※本コラムは2024年11月7日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社システムリサーチは「ビジネスに寄り添うITパートナー」としてIT技術で社会に貢献しています。
代表取締役社長の平山 宏氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
株式会社システムリサーチを一言で言うと
「ビジネスに寄り添うITパートナー」です。
システムリサーチの沿革
創業の経緯
当社は1981年3月に現会長の山田が創業しました。
創業当初は富士通の二次請けとしてトヨタグループのシステム開発に従事していましたが、顧客の信頼を得て担当の領域を広げていき、トヨタグループと直接契約していただける様になりました。
事業領域の拡大と上場
取引先も、社員数の増加に伴って、自動車業界から製造業、物流業、さらにそれ以外の業界へと広がっていきました。
また、地域的にも中部から東京、大阪へと進出していきました。
そして、2005年にはジャスダックに上場し、2016年に東証二部へ上場、さらに同年に東証一部に指定されました。
この上場プロセスの中で、適用要件を満たすために社内体制やガバナンスがしっかりと構築されたことからも、上場は当社にとって大きなターニングポイントだったと考えております。
また、M&Aに関しては、2006年にイリイ株式会社(2014年吸収合併)、2022年にゼネラルソフトウェア株式会社(2023年吸収合併)を連結子会社化しております。
システムリサーチの事業概要と特徴
概要
当社のビジネスは大きく分けて2つです。
まず1つ目はSIサービスで、主にお客様の基幹システムの開発が中心となります。
そして、システムのコンサルティング・設計・開発・導入だけに留まらず保守・運用にも注力しています。
保守・運用により顧客とのリレーションを築き上げ、その後のシステムのバージョンアップやリプレイスのリピートオーダーを受注することで安定した収益を上げています。
このSIサービスが当社の売上の約90%を占めています。
もう1つはプロダクト&サービスです。
EC支援サービスとして、本格的なネットショップをWEB上で簡単に開業できる「イージーマーショップ」をサブスクリプションサービスで展開しており、契約件数は1万件を超え、年間の流通総額は約100億円です。
また、中小企業向けパッケージソフト「イリイプロダクト」を展開しています。
通販業向けパッケージソフトの「Simplex」やコールセンター向けの「CTIコネクテル」、財務や給与などバックオフィス管理の「BIGシリーズ」などのラインナップで、多くの企業様にご愛用いただいています。
事業における優位性
顧客密着型のサービス提供
当社の強みは「顧客密着」でサービスを提供している点にあります。
お客様に寄り添い、課題を発掘し、それに応じたシステムの開発やサポートを行うことが可能です。
業界としては、自動車、製造業、物流業をメインに、それぞれの業界や企業に合わせたシステムを提供しています。
中には創業以来取引を継続している企業もあります。
顧客密着という点で具体的な例を挙げますと、設立当初から取り組んでいる自動車販売店の業務システムの開発があります。
ディーラーのセールスマンがタブレットを使ってお客様に見積もりやオプションの提案を行う業務を支えるシステムなど、現場の声を聞きながらアップデートを重ねてきました。
このように業界・業務に合わせてシステムを開発し、そして保守・運用までトータルサポートしながら、お客様のニーズに沿ったサービスを提供し続けています。
また顧客密着により、業務知識やノウハウをお客様と同じレベルまで高められるため、信頼を得ることにも繋がっており、長期的な取引を実現しています。
大手企業を中心とした顧客基盤
大手自動車メーカーの取引で、先ほど挙げた販売店システム以外に、自動車工場の生産管理やライン制御なども担当しています。
また、大手配送業では、ドライバー端末やお届け通知メールの仕組みを手がけています。
製造業では、大手製鉄メーカーのプラント制御(工場系)や品質管理システムを提供しています。
大手物流メーカーでは、自動倉庫の通信制御・在庫管理システムの開発を担当しています。
このように、多種多様な業界の大手企業と取引があるのは、当社への信頼や実績が認められているからだと自負しています。
システムリサーチの成長戦略
中長期目標
中長期的な目標として、2026年3月期に売上高300億円を達成し、中期的には500億円、長期的には1000億円と、着実な成長を目指すロードマップを描いています。
