結させる体制を整えています。

全ての責任をフェイスネットワークが一元管理することで、お客様のニーズをしっかりと汲み取り、品質の高いサービスを提供しています。

もちろん大型物件など自社だけでは対応できないものもあるので、協力ゼネコンさんとの連携が必要です。

それでも、自社で物件を施工しているため、建築価格を常に把握し、鉄筋などの材料価格の変動や接道の広さに応じた最適なコンクリート車の選定など、適正な建築費用をリアルタイムで管理することができます。

例えば、協力ゼネコンさんが出す見積もりに対して、自社でも現場の状況に合わせた見積もりを作ることができるため、両社共に適正な金額で計画を立てることができます。

他の多くの不動産開発業者は設計事務所やゼネコンを外部に委託しており、リアルタイムの建築原価を把握していないため、当社のような立ち回りはできません。

このワンストップサービスができる体制を構築している当社は、業界内でも非常に競争力があると自負しています。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

フェイスネットワークの成長戦略

商品開発・事業展開の多様化による新たな顧客層の開拓

商品開発・事業展開を多様化させていくための出口(販売)戦略として金融機関との連携を強化しています。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

金融機関が強化を進めているウェルスマネジメントの展開に不可欠な投資用不動産をご紹介する体制を整備するため、2024年からは、特に金融機関と頻繁に面談を行っています。

金融機関は不動産開発の実行部隊を持たず、お客様のニーズに合わせたスピーディな提案が難しいため、短期間で中低層マンションを開発できる当社が注目されています。

例えば、コロナ禍を経て、事業用資産の買い換え特例を活用するケースが増えており、この特例を使った場合は一年以内に物件を購入する必要があります。

こうした需要に基づく情報が金融機関には多く入るため、新築で安定した収益が見込める当社物件の引き合いが多く、完成前に多くの物件が売れています。

また、新たな販売先として、2024年3月期には、みずほ信託銀行株式会社及びみずほ不動産投資顧問株式会社が組成サポートする合同会社「城南ファンド」に3物件を売却しました。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

今後も富裕層向けのニーズは高まっていくと考えられるので、金融機関との連携を中心に、商品展開・事業展開を多様化させて新たな顧客層を開拓していく方針です。

「GranDuo」シリーズの大型化と物件価値の向上

コロナ禍明け以降、資産運用に対する関心が高まっており、10億円単位の物件を求める一般事業法人の需要が増加しています。

このニーズに対応していくために、大型物件の開発を進めています。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

先ほどお話ししたように、事業用の買い換え特例を活用するお客様に対して、収益性の高い物件を提供することで、お客様のニーズに応えていきます。

また、高い技術力や商品力を持った他社様との協業により当社物件を「住むだけで無意識に健康を感じられる空間」とすることで物件価値の向上を図ります。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

例えば、ファイテン様とコラボした「ファイテンルーム」や、良水工房様が手掛ける全館浄水システムを備えたマンションなどがその例です。

また、人が健康的な生活を送るためのサーカディアンリズムという時間周期に合わせ、起床から睡眠までの行動に適した照明の自動設定など、健康を意識した住環境を提供するプロジェクトを複数進行中です。

こうした取り組みを通じて、他社との協業によるシナジー効果を最大化し、オーナー様にとっても入居者様にとっても魅力的で価値のある物件を提供していきます。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

高級レジデンスの開発

近年、高級レジデンスの需要は非常に高く、港区に最近できた物件では、住宅家賃の平米単価がオフィス賃料を上回るケースも見られます。

ただし、このような大型タワーマンションの開発には5年〜10年かかります。

一方で、当社は中低層の高級レジデンスを約1年半から2年で開発することができます。

足元では高級賃貸レジデンス「THE GRANDUO」シリーズ が7プロジェクト進行中で、2025年3月期中に3棟が竣工予定です。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

また高級戸建邸宅「THE GRAN HAUS」の1stプロジェクトとして世田谷区に、4棟の物件を開発しています。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

デザイン性と居住性はもちろん、Well-Beingな暮らしを実現する高付加価値の高級レジデンスや高級戸建邸宅はインバウンド需要も高く、新しいマーケットを開拓できると考えています。

ワンストップサービス体制の充実による経営基盤の強化

近年、建設業の2024年問題もあり建築業界の人手不足が深刻化しています。

安定した物件開発を継続するため、特に施工体制の強化が急務だと考えています。

その取り組みの一つとして2023年7月14日に、1933年の創業以来、建築家から指名を受けるなど施工技術で高い評価を得ている岩本組を子会社化しました。

引き続きワンストップサービス体制を強化し、安定した物件開発を推進していきます。

株式会社フェイスネットワーク 2024年3月期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

会社説明会を開いても9割以上の方々がフェイスネットワークを知らないとおっしゃいます。

これは、これまで当社の物件が一般の消費者の方の目に触れることなく販売されていたためです。

城南3区に200棟以上あるGranDuoシリーズに住んでいる入居者様の中にも、物件名は知っていても、開発・運営しているフェイスネットワークを知らないというケースが多くあります。

しかし、当社の名前を知っていただき、興味を持っていただくことで、私たちの不動産投資支援事業の真価を理解していただけると思います。

これから私たちは多様な商品戦略・事業戦略を進め、それを広く知っていただくことで、より多くの方々に当社のステークホルダーになっていただくことを目指します。

具体的には、Well-Beingをデザインコンセプトとして「住むだけで健康になれる賃貸住宅」という体験価値の提供や、その体験価値を数多く組み込み、これから完成する城南3区で展開する高級賃貸レジデンス「THE GRANDUO」、高級戸建邸宅「THE GRAN HAUS」など、独自のコンセプトに基づいた物件を知って、見て、体験していただき、当社の強みを感じていただきたいです。

今後は、会社説明会や様々なイベントを通じて、直接フェイスネットワークの事業内容やビジョンについて知っていただく機会を増やしていきます。

ぜひ当社の事業にご注目いただき、ファンになっていただければと思います。

投資家の皆様へメッセージ

私たちは不動産投資支援事業を通して、お客様の夢の実現をサポートすることを目標としています。

夢を持って城南3区に集まる方々の中には、当社の物件に住みながら夢の実現に取り組んだり、当社物件を所有することを目標にされ、がんばっている方もいらっしゃいます。

そういったお客様のために長期に亘って高い資産価値を維持できる物件を、モノづくりにこだわる会社として責任を持って一棟一棟開発してまいります。

また、当社は株主還元を経営戦略の重要な要素の一つと考えており、株主様に対しては配当性向35%以上という配当方針を掲げ、積極的な株主還元を行うことで、会社の成長に合わせた確実なリターンを提供していきたいと考えています。

投資家の皆様には、フェイスネットワークの取り組みや業績に、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

株式会社フェイスネットワーク

本社所在地:〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-2-1 FaithBldg.

設立:2001年10月2日

資本金:6億8,112万円(2024年6月アクセス時点)

上場市場:東証スタンダード市場 (2018年3月16日上場)

証券コード:3489

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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