【4931】新日本製薬 株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年6月7日に実施したIRインタビューをもとにしております。

新日本製薬 株式会社は、『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』というパーパスのもと、シンプルスキンケアブランド「PERFECT ONE」や健康食品・医薬品を扱うヘルスケアブランド「Fun and Health」(ファンアンドヘルス)を中心に、お客さまの最高の満足を追求し、本当に喜んでいただける製品・サービスをお届けしています。

代表取締役社長CEOの後藤 孝洋氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

新日本製薬 株式会社を一言で言うと

美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる会社です。 

新日本製薬の沿革

新日本製薬 株式会社 代表取締役社長CEO 後藤 孝洋氏

創業経緯

当社は1992年に創業し、美容や健康に関連する製品を取り扱う家庭雑貨販売会社としてスタートしました。

通信販売やカタログ販売など販売方法が多様化していく中で、当社は1994年から通信販売事業を開始しました。

そして、コールセンターを設けたことで、お客様から「こんな製品が欲しい」というご意見や要望を直接いただくようになり、通信販売によるBtoCビジネスの可能性を感じました。

福岡から九州、西日本、関東、全国へとエリアを徐々に拡大して通信販売事業を展開していきました。

PERFECT ONEの発売

通信販売では、お客様に継続的に購入していただく必要があるので、当初は常用できるダイエットサプリメントなどの健康食品を販売していました。

その後、お客様から「手間をかけずに短時間でケアできる化粧品が欲しい」という声を多くいただいたため、オールインワン美容液ジェル「PERFECT ONE(以下パーフェクトワン)」を開発し、2006年5月から販売を開始しました。

後に「PERFECT ONE(以下パーフェクトワン)」とブランド名を変更し、リニューアルを図りました。

また、同年10月には薬用植物の研究所を設立しました。

例えば、甘草は主に中国で栽培されていましたが、設立後は国内で栽培することができ、化粧品の有効成分となるようなエキスの研究や開発を行ってきました。

このように、お客様の声から生まれたパーフェクトワンはシニア世代を中心に拡大し、美白効果に特化した製品や高保湿力の製品、シワ改善効果のある製品など様々なラインナップで展開しています。

現在は、オールインワン市場における国内売上トップシェアを獲得し、確固たるポジションを築き上げています。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

新日本製薬の事業概要と特徴

概要

当社は定期購入、いわゆるサブスクリプションで製品を購入していただくビジネスモデルです。

お客様の声をお伺いしながら、インサイトを満たす革新的な製品を開発し、提供しています。

また、当社はファブレスメーカーで、製造はすべて外部に委託しており、お客様の声を活かした製品の企画及びマーケティングと販売に特化しています。

そして、美と健康に有用な成分を探索しながら新成分の研究開発に取り組み、特許の取得も行っております。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

現在の主力ブランドは化粧品のパーフェクトワンで、オールインワン市場では8年連続国内売上シェアNO.11、クッションファンデーション市場・クレンジングバーム市場ではNO.22というポジションを獲得しています。

また、健康食品や医薬品を扱うヘルスケアブランド「Fun and Health」の「Wの健康青汁」は機能性表示食品の青汁市場で2年連続国内売上シェアNO.13を獲得しています。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

事業における優位性

ストック収益型ビジネスモデル

当社の製品は通信販売などを通して定期購入していただきます。

そのため、継続的に購入していただくことで安定的な収益が見込めるストック収益型のビジネスモデルです。

今でこそ、定期購入は一般的ですが、当社は比較的早期の段階からこのビジネスモデルで事業を始めました。

主にお届けするのはパーフェクトワンなどの化粧品や健康食品です。

例えば、パーフェクトワンは毎日使う化粧品なので、お客様の習慣として定着させることで、継続的に購入していただける好循環のサイクルを構築しています。

そして、長期間継続していただいたお客様にはランク特典を付与するなどの付加価値をつけたサービスを提供しています。

このように、長年のノウハウを活かして、お客様の定期購入を促し、安定的なストック収益の確保を実現しています。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

