【142A】株式会社ジンジブ 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年4月17日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社ジンジブは高卒新卒を起点に、人生のすべてのシーンに寄り添い希望を与えるパートナーを目指しています。

代表取締役の佐々木満秀氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社ジンジブを一言で言うと

高校生・高卒社会人向けのサポートカンパニーです。 

ジンジブの沿革

株式会社ジンジブ代表取締役 佐々木満秀氏

創業経緯

当社は1998年に個人事業主として創業し、1999年には有限会社となり、フリーペーパー事業から始めました。

その後2000年代に入って、当時まだ普及していなかった携帯電話業界に特化したPR会社を立ち上げ、業界の成長と共に私たちも成長しました。

その後、サラリーマン時代の倒産経験も踏まえ、「人」を大事にし「未来」を見据えた経営判断を行うことを誓い、これまで経営にあたってきました。

世の中のジンジブに

45歳で新たな社会課題に取り組む決意を固め、2014年に株式会社ジンジブを設立しました。

そのような中で日本社会の少子化や人口減少の課題に焦点を当て、中小企業を支援するための事業を行いたいという思いと、古い制度に囚われた高校生の就活のやり方に疑問を持ち2019年には、全事業を高卒人材採用支援事業に特化させる意思決定をいたしました。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

それまでに厚生労働省や文部科学省に直接掛け合い、高卒就活の制度の啓蒙活動や制度の刷新に力を入れておりました。

そして地銀や信金との提携も進め、人手不足を抱える中小企業の開拓を行い、現在では70行以上の金融機関と提携しております。

さらに2020年に事業再編を行い全事業を高卒人材採用支援事業に特化したものの、すぐにコロナ禍が襲いました。

これを機に販売方法の変更なども行い、何とかコロナ禍も乗り越え、2024年3月にグロース市場への上場を果たしました。

この上場は資金調達や人材採用の強化はもちろんのことですが、何よりも高校生の就活の現状をより広く知ってもらうためでもありました。

そして上場し信用を得ることで、高校生の就活を通じて、各自が自分に合ったキャリアを描けるような支援をしていきたいと考えています。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

ジンジブの事業概要と特徴

概要

当社は高校生向けに、より多様なキャリア選択を提供するためのサービスを展開しています。

まず1つ目が「ジョブドラフトNavi」という高校生専用の求人ナビサイトの運営です。

このサイトでは単なる給与や勤務条件の情報だけでなく、企業の理念や社風、人間関係など、働く意義を感じられる要素を詳細に紹介しています。

企業のPR動画等も取り入れ、高校生にとってわかりやすく、親しみを感じることができるようなサービス作りをしています。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

2つ目は「ジョブドラフトFes」として高校生向けに全国で合同企業説明会を実施しております。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

この2つの事業が当社の主なビジネスモデルとなっています。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

事業における優位性

学校網の構築

当社は十年近く都市部を中心に、年間1,800校ほどの高校にリーチし、学校網を構築してきました。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

学校網を拡大していくために、当社は学校向けサービスを無償で提供しています。

まず「ジョブドラフトTeacher」では、これまで教員の方々が手書きで管理していた求人票を全てオンラインで管理することが可能です。

また、「ジョブドラフトCareer」という高校生向けのキャリア教育コンテンツを提供し、日々の業務で忙しい教職員の方々の準備や負担を軽減しながら、高校生自らがキャリアについて考えることができるようにサポートしています。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

この無償サービスと先ほどご紹介した企業と高校生をマッチングさせるサービスを展開しながら強固な学校網を構築しています。

これは一朝一夕でできるものではなく、当社が地道に高校に対してアプローチしてきたからこそできる、参入障壁の高い事業基盤・顧客基盤だと考えております。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

高校生に刺さるサービスの開発・販売

先ほどもお話ししましたが、高校生が就職活動を行う際、文字情報だけでは企業の魅力を十分に伝えることは難しいと考えています。

これまで、多くの高校生は一人につき一社までしか応募できないというルールの下、就活を行っています。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

当社はそのような現状をより改善するべく、高校生専用の求人サイトであるジョブドラフトNaviや合同企業説明会のジョブドラフトFesを展開しています。

高卒専用の求人サイトについては当社がパイオニアであり、合同企業説明会については2023年度については延べ31会場で開催しております。

そして、企業に対してこれまで蓄積してきたノウハウを活かして、高校生に「話を聞いてみたい・入社したい」と思ってもらえるよう、各種採用支援商材を提供しています。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

