※本コラムは2025年3月6日に実施したIRインタビューをもとにしております。
三和油化工業株式会社は「環境ニーズを創造する」をテーマに廃棄物のリユース・リサイクルに取り組んでいます。
代表取締役社長執行役員の柳 均氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
三和油化工業株式会社を一言で言うと
日本企業のものづくりを支える「化学のリサイクルメーカー」です。
三和油化工業の沿革

創業の経緯
当社は1970年(昭和45年)、私の父が愛知県の桶狭間で立ち上げた会社です。
当時の昭和40年代といえば、日本全体がモータリゼーションの波に乗り、自動車の生産がどんどん伸びていた時代でした。
特に愛知県の三河地方では、トヨタ自動車が徐々に成長し、その影響で自動車部品の供給が盛んになりつつありました。
そのような中で、需要が高まっていたのが工業用の「油」です。
自動車部品の製造工程では、部品の成形をする際や搬送機器を動かすために、油が欠かせません。
しかし、当時市場に出回っていた油の大半は、大手メーカーによる汎用品であったため、中小のメーカーさんから「自社の用途に合わせてカスタマイズされた油が欲しい」という要望が非常に多く寄せられました。
父はこうした現場のニーズを敏感に察知し、それに応える形で自動車関連メーカー向けの潤滑油や化学品を提供する油剤メーカーを始めました。
それが三和油化工業の原点です。
産業廃棄物リサイクルの道へ
1990年頃までは、日本の自動車産業は順調に成長していました。
トヨタを中心に事業規模を大きく拡大していきましたので、三和油化工業の業績も、それに伴って順調に伸び続けました。
ところが当時、世間では環境問題が大きく取り上げられ、「地球のオゾン層に穴が開き、皮膚がんのリスクが高まっている」といったニュースが連日のように報じられました。
これまでの経済成長一辺倒の考え方が見直され始め、環境への配慮が先進国で求められ始めたのです。
そうした流れの中で、日本とアメリカは「モントリオール議定書」に署名しました。
この議定書は、環境に対する負荷を低減するため、工業製品の製造方法を見直そうという国際的な取り決めで、今の「サステナビリティ」の原点のようなものです。
これを受けてトヨタも「すぐには難しいが、段階的に環境負荷の少ない製造方法に切り替えていく」という方針転換を打ち出しました。
まだ環境規制が緩かったこともあり、当時の三和油化工業は化学原料を使用した製品を自動車メーカーや部品メーカーにそのまま供給していました。
しかし、「規制がいずれ厳しくなれば、これまでのやり方だけでは事業が立ち行かなくなるかもしれない」と父は強く危機感を覚えたそうです。
そんな時、トヨタからのアドバイスもあり、父は「これからは環境事業に軸足を置かなければ会社の将来はない」と決断しました。
そして1993年には研究棟を新しく建設し、「メーカー機能を持った産業廃棄物リサイクル企業」として新しい道へと踏み出しました。
しかし、油を扱ってきた企業がいきなりリサイクル事業を始めるのは簡単ではありません。
そこで、まずは「液体を扱う技術」が生かせるということで、廃溶剤のリサイクルに挑戦しました。
廃溶剤を回収し、それを蒸留して不要な成分を取り除き、再利用できる品質にまで精製するという事業です。
ところが当時の日本では「経済成長こそが最優先。リサイクルはコストが高いだけで成長を妨げる」という考えが根強く、再生した製品はなかなか売れませんでした。
そのため、父は最初の3〜4年間は「このままでは会社が潰れてしまうのではないか」と、本当に苦労したと聞いています。
事業の成長と上場
1998年に入ってからは、低沸点溶剤蒸留設備や高沸点溶剤蒸留設備など、新しい施設を次々に建設していきました。
当時は試行錯誤の連続で苦労も多かったですが、徐々に技術が確立され、2000年代になると、リン酸などの廃酸分離回収設備や貴金属回収設備など、新しいリサイクル設備を導入し、事業の幅をさらに広げていきました。
その結果、長年積み重ねた技術力が評価され、2017年度には国内最多となる約56,785トンの有機溶剤廃液を収集・再資源化するという実績を達成するまでになりました。
これがきっかけとなり、業界の中で当社は大きく存在感を増すことになりました。
そして2021年12月には、東証JASDAQスタンダード市場および名証第二部に上場を果たしました。
なぜ上場したのかとよく聞かれますが、その理由を一言でお伝えすると、「少子化を見据えた対策」の一環です。
私はこの会社で10年以上社長を務めていますが、長期的に会社を存続・発展させるために最も重要だと思っているのは、「良い人材が当社を好きになり、自ら主体的に動いて、会社の発展に力を尽くしてくれること」です。
お客様や相手のために何ができるのかを真剣に考え、自分から積極的に行動できる社員がいてくれれば、どんな時代になっても会社は必ず存続できると確信しています。
しかし実際のところ、愛知県は企業数が非常に多く、優秀な人材はどうしても大手企業に流れてしまいがちです。
もちろん、当社が環境事業を手掛けているということで、一定の関心を持っていただくことは多いのですが、それだけではまだまだ足りません。
「ぜひ三和油化工業で働きたい」と、もう一歩踏み込んで思ってもらうためには、会社自体の魅力を高める必要がありました。
そこで考えたのが「上場」でした。
上場することによって会社の社会的信用や信頼度が高まり、倒産リスクも低くなります。
さらに、上場企業は常に成長を求められる立場にありますから、社員も「この会社の成長に自分の人生をかけてもいい」と、より主体的に感じてもらえるようになるのではないかと考えました。
そして上場4年目となった現在では、社員全員が一丸となって、循環型社会の実現に向けて様々な取り組みを進めています。

