【160A】株式会社​​アズパートナーズ 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年8月16日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社アズパートナーズはDXを掛け合わせたオペレーションを前提とし、入居者様にとって快適な介護付きホームの運営を追求し、介護業界に変革をもたらす「世代を超えた暮らし提案型企業」です。

代表取締役社長 兼 CEOの植村 健志氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社​​アズパートナーズを一言で言うと

介護業界を変え、そして日本の未来を変える「世代を超えた暮らし提案型企業」です。 

アズパートナーズの沿革

株式会社アズパートナーズ代表取締役社長 兼 CEO 植村 健志氏

創業経緯

アズパートナーズは、2004年に私が創業しました。

住宅や不動産業界で長年の経験を積んできた私は、これからの日本にとって、高齢者の住まいの重要性が高まると感じていました。

介護保険制度が導入された直後の日本では、介護付きホームの市場はまだ未成熟でした。

また、”住まい”という観点で新しい形の介護付きホームを提供することに大きな可能性を見出し、介護保険を活用することを前提にした要介護者向けの住まいを提供することを目的に当社を設立しました。

サービスの重要性への気づきと事業拡大、そして上場へ

当初は、建物のハード面に強く注力していましたが、事業を進める中で、真に重要なのは「サービスの質」であることに気づきました。

もちろん、建物のデザインはこれまでにない外観、いわゆるマンションのような作りで、従来の老人ホームとは一線を画していると自負しています。

しかし、介護の現場では建物の設計や設備以上に、介護の現場で働く人材の質がサービスの成否を決定づけることがわかりました。

そのため、創業6年目ごろからは大卒の新卒採用を開始し、介護業界に新たな風を吹き込むべく、若い人材の育成に力を入れました。

正社員でロイヤリティの高い人材に育成することでサービスの質を上げ、社会福祉法人や病院が運営する介護施設とは異なるビジネスモデルを確立させようと、長い時間をかけて醸成してきました。

そして、ベンダーと協力して作り上げた「EGAO link」を活用したオペレーションを確立して、効率の良い運営を実現しています。

そのようなIoTと掛け合わせた革新的な介護付きホームを、これまで27棟の介護付きホームを開発しました。

このように、介護業界に新たな風を起こし、業界を変えていきたいという想いの下、2024年4月に東証スタンダード市場に上場を果たしました。

アズパートナーズの事業概要と特徴

概要

当社のビジネスはシニア事業と不動産事業の2つのセグメントに分かれています。

まず、シニア事業においては介護付き有料ホームの運営を主力事業としています。

私たちは「施設」ではなく「住まい」としての環境を提供することにこだわり、高齢者が安心して暮らせる場所を作り上げています。

設計段階から利用者である要介護者のニーズを徹底的に分析し、快適で機能的な空間を目指しています。

現在、介護付きホームやデイサービス、ショートステイの事業所については、スタッフや入居者様に利便性の高い首都圏に展開しています。

また、不動産事業は介護付きホームの開発を中心に、ヘルスケアファンドや不動産会社、個人投資家への売却や賃貸を行っています。

近年は老朽化不動産を再生するソリューション事業にも力を入れています。

不動産事業はシニア事業とのシナジーを生み出すことのできる大切な事業セグメントです。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

事業における優位性

介護DX

私たちは、IT技術を介護業界にいち早く導入し、業務の効率化とサービスの質の向上を実現しています。

2017年に導入を開始したIoTシステム「EGAO link」を活用した当社のオペレーションは介護業界における稀有な成功事例です。

このシステムの開発には現場とシステム開発、そして経営陣が一体となって関わり、完成させました。

実際、介護業界では様々なIoT製品の開発が行われてきましたが、現場で効果的に活用されているシステムはごく僅かです。

当社は、現場でどのように使われるのか、どのような業務をIoTで代用すれば、スタッフの業務効率を上げることができるのか、負担を低減できるのかを想定した上で、それを実現するシステムを作り上げました。

例えば、これまではPCを使うために持ち場に戻っていたりしましたが、「EGAO link」はスマートフォンで一元的に管理することができるため、時間短縮に繋がっています。

さらに、センサーとスマートフォンを活用したデータドリブンなケアを提供することで、より的確で質の高いサービスを実現しています。

介護業界では通例であった夜間巡回などの業務をDX化することで、スタッフの負担を低減することに成功しています。

具体的な数値で表すと、1日あたりの労働時間を17時間、1日あたりの人件費を約2名分削減することができました。

このように最先端の技術を活用しながら、業務効率化や生産性向上を実現しており、非常にレガシーな業界である介護業界内でDXを推し進めている企業であることが強みです。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

人材採用力

介護業界は採用が困難な業界で、人手不足に悩まされています。

その中でも、当社は3年連続で170名超の新卒を採用することができ、正社員の新卒入社比率は8割を超え、平均年齢28歳という若いスタッフが中心となっています。

ロイヤリティの高いスタッフを見極めて採用しており、数年後には現場のリーダとして活躍できる人材に育っていることも特徴です。

このように、人材の確保が難しい介護業界において高い採用力と育成力を有していることは当社の優位性です。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

