【7352】株式会社TWOSTONE&Sons 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年6月18日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社TWOSTONE&SonsはITエンジニアの価値向上をテーマに、ITエンジニアの独立支援や企業向けのITソリューションサービス等を中心に提供しています。

代表取締役CEOの河端 保志氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社TWOSTONE&Sonsを一言で言うと

ITエンジニアをはじめとした、「合理的な非常識を常識に変えていく」会社です。 

TWOSTONE&Sonsの沿革

株式会社 TWOSTONE&Sons代表取締役CEO 河端 保志氏

創業の経緯

当社は、私が大学院在学中の2013年に株式会社Branding Engineerとして共同創業者の高原とともに設立しました。

私も高原も小学生の頃からプログラミングに触れてきました。

学生時代には様々な経験をし、「ITエンジニアの価値を向上させたい」という共通の思いから始まりました。

当初は受託開発を中心に事業を展開し、キャッシュフローを確保しながら自社事業の立ち上げを目指していました。

しかし、受託開発には多くのリソースを取られてしまうため、2期目からは一旦受託事業をすべて停止させ、自社事業の開発に注力しました。

そして、2015年から現在も主力事業であるエンジニアプラットフォームサービスの開発に着手し、2016年「Midworks」の提供を開始し、コツコツと事業を拡大させていきました。

ITエンジニアの流動化

私たちはITエンジニアの価値向上、つまり給与を上げることを目標にしています。

欧米と比較して、日本のITエンジニアの年収は依然として低い水準にあり、日本の雇用制度が背景にあると考えてきました。

まず、日本では終身雇用があるように、従業員が手厚く保護されています。

そのため、業績や経済状況に応じてレイオフや解雇が難しく、経営者は保守的な給与設定をせざるを得ません。

一方で、ITエンジニアの価値を向上させるためには、人材の流動性を高めることが最も効果的です。

そこで、フリーランスという働き方がベストだと考えていましたが、「明日には仕事がなくなるかもしれない」という不安を抱える方もいらっしゃいます。

一方で、今日までITエンジニアの有効求人倍率は10倍を超えるような状況が続いており、エンジニアの供給が追いついていない状況です。

ITエンジニアの価値を高めつつ、ITエンジニアのリソースが足りない企業の課題を解決するために、Midworks事業を始めました。

ホールディングス化による成長加速

2020年7月の上場以降、当社はM&A戦略を積極的に行っています。

そこで、M&Aを柔軟に進めていくため、2023年6月よりホールディングス(HD)体制に移行し、Branding EngineerからTWOSTONE&Sonsに社名変更しました。

また、HD化することで社員のパフォーマンスを引き上げ、挑戦できる環境を整えています。

例えば、新卒入社からわずか数年でグループ会社の代表を務める社員もいますし、若手に成長の機会を提供できることはHD化のポジティブな側面です。

今後も既存事業の成長に加え、HD体制を活かしながらM&Aを実行し、会社を成長させていきます。

株式会社TWOSTONE&Sons 2024年8月期 第2四半期決算説明資料 より引用

TWOSTONE&Sonsの事業概要と特徴

概要

エンジニアプラットフォームサービスとマーケティングプラットフォームサービスの、2つのサービスを中心に展開しています。

売上の大半はエンジニアプラットフォームサービスで、その中でもMidworks事業が主要な収益源です。

株式会社TWOSTONE&Sons 2024年8月期 第2四半期決算説明資料 より引用

このMidworksは、ITエンジニアの専門性やスキルに応じた最適なプロジェクトを提供し、スキルアップやキャリアアップをサポートするプラットフォームです。

また、企業は必要なスキルを持ったエンジニアを迅速に確保でき、業務の効率化や早期プロジェクトの立ち上げなどに役立っています。

株式会社TWOSTONE&Sons 2024年8月期 第2四半期決算説明資料 より引用

事業における優位性

エンジニア目線で作られたサービス

まず、1つ目の強みはITエンジニア目線でのサービス作りです。

私自身、エンジニアを経験しておりますし、優秀なキャリアアドバイザーが多くいます。

これまで、大手の人材会社がフリーランスエンジニア市場に参入してきましたが、他の職種に比べて専門用語が多く飛び交うため、体系化も難しく、伸び悩むことがほとんどでした。

また、フリーランスエンジニアを選択する方々には様々な優先事項があり、それぞれのニーズに応じたフォローアップが大切です。

さらに、福利厚生制度や給与保障制度などフリーランスとして独立することへの不安を取り除く、豊富なパッケージプランを提供しています。

当社はフリーランスエンジニア市場におけるパイオニアとして、エンジニアのニーズに寄り添ったサービスを提供し続けています。

効率的なフリーランスエンジニアの獲得

Midworksのブランド認知度が高まるにつれて、Webマーケティングの広告効果は自然と高まってきております。

もちろん、フリーランスエンジニアと企業のマッチングサービスは他社も提供していますが、この業界におけるパイオニアは当社だと考えています。

そのため、ITエンジニアが独立する際には、Midworksが活用されることが多く、フリーランスエンジニアの獲得単価を抑えることができています。

さらに、エンジニアに対する還元率は他社に比べても高水準です。

当社のブランドの認知度と戦略的なマーケティングにより、継続的にフリーランスエンジニアを獲得しその分エンジニアに還元するという好循環を生み出していることが強みです。

