※本コラムは2024年5月28日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社シーユーシーは「医療という希望を創る。」というミッションの下、より良い医療の姿を追求し、ひとりでも多くの⽅が、こころから安⼼して暮らせる社会を実現します。
代表取締役の濵口 慶太氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
株式会社シーユーシーを一言で言うと
「Change Until Change」変わるまで変えていく会社です。
シーユーシーの沿革
創業の経緯
当社は2014年8月にエムスリーと私が出資して設立した会社です。
一見するとエムスリーの子会社として、事業部門から独立してスタートした会社のように見えますが、実際には私が事業プランをエムスリーへ持ち込んだことがきっかけです。
私がこの事業を始めるきっかけは、在宅医療分野との出会いでした。
近年日本の高齢化が進んでいますが、在宅医療の需要は増加しているものの、供給は十分に追いついていませんでした。
現在も医療費削減の観点からも病院から在宅医療へのシフトが必要とされています。
このような背景を踏まえ、日本の社会保障費削減と高齢者が最後まで住み慣れた家で暮らせる医療サービスの提供を実現するために、医療業界のリーディングカンパニーであるエムスリーにアイデアを持ち込みました。
医療機関の経営支援に加えホスピス・居宅訪問看護の運営を開始
創業後は訪問診療クリニックの経営支援を開始し、その後は病院、透析クリニック、外来クリニック等に支援の対象を拡大しました。
そして事業を拡大していく中で、在宅医療との親和性を踏まえ、2017年にホスピス事業、2018年に居宅訪問看護事業を開始しました。
医療機関の経営支援に加え、実際に患者様にサービスを提供するビジネスを開始したことは私たちにとって大きな変化でした。
特にホスピス事業では初期投資のタイミングで大きな不動産投資を伴うため、多額の資金が必要です。
ホスピス開設資金の調達や経営に関する意思決定の早期化を目的として、上場の準備を開始し、コロナ禍を乗り越え、2023年6月に東証グロース市場への上場を果たしました。
シーユーシーの事業概要と特徴
概要
当社の事業セグメントは3つあります。
まず1つ目は、医療機関セグメントです。
国内においては主に医療機関の経営支援を行い、単なる事務代行ではなく経営に深く入り込んでサポートを行います。
病院やクリニックが持続的な売上成長を達成できるよう、事務長・管理部長などの経営支援人材が医療機関に常駐し、戦略の立案から実行までをサポートしています。
加えて、一部のサービスは当社本部から遠隔で提供しています。
当社が支援している医療機関の多くは増収増益を達成しています。
また、米国においてはミシガン・オハイオ・イリノイ州を中心に足病及び下肢静脈疾患クリニックを運営しています。
次にホスピスセグメントです。がんや難病を患う終末期の患者様が入居するホスピス型住宅を運営し、入居者様への訪問看護・介護を24時間365日体制で提供しています。
ホスピス型住宅は自宅と病院の中間に位置づけられる施設であり、自宅にいるような暮らしをしながら、痛みや苦痛を和らげつつ充分なケアを受けることが可能です。
最後に居宅訪問看護セグメントです。
このセグメントでは利用者様が住み慣れた場所で安心して生活できるよう、看護師・セラピストが利用者様の自宅を訪問して、看護やリハビリサービスを提供しています。
事業における優位性
医療機関へ提供する包括的なサービス及び事業ノウハウを活かした海外展開
私たちの強みは診療報酬や規制といった医療特有のビジネス環境を深く理解していることです。
国内では支援先医療機関へ常駐型経営支援を提供しますが、この医療業界への専門知識の深さは一般的なコンサルティングファームにはない特徴です。
具体的には2つのメニューで支援を行います。
1つ目は経営支援人材の常駐、経営戦略・経営管理支援、マーケティング支援、人事・採用支援、IT・経理・総務等支援、調達サポート等、医療機関の運営に係る支援です。継続的な支援のため、対価として月額報酬を受領しています。
2つ目はM&A・PMI支援、病床転換支援及び新規クリニック開設支援等医療機関の成長機会に係る支援です。プロジェクト型受注のため、対価としてワンタイム報酬を受領しています。
既存顧客によるM&A又は新規クリニック開設に対する支援等を通じて、既存顧客の規模拡大に伴い新規顧客の獲得が可能になるという好循環が生まれています。
また、米国やベトナムでは営利法人によるクリニック運営が可能であるため、国内の医療機関支援により蓄積されたノウハウを、海外におけるクリニック経営に活用することで更なる成長を目指しています。
垂直統合されたプラットフォーム
当社グループは医療機関の支援、ホスピス及び居宅訪問看護の運営により、幅広い患者層へのアクセスが可能です。
また、同地域内における事業間の連携を強化することで、支援先医療機関と当社グループとの間での患者紹介、ホスピスセグメントと居宅訪問看護セグメントとの間でのグループ内異動又は人材交流等のシナジーを創出することが可能です。