三和油化工業の事業概要と特徴
概要
当社はリユース・リサイクル分野に特化し、主に産業廃棄物の再資源化を手掛けています。
特に強みを持っているのが、有機溶剤のリサイクル分野です。
私たちはこれまで、使用済みの溶剤を焼却せずに再生する独自の技術を開発してきました。
この再生技術は環境負荷を大幅に低減できるため、環境貢献度が非常に高く、国内ではほとんど例を見ない、高度なリサイクル手法だと自負しています。
現在の事業は、「リユース事業」「リサイクル事業」「化学品事業」という3つのセグメントを主要事業として展開しています。
まずリユース事業では、有機溶剤や廃酸、有価金属などの産業廃棄物を受け入れ、当社の中間処理によって純度を高め、元の用途や素材として再利用可能な製品へと再生しています。

次にリサイクル事業ですが、こちらは汚泥や廃プラスチック類などの再生が困難な廃棄物も積極的に受け入れて再資源化を行っています。
たとえば、セメント原料や鉄鋼メーカー向けの副資材に加工するほか、サーマルリサイクル(熱回収)としてエネルギー利用するなど、多面的な活用方法で資源を循環させています。

最後の化学品事業では、長年培ってきた蒸留・精製技術を活かし、有機溶剤や精密化学品を高純度化して、自動車や電子材料メーカーなどに提供しています。
具体的には、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)やGBL(ガンマブチロラクトン)といった高純度溶剤の製造を受託したり、リチウムイオン電池用の電解液や電池用バインダー溶液の受託製造を行うなど、成長産業である電子部品や電池業界向けの製品供給にも力を入れているところです。

当社のお客様は、東証プライム市場やスタンダード市場に上場している大手製造業が中心です。
創業以来、町工場や中小企業をターゲットに直接営業するという方法はあえて取らず、大企業をメインターゲットに事業を展開してきました。
特にプライム市場に上場している企業は、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、SDGs、脱炭素などの取り組みを積極的に進める必要があります。
私たちとしても、そういった企業の皆さんと「これからの社会をどのように作り上げていくのか」というビジョンを共有し、会社の総力を挙げて製品や技術の研究開発を進めているところです。