Midworks独自のマッチングシステム

当社自体が豊富なITエンジニアリソースを有し、ITエンジニアに特化したプラットフォームを開発しながら、効率的なマッチングを実現しています。

フリーランスエンジニアの方々にはスキルアップ・働き方・給与など様々な優先事項があります。

例えば、「親の介護をしたいからフリーランスになった」という方も中にはいらっしゃいます。

そのプライオリティを実現するためには、様々な案件を取り揃えることが必要です。

そして豊富な案件と、フリーランスエンジニアの各種条件を擦り合わせながら、長年のノウハウで独自のマッチングシステムを作り上げています。

このMidworksのマッチングシステムが強みです。

株式会社TWOSTONE&Sons 2024年8月期 第2四半期決算説明資料 より引用

TWOSTONE&Sonsの成長戦略

積極的な採用投資の継続・組織体制強化の実行

これまではWebベンチャーやWeb系の企業を中心に取引を行っていたため、案件単価は低い水準にありました。

そこで、案件単価を引き上げていくためにも、大手企業の案件を積極的に開拓していきます。

現状として、フリーランスのエンジニアを活用する文化はまだ新しく、多くの大手企業には導入が進んでいません。

今後、大手企業の案件を獲得していくことで、他社にはない競争優位性を確立できると考えています。

大手企業の案件獲得のためにも、足元では積極的な採用投資を行い、2024年8月期は提案力・営業力を強化するための採用を進めています。

具体的には、2024年4月にプライム上場企業のグループ会社の社長を経験した人材を幹部として迎え入れました。

今後はグループ全体で提案力・営業力を高め、売上・利益の単価向上を実現していきたいと考えています。

株式会社TWOSTONE&Sons 2024年8月期 第2四半期決算説明資料 より引用

M&A戦略

M&Aの方針としては基本的に同業他社を買収する方針を取っています。

理由は、M&A後のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)が容易だからです。

そのため、M&Aの際には、集客力とマッチング力を活用できるかつ、のれん負けしないような企業をターゲットとしています。

そして、在籍しているエンジニアの質や抱えている案件の内容を踏まえ、これまで培ってきたノウハウを活かしながらPMIを実施していきます。

また、PMIでは組織のカルチャーを重視しています。

人材業界は全般的に同じようなソリューションを提供しているため、本質的な差別化が難しいと考えています。

また近年、自らの市場価値を高めながら成長したいという意欲の高い若手人材が増えてきました。

実際、私や高原を含め平均年齢は他社に比べて低く、チャレンジングな環境だと自負しています。

この若手でも挑戦できるというカルチャーの下、これまでのノウハウを最大限活かしてM&Aを進め、非連続に成長を加速させていきます。

株式会社TWOSTONE&Sons 2024年8月期 第2四半期決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

当社の事業環境はマクロ的には好調と見ています。

まず、従来の終身雇用制度が徐々に終焉を迎えており、大企業に就職しても退職する人が増えています。

つまり人材の流動性は高まり、当社が提供するサービスの需要も増加していくと予測しています。

さらに、日本の金融緩和政策の影響でインフレが進行し、賃金上昇が必須です。

そして時代の変化とともに、市場価値を高めながら高収入を目指せるフリーランスの働き方が注目されています。

今後は多くのエンジニアがフリーランスとしてのキャリアを選択し、大企業もフリーランスエンジニアを活用していく方向に進むと考えています。

その中で、当社はフリーランスエンジニアの国内市場でトップシェアを誇り、エンジニアにも企業側にも、真っ先に検討されるようなポジションを確立させています。

今後、フリーランスエンジニア市場が成長するマーケットであることと、当社がトップランナーとしての地位を築き上げていることにご注目いただきたいです。

株式会社TWOSTONE&Sons 2024年8月期 第2四半期決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

一般的な知名度はまだまだ低いと認識しておりますが、着実な成長と事業規模の拡大を通じて、日本を牽引するような企業になりたいと考えています。

ゆくゆくはグローバルでも活躍できるような企業に成長していきたいとも考えています。

皆様の期待に応えられるよう、全社一丸となって努力して参りますので、ぜひご支援のほどよろしくお願いいたします。

株式会社TWOSTONE&Sons

本社所在地:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-22-3 渋谷東口ビル6F

設立:2013年10月2日

資本金:1,035,596千円(2024年6月アクセス時点)

上場市場:東証グロース市場(2020年7月7日上場)

証券コード:7352

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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