患者様、医療従事者、社会に大きな価値を提供できるよう、他事業と同地域内での新規開設及び既存拠点間での連携強化等により、プラットフォームとしての機能を強化していきたいと考えています。
当社グループの採用実績と離職率推移
私たちのビジネスは人材が基盤です。
当社のスタッフは「医療という希望を創る。」というミッションの下に集まったメンバーです。
よく社内でもお話ししていますが、現場で働く医療職の希望を高めることが患者様に希望を届けることに繋がると考えています。
そのためにも達成感ややりがいを感じられる仕組みを作り、スキルアップのための教育制度やキャリア機会、ライフステージに応じた柔軟な働き方を提供しています。
加えて、ホスピスセグメントと居宅訪問看護セグメントとの間でのグループ内異動も可能であり、従業員に多様なキャリア機会を提供しています。
そのような取り組みが医療職の採用力及び離職率の低下につながっていると考えています。
シーユーシーの成長戦略
医療機関セグメントの成長戦略
国内の医療機関支援は顧客との継続的な関係を構築し高いリテンション率を維持しています。今後も顧客への提供価値を高めながら、新規顧客を獲得して支援先主要拠点数を増やしていきます。
そのためにも医療機関運営ノウハウの更なる標準化を行い、効果的かつ効率的な経営支援が行えるように進めて参ります。
また、米国での足病及び下肢静脈疾患クリニックの運営に関しては、既存クリニックの診察数増加及びロールアップによる小規模クリニックの獲得を通じて、現地でのシェア拡大を目指していきます。
最近米国に出張してきましたが、抱えている経営課題は日本のクリニックと似ていることが多く、ソリューションの検討には日本の医療機関支援で培ったノウハウが活用できると改めて感じました。
私たちの医療機関への支援として特徴的な方法はフィロソフィーを中心としたパーパス経営ですが、「自分たちが大事にすべきものが明確になった」と米国でも支持されています。
ホスピスセグメントの成長戦略
ホスピス事業開始から5年間程度は中小規模の施設を開設していましたが、直近では効率的な運営により相対的に高い利益率が見込まれる50床規模施設の展開を進めています。
引き続き投資効率を意識した新規開設を進め、それらの稼働率上昇によりセグメントの売上成長及び利益率の改善を想定しています。
居宅訪問看護セグメントの成長戦略
医療依存度の高い方でも自宅で療養できる体制を整えるため、中重度の疾患を抱える利用者様への対応力を強化していく方針です。
2023/3期以前は訪問看護ステーションの新規開設を積極的に行ったことにより利益率が低下しましたが、2024/3期より新規開設数を減少させ、既存拠点の利用者数増加及び訪問効率の改善に注力しています。
2025/3期も同様に新規開設を抑えて既存拠点の成長に注力しますが、2026/3期以降に十分な利益率を確保できる程度に拠点数が拡大したタイミングでは、売上成長に再度注力する方針です。
垂直統合されたプラットフォームによる成長戦略
比較的人口の多い国内主要都市を中心に拠点を拡大しています。
新規エリアへの展開も行いますが、より効率的な運営が可能なドミナント展開に注力しております。
ホスピス型住宅や訪問看護ステーションについては、医療へのニーズや人材採用の難易度を踏まえ、新規開設をしています。
加えて、患者紹介や人材交流等のグループシナジーを創出するため、地域内での事業間連携の強化を進めていきます。
注目していただきたいポイント
マーケットが成長し続けていくことに注目していただきたいです。
当面の間は高齢者人口の増加に伴い、在宅医療や病床転換の需要が堅調に拡大すると考えています。
私たちはまだまだ若い会社ですが、医療の向上と人々の生活を支えるために成長し、一定のトラックレコードを持っていると自負しています。
当社の継続的な成長に伴い、より多くの方々に良質な医療や生活支援のインフラを提供することが可能です。
「せっかく投資をするのであれば、意味のあることに投資したい」と考える投資家の方々にとっては非常に魅力的な事業だと考えています。
投資家の皆様へメッセージ
私たちは「医療という希望を創る。」をミッションとして活動しています。
この希望は患者様の希望はもちろんのこと、多忙を極める医療従事者や医療費が年々増加している社会にとっての希望でもあります。
当社グループは患者様に向けては「患者視点の医療をひとりでも多くの方へ提供できる環境を創る。」、医療機関に向けては「地域に求められ、働きがいのある職場環境を創る。」、そして社会に向けては「医療課題の解決によって健全で持続可能な社会を創る。」ことを目指して様々なサービスを展開しています。
当社には理念に共感し、一緒に未来を作っていきたいと考える仲間が多く集まっています。
経営と現場が一体となって取り組み、これからも社会に貢献していきますので、ご支援を引き続きよろしくお願いいたします。
株式会社シーユーシー
本社所在地:〒108-0023 東京都港区芝浦3丁目1−1 msb Tamachi 田町ステーションタワーN 15階
設立:2014年8月8日
資本金:7,669百万円(2024年3月末時点)
上場市場:東証グロース市場(2023年6月21日上場)
証券コード:9158