事業における優位性
ユニークなビジネスモデル
当社は製造機能と廃棄物処理の機能を兼ね備えた、非常にユニークなビジネスモデルを持っています。
一般的な産業廃棄物処理企業というと、廃棄物の最終処分や金属資源の回収に特化した企業が多いと思います。
一方で、当社の場合は、廃棄物を単に処理するのではなく、それを原料として再び価値ある製品に生まれ変わらせることが可能です。
特に大きな特徴は、垂直循環型のサービスを提供していることにあります。
当社は自社で化学製品を製造・販売し、その使用後に出る廃棄物を自ら引き取って再生処理し、再び顧客に還元しています。
この「供給+回収」という仕組みを通じて、製品の販売と廃液リサイクルを一体化した循環型サービスを確立してきました。
こうしたモデルは、使用済み薬液の処理や安定的な原料供給が常に課題となっている半導体や電池業界から非常に高く評価されています。

数多くの特許を取得
また、事業を支えているのは、何といっても特許技術です。
当社は定期的に特許を取得し、独自の技術を保護しています。
一般的に「リサイクル事業」というと、単なる「廃棄物処理」をイメージされがちですが、私たちの考え方は少し違います。
当社の目的は、処理すること自体ではなく、廃棄物を再び価値のある資源に変えることにあります。
通常の製造業と何ら変わらず、原料に技術を加え、付加価値のある製品を作り出しているのです。
違いといえば、原料が新品か廃棄物かという点だけです。
そのため、当社では材料開発を非常に重視しており、大手企業との共同開発を積極的に進め、その結果として数多くの技術特許やプロセス特許を取得しています。
追い風の市場環境
市場環境も現在、私たちにとって追い風となっています。
最近の自動車業界は大きな変化が進んでおり、軽量化や電子部品の増加、電池の利用拡大などに伴い、「ケミカル化」が進んでいます。
従来の自動車は鉄やアルミなど世界中で安定調達できる資源を利用していましたが、次世代自動車に必要な化学素材(ケミカル材)は、需要の急増で安定供給が難しくなっています。
加えて、経済産業省の主導で石油化学コンビナート、いわゆる「エチレンセンター」の廃止が進められており、国内の大手化学メーカーが相次いで影響を受けています。
その結果、プラスチック製品の原料となる石油由来の化学物質の供給が減少し、中国への依存度が一気に高まっています。
これは食料やレアメタルと同様に、サプライチェーンにおける大きなリスクとして認識されています。
実際に、大手企業の調達担当者からも「中国以外の国から原料調達ができなければ、政治的なリスクに振り回されて安定した製造が難しくなる」という切実な声が増えています。
こうした状況を踏まえて、脱炭素やサステナビリティ、さらにはBCP(事業継続計画)の観点から、メーカー各社は単なる原材料の供給だけではなく、その後のリサイクル・再利用を積極的に検討しています。
たとえば、トヨタ自動車が製造過程で発生させる廃液を、当社のような企業が回収し、再び精製・分離して自動車メーカー自身が再利用できるようにする、という循環型の取り組みが求められています。
リユース・リサイクルという観点から見ると、大手企業ほど環境負荷削減の課題を抱えていますので、当社のようなリサイクル技術を持つ企業の役割はますます大きくなっていると実感しています。