不動産事業とのシナジー

シニア事業と不動産事業を融合させた独自のビジネスモデルを展開しています。

長年にわたり不動産業を続けてきたことで、不動産オーナーとの繋がりや老朽化不動産の情報など、良質な情報を得ることができます。

さらに、当社は介護付きホームを”施設”ではなく、あくまで”住まい”として考えており、不動産業界出身者を中心にプロ人材が開発を手がけています。

このようにシニア事業単体ではなく、不動産事業において強みを持っていることで、両事業で相乗的なシナジーを活かした成長を実現しています。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

アズパートナーズの成長戦略

シニア事業

シニア事業については、今後もドミナント戦略を進めていきます。

特に首都圏においては、人口密度が高く、高齢者人口の増加が見込まれるエリアが中心です。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

さらに、これまでの介護付きホームの運営において得た経験を基に、「EGAO link」を最大限活用して利益率を高め、居室数も増やしていきます。

実際に当社にとっては、1フロアに33室/3階建の全99室の介護付きホームが最も運営効率が高いことがわかりました。

今後は利益率を高めていくためにも、現状の物件から大型化させた規模の介護付きホーム開発を目指していきます。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

また、地域で競争力のあるホームについては、新規ご入居者から値上げを実施し、物価上昇に伴う価格転嫁も実施しました。

当社はボランティアではなく、あくまでサービス業であると考えているため、良質なサービスを提供し続ければ、その対価として真っ当な報酬を受け取れるはずだと考えています。

今後も、社員への待遇改善や質の良いサービスを届け、顧客単価の向上を目指します。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

そして、デイサービスの運営モデルを確立させます。

デイサービスは要介護認定の中でも比較的軽度である方々が多いことが特徴ですが、年を取るごとに要介護認定も高くなっていくケースがあります。

そのため、デイサービスを受けていた方々が当社の介護付きホームに入居することもあり、チャネルとしての役割もあります。

コロナ収束以後、丁寧な営業活動により稼働率が向上しており、今後も積極展開するとともに収益性を向上させていきたいと考えています。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

不動産事業

シニア開発事業、つまり介護付きホームの開発を積極的に進めてまいります。

しかし、しっかりとした自社スタッフに成長するまでに一定期間必要であるため、ペースを崩さずに、サステナブルに成長できるような開発を行います。

2024年3月期の実績は1件でしたが、2025年3月期以降は年間2〜3件を目標にシニア開発事業を伸ばしていきたいと考えています。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

成長機会

今後の成長の機会として、私たちは介護DXのさらなる推進と外部へのコンサルティングサービス提供を視野に入れています。

特に、「EGAO link」システムを中心としたオペレーション改善は業界内でも数少ない成功例の一つです。

また、多くの介護事業者はメーカーが開発した画期的な製品を導入しても、なかなか業務効率化に繋げるところまでオペレーションを改善できないという課題が発生しています。

そこで、当社が機器開発や販売を行うパートナー企業と協業し、他の介護事業者に向けてコンサルティングを行うことで、新たなビジネスチャンスが生まれると考えています。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

さらに、介護DXの最先端を取り入れていくために、AIケアプランやBIツールを活用した運用を、既に3ホームで試験運用を始めています。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

そして、これまで積み上げてきたデータや他社との協業を駆使して介護事業者全体にアプリの販売や介護DX、コンサルティングなどの価値を提供していきます。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

私たちの成長を支える最大要因は、人材とIT技術の融合です。

特に、新卒社員の採用と育成に注力していますが、若い人材が多いため、技術への対応力は早く、柔軟でスピード感を持って業務にあたっています。

今後も、介護サービスの質を維持しながら、効率的なオペレーションを実現し、他社との差別化を図っていきます。

この強みを活かし、さらに多くの地域で事業を展開し、日本全国の高齢者に安心と快適さを提供します。

ぜひ、介護業界でも珍しくDX化を果たした企業だ、と注目していただけると嬉しいです。

株式会社アズパートナーズ 2024年3月期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

アズパートナーズは、日本社会の高齢化に対応するために、非常に重要な役割を担っています。

介護付きホームの需要は今後も増え続けると予想されていますが、IT技術の導入による業務効率の改善や、人材育成により、将来的な競争力を維持することが可能です。

今後も社会に貢献しながら、着実に収益を生み出す企業として、皆様の期待に応えていきたいと考えています。

投資家の皆様には、当社が持続可能な成長を遂げる企業だと信じていただき、安心してご支援いただけると幸いです。

株式会社アズパートナーズ

本社所在地:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2丁目2番地 御茶ノ水杏雲ビル11階

設立:2004年11月2日

資本金:587百万円(2024年7月末時点)

上場市場:東証スタンダード市場(2024年4月4日上場)

証券コード:160A

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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