【5138】株式会社Rebase 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年5月29日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社Rebaseはレンタルスペースのマッチングプラットフォーム「instabase (インスタベース)」を運営し、人々の新たな挑戦を後押しする会社です。

代表取締役の佐藤 海氏に事業戦略の変遷や今後の成長戦略を伺いました。

目次

株式会社Rebaseを一言で言うと

個をエンパワーすることで、活気ある世の中を実現する会社です。

Rebaseの沿革

株式会社Rebase代表取締役 佐藤 海氏

創業経緯

私は高校時代から、仕事をするなら自分で起業をしたいという夢をもっていました。

起業する前にまずシリコンバレーを自分の目で見てみたいと考え、2010年の大学3年生の時に留学しました。

現地ではビジネスの勉強をする傍らインターンやテック系イベントへ参加し、経営や起業の知見を得ることができました。

帰国後は知り合いの会社を手伝いつつ、共同創業者の髙畠と起業のアイディアを話し合うため、毎日のように集まっていました。

当時はカフェでもWi-Fiと電源を使える場所がほとんどなく、ちょうどいい場所を探すのに苦労していました。

この経験から、「やりたかったことをやってみたい、夢だったことに一歩踏み出したい」と考える人々が、場所の制約なく一歩踏み出せる世の中にしたいと思い、2014年に株式会社Rebaseを立ち上げました。

スペースの多様化と事業基盤の強化

当社は資本金25万円と非常にミニマムな形で設立したこともあり、オフィスを持つお金はあるわけもなく、カフェを転々としながら活動をしていました。

その後は4期目まで知り合いの会社のオフィスを間借りをさせていただきました。

創業当初からインスタベースを運営していましたが、インスタベースだけでは収益源として十分ではなかったため、HP制作などの受託を行いながらサービスを育てていました。

受託を行えば利益を出すことはできるけれども、それにいつまでも頼っていてはいけないと思い、2期目からは受託を一切受けないと決めました。

インスタベースを伸ばすことに専念したことで、徐々に売上を伸ばすことにつながりました。

そして、4期目には念願だった自分たちのオフィスを代官山に構えることができ、現在の中核となるメンバーが集まりはじめたことでさらなる事業拡大に繋がりました。

6期目に当たる2019年から上場準備をはじめました。

2020年からはじまったコロナ禍では、駅にある1人用のワークブースなど少人数利用のスペースを戦略的に増やしたことで、新たな需要を取り込み、業績を大きく伸ばすことができました。

コロナ禍でオフィスを手放したり縮小したりする企業が多い中、より一層会社と事業を成長させるためにも当社はあえてオフィス移転を決断しました。

オフィス面積も3倍に拡大させることを決め、2022年4月に代官山から表参道に移転しました。

このように不測の事態が起こっても事業を伸ばし続け、2022年12月に東証グロース市場に上場することができました。

2022年時点では20数名しかいなかった社員は、2024年4月現在は約40名にまで増え、多様な経験と視点をもった仲間が協力し合い、バランスのとれたチームになってきました。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

Rebaseの事業概要と特徴

概要

レンタルスペースのマッチングプラットフォームであるインスタベースは、「場所を探し、使いたい人」と「場所を持ち、提供したい人」をマッチングするサービスです。

一人ひとりの目的や条件に合う様々なレンタルスペースを、使いたい時に使いたい分だけフレキシブルに予約して使うことができます。

掲載スペース数は2024年4月末時点で35,000件を超えており、日本最大のサービスとなっています。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

また、新規事業として2023年11月から、コミュニティイベントサービス「TOIRO(トイロ)」の提供を開始しました。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

事業における優位性

インスタベースの特徴

インスタベースのビジネスモデルは至ってシンプルです。

インスタベース上で成立した予約、その予約金額の一部をスペース掲載者から手数料としていただくのみの、完全成果報酬モデルのサービスになっています。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

日常的にさまざまな用途で使われるスペースを1つでも多く集めて、それらのスペースに1件でも多くの予約を受け付けられるプラットフォームを目指して取り組んできた結果、幅広い用途でご利用いただいていることが強みの1つです。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

ユーザーファースト・効率性重視・コスト意識のマインド

創業時の原体験から、ユーザーファースト・効率性重視・コスト意識のマインドが文化として深く根付いています。

私自身が場所に困っていた経験から、利用者の視点に立ったサービス作りを大切にしています。

インスタベースを継続して利用していただくためには、どのような機能や体験が必要か、社員一人ひとりがいちユーザーとなってサービスを利用し、改善点やフィードバックを見出すことを行っています。