三和油化工業の成長戦略
半導体業界における戦略
現在、半導体業界はAI関連を除けば景気が低迷している状況ですが、2025年度の夏以降には市場が回復してくると期待しています。
当社は半導体製造工程の中でも「前工程」と呼ばれる分野に多く関わっています。
この工程では非常に多くの溶剤が使用されるのですが、特に洗浄用の溶剤は、製品の品質に直結する重要な薬液です。
半導体は微細な配線を作るため、わずかなホコリや異物の混入でも品質が著しく損なわれてしまいます。
そのため、使用される溶剤には極めて高い純度が求められています。
当社はそのニーズに応えるため、リユース事業で培った独自の蒸留技術を活用し、新品の原料をさらに高純度化した溶剤として半導体メーカーに提供しています。
さらに、このプロセスで発生する使用済みの廃液も当社が回収し、リユース・リサイクルへつなげています。
ただ、現在の半導体業界では品質要件が非常に厳しく、使用済みの溶剤をそのまま同じ用途で再利用するのは、現実的にはまだ難しい状況です。
そのため当社では、この廃液を高度に精製して別の工業用途向けに再利用しています。
具体的には、再利用が難しいものについてはセメント産業に向けて供給し、重油や石炭などの代替燃料として活用していただいています。
このように、新品の高純度溶剤の供給量が増えるほど、当社の化学品事業の売上が伸び、それと同時に使用後の廃液も回収量が増えるため、リユース・リサイクル事業も成長するという仕組みです。
つまり、半導体業界の景気が回復すれば、当社全体の事業成長につながるという好循環が生まれる構造になっています。
こうした成長戦略をさらに推進するため、現在当社は九州に新会社を設立し、基盤整備を進めているところです。
私たちの展望では、3年後には大きく成長できると考えています。
半導体向けの高純度溶剤をメーカーとして品質保証を行った上で納入できる企業は、国内では非常に限られています。
この分野は技術的な難易度が非常に高いため、非上場企業まで含めても片手で数えるほどしか参入しておらず、競合が極めて少ないことが当社の強みでもあります。
もちろん競争相手が全く存在しないわけではありませんが、市場内での競争環境はかなり限定的で、今後の半導体業界の景気回復を踏まえると、当社として大きな成長を見込める分野だと考えています。

電池業界における戦略
次にお話ししたいのは電池業界における戦略です。
リチウムイオン電池の製造には、特に正極材や電極を作る過程で非常に多くの化学品が使われています。
このリチウムイオン電池の原料というのは、日本のメーカーだけでなく世界中の電池メーカーがほぼ同じ材料を使用しています。
当社ではこうした原料を調達し、一部は自社で品質を整えてから正極材として供給しています。
また、電池の性能を高めるために使われる「バインダー」、つまり電極の材料を接着して安定化させる成分にも、多種多様な化学原料が必要となります。
当社はその分野でも原料の供給を担っており、電池業界全体のニーズに応える体制を整えています。
さらに、電池の製造工程でも大量の廃液が発生しますが、これも当社が回収して精製・再生処理を行い、再びリチウムイオン電池の製造ラインに戻しています。
電池業界は半導体業界に比べると品質基準がそこまで厳しくないため、廃液を比較的容易にリユースでき、ほとんどの廃液を電池業界内で循環させることに成功しています。
そして今、愛知県近郊では、大手企業が新しく電池製造事業を立ち上げる計画が進んでいます。
当社はその原料供給とリサイクルの両方を全面的に担当する予定で、期待できるプロジェクトです。
一部の廃液については他の産業へ提供する場合もありますが、基本的には電池業界内でほぼ全ての廃液を循環利用できる体制が整いつつあります。
こうした取り組みを通じて、電池業界の成長とともに、当社自身もさらに大きな成長ができると考えています。

電子部品業界における戦略
そして、電子部品業界についてお話しさせていただきます。
私たちは村田製作所のような大手電子部品メーカーをはじめ、積層セラミックコンデンサ(MLCC)やアルミ電解コンデンサのメーカーにも多くの化学原料を提供しています。
電子部品の製造プロセスでは、大量のファインケミカル製品や溶剤が必要となりますが、当社はこれらの供給に加えて、自社で再生処理した化学製品の提供も行っています。
特にコンデンサ製造の現場では、多くの溶剤が使われるため、廃液の発生量もかなりの量になります。
当社では、こうした廃液を確実に回収・再生できる仕組みを構築しており、アライアンスを組むパートナー企業とも連携しながら再資源化を進めています。
具体的な取り組みとしては、山陰地方のお客様への取り組みが挙げられます。
名古屋からは距離が離れているため、当社は1年ほど前からアライアンス先と協力して、現地に蒸留施設を設置し、ユーザーの近くで廃液を回収・精製して再び製造工程に戻すという仕組みを作りました。
まだ本格稼働には至っていませんが、今後AIデータセンターや自動運転技術の普及に伴い、コンデンサの需要がさらに伸びていくと期待しています。
当社としても将来的な成長を見越して、このような体制の整備を着々と進めているところです。