現在、既存顧客の多くがレガシーシステムを抱えており、これらのリプレイスや再構築の需要が非常に高い状況です。
そのため、既存顧客のニーズにしっかり対応していくことで、確実にこの数値目標を実現することができると考えています。
また、地域としては企業数の多い関東圏・関西圏へのマーケット拡大を目指しています。
さらに、現在は大手SIerからの二次請けが売上の約半分を占めていますが、高い利益率が期待できる大手エンドユーザーとの直接取引を徐々に増やしていきたいと考えています。
ただし、エンドユーザー向けの新規案件は提案力やスキルが高く求められるほか、失敗時のリスクも大きいため、急激な拡大は難しい状況ですが、計画的に進めていく必要があります。
一方、大手SIerやメーカーからの二次請けは、プロジェクトマネジメントを元請けが担うケースが多いため、利益率は若干低くなりますが、安定した収益を上げられる側面もあります。
そのため、引き続き重要な取引先として位置付け、メーカーやSIerとの取引を減らすのではなく、新規顧客の開拓を加えることで売上を伸ばしていくことで、まずは中期的な目標である売上高500億円を達成したいと考えています。
新規顧客開拓のためのプロダクトとストック収益の拡大
新規顧客を開拓していくためにも、プロダクト&サービス事業を強化していきます。
現在、DX関連事業が伸びていますが、特にペーパーレス化やRPAといった自動化ソリューションの需要が非常に高く、AIを活用したソリューションの需要も増えています。
また、長期的な成長も見据え、SIサービスとならぶ中核事業として、プロダクトソリューションを伸ばしていきたいと考えています。
現在、当社の売上の90%以上をSIサービスが占めていますが、あくまで労働集約型ビジネスのため、売上を増やすためには人材を増やせるかどうかが課題です。
また、今後はサブスクリプションモデルの様に契約数の拡大により売上と利益が伸びる、決済サービスで取引量が増加すれば、手数料収入による利益が拡大する、このように人がいなくても稼げる非労働集約型のビジネスモデルを長期的な成長の柱にしたいと考えています。
採用戦略
人材の採用が売上の増加に直結するため、積極的な採用活動を行っています。
当社では、毎年社員数の約1割を新卒採用で採用する方針を掲げ、今年度は136名の新卒社員を採用し、来年度の採用目標は180名としています。
採用戦略の基本は「現地採用」で、東京地区なら東京、名古屋地区なら名古屋と、各地域での採用を行っています。
もちろん転勤も一部ありますが、基本的にはエンジニアにとって働きやすい職場環境を提供することが、採用力向上にもつながると考えています。
注目していただきたいポイント
「Next Vision 50th」として現在取り組んでいるテーマが5つあります。
1つ目は「コア事業の拡大と高度化」です。関東圏・関西圏のマーケットを拡大し、得意分野の事業特価・ソリューション拡充を図ります。
2つ目がECのサブスクリプションサービスのような、SIサービスに加え次世代の中核事業となりえる「Next事業への挑戦」です。
3つ目は、「新たな価値を創出する技術力」SI企業としての基盤である技術力、つまりエンジニアリング力の強化です。
継続的な教育を通じてエンジニアのスキル向上に取り組んでいます。
4つ目は、「人的資本とバックオフィスの強化」です。
人材や売上が拡大する中で、セキュリティ、ガバナンス、マネジメントの分野をしっかりと整備し、人的資本の基盤を強化していきます。
5つ目は、「従業員エンゲージメントの深化」として従業員やパートナーのエンゲージメントの向上を目指します。
当社にとって人材は最大の財産であると考えています。
人的資本への投資を重視し、従業員だけでなく、協力会社のパートナーさんも含め、しっかりと成長できる環境を整備しています。
この5つのテーマをPDCAサイクルで回しながら、継続的に改善・発展させる取り組みを進めています。
ぜひ、当社の安定した事業基盤から描く今後の成長イメージに期待していただければと思います。
投資家の皆様へメッセージ
ITの需要は引き続き豊富であり、当社としても今後さらに業績を伸ばしていく方針です。
また、今年から配当性向40%を目標として掲げ、一つの指針として実現を目指していきたいと考えています。
ぜひ当社に興味を持っていただき、長期的にご支援いただければと思います。
株式会社システムリサーチ
本社所在地:〒453-0861 名古屋市中村区岩塚本通二丁目12番
設立:1981年3月26日
資本金:5億5,015万円(2024年11月アクセス時点)
上場市場:東証プライム市場(2005年6月13日上場)
証券コード:3771