また、創業時は金銭的アセットも限られていたこともありますが、資金調達ありきでむやみやたらに広告やマーケティング費用に資金を投下するのではなく、少ないアセットやリソースで最大限の結果を出すことと、徹底したコスト意識を持つことを大切にしてきました。

これらの結果、データドリブンで効率的な集客とユーザーファーストな開発力に磨きをかけ、さらにインスタベースから得た幅広く豊富なデータアセットを活用してリピート率の高い効率的なサイト運営を実現しています。

このようにして創出した利益を事業に再投資する一連のサイクルが競争力の源泉だと考えています。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

Rebaseの成長戦略

スペースシェア市場の成長

スペースシェア市場は2032年度には4.8兆円市場にまで拡大すると予測されています。

当社はこの市場の成長には3つのフェーズがあると考えています。まず1つ目のフェーズが遊休スペースの開放です。

現在、日本には何千万戸もの建物が存在しますが、その中で空き家と認定されている物件は約870万戸に上ります。

空き家に認定されていなくても、数年間テナントが入っていない空き物件は多数存在すると考えられます。

さらに、日本の人口はこのままの出生率でいくと2060年には9,000万人を下回ると推計されています。

その一方で、都心を中心に新しいビルはどんどんと建設され、入居者が抜けた後に空室がなかなか埋まらない二次空室と呼ばれる問題も発生しています。

今後、このような遊休スペースを有効活用しようと考える企業や人が増えていくと予想しており、車や物をシェアする文化が広がっているように、場所もこれまで以上にシェアする対象になっていくと考えています。

このシェアの流れが、スペースシェア市場の成長にも繋がるということです。

その流れの中で、当社のインスタベースの需要は高まり、市場の拡大とともに成長していくと考えています。

このようなスペース利活用の促進が2つ目のフェーズです。

そして、スペースを軸とした経済活動の発展が3つ目のフェーズです。

インスタベースはその経済活動を支える基盤になれると考えています。

今後は「個」の時代がより加速していき、SNSなどを通じて個人の経済活動が活発化していきます。

その個人が活動する場所を提供するためのツールとして、インスタベースやTOIROを始めとした新規サービスの利用が加速していくと考えています。

このように市場の拡大とともに、当社サービスに対する需要も加速していきます。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

今後の成長戦略

インスタベースで得た利益の一部は新規事業に投資しています。

まずはインスタベースの周辺領域を開拓し、その後新たなマーケットへ進出していきます。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

周辺領域の開拓として、2023年11月に人とコトを繋げるコミュニティイベントサービスのTOIROをリリースしました。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

これまではインスタベースを通じてコトと場所を繋げていましたが、TOIROでは人とコトをマッチングさせていきます。

「イベントの開催」には「場所」が必要なので、TOIROとインスタベースが相乗効果を生み出し、さらなる成長を促進していきます。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

当社は創業当時から黒字経営にこだわってきました。

ユーザーファースト・効率性重視・コスト意識のマインドが好循環となり、利益をしっかり生み出しながらの効率的な経営につながっています。

この安定的に成長する事業基盤の下、新たに掲げたMission「Get Together/和をひろげる」、Vision「Where It Starts/ことのはじまり」の達成のために、ミッションドリブンな経営に取り組みます。

私たちは何かに挑戦したいと考える人々が一歩踏み出す際のきっかけとなるような存在でありたいと思っています。

新たな経営理念と、安定した事業基盤・財務基盤を活用した成長戦略に注目していただき、Rebaseの成長に期待していただければと思います。

株式会社Rebase 2024年3月期通期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

私たちRebaseはこれまで、場所の制約を無くし、誰もがやりたかったことや夢描いてきたことに挑戦できる、その最初の一歩を踏み出すきっかけになりたいという想いを強く持って取り組んできました。

今後は、既存事業にとどまらず複数の新規事業を展開していきます。

より多くの人たちが集い、出会い、交流することで「和」を広げ、活動で満ち溢れた活気ある世の中を実現し、業績も飛躍的に成長させていきたいと思っています。

投資家の皆様にご期待いただけるよう、誠心誠意取り組んでいきたいと思っておりますので、ご支援の程、よろしくお願いいたします。

株式会社Rebase

本社所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-26-18 原宿ピアザビル5F

設立:2014年4月8日

資本金:1億6,796万円(2024年3月末時点)

上場市場:東証グロース市場(2022年12月16日上場)

証券コード:5138

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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