エンジニアリング事業における戦略
最後に、4つ目の事業領域として、新たに取り組んでいるエンジニアリング事業についてお話ししたいと思います。
私たちはこれまで培ってきた化学分野の技術を活用して、「化学コンビナートの解体事業」に積極的に力を入れていこうと考えています。
先ほど少し触れましたが、日本国内の化学コンビナートは2050年に向けて大幅に縮小される見込みで、特に大都市圏の港湾エリアに密集しているコンビナートの約半数が、今後淘汰されると言われています。
すでにその統廃合の動きは少しずつ進んでいるのが現状です。
化学コンビナートや大規模な化学プラントの解体というのは、一般的なビル解体とは異なり、特殊で高度な知識や技術が不可欠となります。
一般的な解体業者では対応が難しく、化学物質の分析から処理・運搬に至るまで、専門的なインフラとノウハウを備えた企業が求められています。
まさに当社がこれまで蓄積してきた化学品処理のノウハウが活かせる分野であり、競争力を発揮できると考えています。
また、建設業界では「2024年問題」と言われる残業規制の厳格化や安全管理の強化によって、解体業界への新規参入企業が減少していく見込みです。
その一方で、市場規模は今後も拡大していくため、解体工事を担える企業の数が足りなくなると予想しています。
当社はその点においても優位性があり、解体作業だけでなく、その前段階で必要な化学物質の分析や処理、そして解体後の廃棄物処理やリサイクルまで、一連のプロセスをワンストップで提供できる企業として価値を高めていけると自負しています。
そして、化学コンビナートの解体には残留化学物質の分析や除去作業が非常に重要です。
事前に適切な分析や処理が行われていない状態で解体を進めると、爆発などの重大事故を引き起こす恐れがあるため、専門的で確かな技術が必要となります。
当社は「分析・処理・解体・リサイクル」という流れを一貫して提供することができるため、安全かつ高品質な解体工事を実施してシェアを獲得していきたいと考えています。
とはいえ、いきなり大規模な案件を受注するのは難しいため、まずは小規模な案件から段階的に実績を積み重ね、徐々に大規模プロジェクトへと拡大していく計画です。
このエンジニアリング事業は、2050年頃まで継続的な需要が見込まれる市場であり、長期的な成長が十分に期待できます。
また、半導体や電子部品業界のように、約5年ごとに景気の波がある業界とは異なり、こうした解体工事の市場は景気変動の影響を比較的受けにくいという特徴があります。
この新たな事業を持つことで企業全体の安定性も向上し、長期的な経営基盤をより強固にできると考えています。
三和油化工業として、このエンジニアリング事業を今後の成長戦略を支える柱の一つとして、着実に育てていきたいと思っています。