ジンジブの成長戦略

成長戦略のサマリー

まずは地方深耕を本格化し学校網・企業網を拡大し、600億円超を見込む市場で最大手としてのポジションを確立していきます。

そして企業への提供価値を高めながら、付加価値向上に注力していきます。

また既存事業のマーケットから新たなマーケットにも展開し、業容拡大を目指していきます。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

地方深耕

我々が注目している高卒の就職市場には約20万人の就職希望者がおり、高卒求人を出している企業は約8万7千社に上ります。

しかし、現在当社が取り扱っているのはその中の2,000社程度ですので、市場のポテンシャルは非常に大きいです。

特に中途採用が困難な企業が増えている中、地方においては新たな潜在的な顧客層としての需要増加が予測されます。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

市場規模は約600億円と見込まれており、支店網をさらに拡大しつつ地方に根差した求人代理店を活用しつつ、全国規模での事業展開を目指します。

特に高卒向けの市場では、他に選択肢が少なく、我々のサービスに対する需要は大きいこと、また前述の通り学校網を構築していることから、他社との競争に巻き込まれることなく成長していくことができると考えています。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

付加価値向上・アップセル

中小企業向けのサービスを強化し、掲載単価の上昇とアップセルを推進しながら更なる単価向上を目指します。

現状、日本の多くの中小企業は専属の人事部を持たず、社長や管理部長が人事も兼務していることがほとんどです。

私たちはこれらの企業が直面する課題に対処するため、採用だけでなく教育や従業員の定着支援といった人事機能全般を支援するサービスを展開しています。

これにより取引単価は過去2年半で150%増加し、さらに成長を加速させることができると見込んでいます。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

高卒 第二新卒市場やライフサポートへ業容拡大

中長期的な戦略として、高卒の第二新卒市場やライフサポート事業へ業容を拡大させていく方針です。

高卒社会人の早期離職率は非常に高く、離職者が年間で十万人以上にも上ることから、この市場での支援サービスの需要が高まっています。

これが中期的な成長戦略の一環となると考えています。

さらに、当社が保有する高卒データベースを活かして、結婚・住まい・資産形成などの生活をサポートするようなtoC向けにサービスを考えていきます。

このようにポテンシャルのある市場に対してアプローチしていき、持続的な成長を実現させていきます。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

当社のパーパス「これからを生きる人の夢を増やす」は、日本社会で未来に対して夢や希望を持てない若者が増えている現状を変えていくことにあります。

私たちは、少子化や未婚化といった社会問題にも直結するこの問題に対し、具体的な解決策を提供したいと考えています。

特に、若者たちに新しい夢や希望を与え、彼らがその夢を実現できるよう支援することが私たちの目指すところです。

例えばですが、現代の若者が関心を持つYouTuberやTikTokerなど、今までは就業への道が少ない職業に就業する機会の提供などは、今後積極的に展開していきたいと思っています

さらに、2030年には予測される80万人のIT人材不足に対応するため、ITエンジニアなどの職業訓練のサポート事業にも展開する機会があればしたいと考えています。

当社は社会的課題への対応をビジネスチャンスと捉えており、様々なサービスを展開していきますので、ぜひ当社の事業展開にご注目いただければと思います。

株式会社ジンジブ 2024年3月22日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

我々ジンジブは、若者向けの教育およびキャリア支援事業において顕著な成長を遂げています。

プライム市場や大手企業に投資が集中している中で、成長潜在力を持つ我々のような企業への注目が必要だと考えています。

今後は投資家の皆様にとっても信頼できる企業となるよう、透明性を持って事業運営を行い、堅実な成長を続けることで、市場からの信用を一層強化していく所存です。

ぜひ当社に興味をいただいた方には長期的な目線でご支援いただけると幸いです。

株式会社ジンジブ

本社所在地:〒541-0054 大阪府大阪市中央区南本町2-6-12 サンマリオンタワー14階

設立:2015年3月23日

資本金:301,262,500円(2024年4月末時点)

上場市場:東証グロース市場(2024年3月22日上場)

証券コード:142A

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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