注目していただきたいポイント
半導体業界は、2030年以降も世界的に大きな成長が期待できると私たちは考えています。
ご存じのように、日本の半導体業界はここ20年ほど苦しい状況が続いていましたが、政府の後押しもあり、最近では九州や北海道への半導体工場の誘致が進んでいます。
半導体製造には世界的に共通したプロセスが存在し、当社の持つ高度な廃液処理・再資源化の技術は、その製造工程において強いニーズがあります。
こうした状況を見越して、私たちは約1年前、九州に新会社を立ち上げました。
現在、熊本のJASMやソニーなどの工場から出る廃液を愛知県で回収し処理していますが、すでに設備がフル稼働の状況です。
そこで、これを北九州の新会社でも処理できるよう準備を進めています。
将来的には再処理した廃液を再び半導体業界に供給する循環型の仕組みを構築する予定です。
ただ、最初の段階では半導体以外の産業向けの原料としても活用を考えており、段階的にこの循環モデルを広げていきたいと考えています。
また、半導体だけでなく、電池や電子部品の製造拠点も今後は九州に集積していく見込みです。
その際には、私たちの新会社がそれらの企業から廃棄物を回収し、高純度に精製した上で再供給する役割を担うことができます。
この取り組みは、単なるリサイクルを超えて、国内での安定した原料調達を可能にするための極めて重要な手段になるはずです。

特に、円安が今後も長期的に続く可能性が高い状況下では、高コストな輸入原料に依存しない仕組みを作ることが非常に重要になります。
当社の取り組みは企業のBCP(事業継続計画)の一環としても役立ちますし、事業安定化に大きく貢献できるはずです。
当社は今後、原料を調達してお客様に供給するだけでなく、排出された廃液も同時に回収し、再資源化して再び供給する仕組みをさらに強化していきます。
ただ「売るだけ」ではなく、お客様の状況やニーズに合わせて循環型の供給モデルを構築し、持続可能な製造業の未来を実現していきたいと考えています。
4年前に上場した際には、私たちは「化学品メーカー」として市場から評価されました。
これによりメーカーとしての立場が認知され、リサイクル事業を単なる処理ではなく、「製造の一環」として取り組むことができるようになりました。
私たちはこれからも「サプライとリサイクルを一体化した事業」をさらに強化し、他社にはない独自のビジネスモデルを提供していきます。
当社のビジネスは今後、市場においてますます重要な役割を担うことになると同時に、他の企業との差別化にもつながると確信しています。
さらに、世の中の環境意識の高まりやサステナビリティに対する関心とも非常にマッチしているため、今後ますます社会に必要とされる存在になれると考えています。
ぜひ、これからの三和油化工業の取り組みにご注目いただければ幸いです。
投資家の皆様へメッセージ
今後、日本国内において化学原料の調達はますます難しくなっていくと私は感じています。
化学コンビナートの縮小により、国内で安定した化学原料を確保することは大きな課題となりつつあります。
ただし、電池、電子部品、半導体といった業界は、今後も日本の製造業を支える重要な産業として成長していくことは間違いありません。
当社は、将来を見据え、廃棄物から原料を再生・再供給する循環型の仕組みを提供することで、この社会的課題の解決に積極的に取り組んでいます。
社会的に意義のある仕事をすることで、若い社員たちにも「自分は価値ある仕事をしている」という実感を持ってもらえるはずです。
社員一人ひとりのモチベーションが高まることで、会社全体の活力につながり、結果として当社は持続的に成長できると考えています。
経営者としての私の役割は、目先の業績だけではなく、長期的な視点で持続可能な事業基盤をしっかり構築することにあると認識しています。
お客様との強固な関係を築き、ともに成長していくことができれば、会社は安定的に成長を続けられるはずです。
確かに現在、業界全体の景況感は決して良いとは言えません。
しかし当社は将来を見据え、積極的に設備投資や事業基盤の整備を進めています。
いずれ電池、半導体、電子部品業界が成長軌道に戻れば、当社の業績も飛躍的に伸びると確信しております。
投資家の皆様には、今しばらく辛抱いただく場面もあるかもしれませんが、私たちは着実に将来を見据え、責任を持って経営を進めてまいります。
引き続き、温かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
三和油化工業株式会社
本社所在地:〒448-0002 愛知県刈谷市一里山町深田15番地
設立:1970年6月20日
資本金:15億8,832万円(2024年3月末時点)
上場市場:東証スタンダード市場、名証メイン市場(2021年12月23日上場)
証券コード:4125