顧客データベースを活用したマーケティング

約630万人の顧客データベースには40代〜50代のミドル世代、60代以上のシニア世代のお客様が多いのが特徴です。

このシニア世代、ミドル世代は継続的な商品利用が見込め、安定的に人口が推移しているため、高い価値を持つ重要なお客様だと考えています。

中にはこれまで多くの化粧品を使っていたけれど、「最終的に行き着いたのがパーフェクトワンだった」という方もいらっしゃいます。

この国内人口の多くを占めているシニア世代、ミドル世代に対して、長年積み上げてきた様々なデータがあります。

そして、創業時から敢えて外部に委託せず、自社でコールセンターを運営してきました。

また、当社はファブレス企業なので、全てをアウトソーシングすることも可能でしたが、何を大切にすべきかを考えた時、「お客様とのコミュニケーション」だと考えました。

そのようなお客様の声から生まれたのがパーフェクトワンであり、当社の製品群です。

新製品の開発の際には既存のお客様向けにシーズンごとにテストマーケティングを行います。

例えば、クッションファンデーションは元々既存のお客様向けに春先に季節限定品として展開しましたが、予想以上の高評価を受けたため、秋口には全国展開して販売を開始しました。

その結果、販売開始から3年後にはクッションファンデーション市場でトップシェアを獲得し、現在では年間30億円の売上を達成しています。

このように、お客様のニーズに応えた製品を作ることができるのは、創業時からお客様の声を大切にしてきた当社のこだわりがあってこそだと考えています。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

通信販売チャネルの「販売力」

通信販売チャネルを活用してPDCAを高速回転させるテストマーケティングを行いながら、「ヒットの兆し」に対して集中的に広告投資することで、短期間での市場シェア獲得を実現しています。

例えば、クッションファンデーションのテストマーケティングを行ってから数ヶ月程度でヒットの兆しが見えたため、早急に広告投資を拡大させました。

もちろん製品によってテストマーケティングの期間は一長一短でありますが、戦略的に広告投資を行うことで、その効果を最大化させています。

このように通信販売チャネルを効果的に活用し、他社が参入してくる前に市場シェアを獲得し、売上を伸ばしています。

また、テレビ通販は多忙な主婦の方々にとって有効なチャネルです。

例えば、家事をしながら、何か別のことをしながらテレビで製品が紹介されていれば知っていただくことができるので、購入に繋がるという利点があります。

また、テレビ以外にもECサイトで販売することで、売り場に直接足を運ばなくてもお客様と接点を持つことができます。

このように戦略的なテストマーケティングと広告戦略を活かした販売力が当社の強みです。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

新日本製薬の成長戦略

2030年に向けた事業展開イメージ

今後の戦略の核となるのはやはり「お客様の声」です。

ただし、複数の事業に分散している方が経営としては安定成長するため、様々な経営判断から事業ポートフォリオの拡大を進めています。

長期的には美と健康の領域で売上1,000億円まで拡大するという目標を掲げています。

もちろん、既存事業のパーフェクトワンを継続的に成長させていきますが、単一事業だけでは売上1,000億円は実現不可能です。

今後は、パーフェクトワンの新たなターゲット層である40代、50代にアプローチしつつ、「PERFECT ONE FOCUS(パーフェクトワンフォーカス)」や「Fun and Health」などの育成ブランドをさらに成長させることに加え、様々な事業展開し売上1,000億円をめざしていきます。

PERFECT ONE FOCUSの成長

主力ブランドのパーフェクトワンは、全体の売上の8割を占め、シニア世代・ミドル世代がターゲットの製品です。

そこで、今後の事業展開を見据えていく中で、60代、70代、80代の方々が増え続ける安定的な事業基盤に加えて、若い世代向けの製品も開発していく必要があると考えました。

将来的にパーフェクトワンを利用する次世代ユーザーを獲得するために、ミレニアル世代と呼ばれる30代以下向けの製品として「PERFECT ONE FOCUS」を2021年9月に発売しました。

これまで、お客様の約4%程度しかいなかったミレニアル層へアプローチし、ECやドラッグストアの販売チャネルを活用しながら、すでに急成長を遂げています。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

ヘルスケア事業への成長投資

健康食品事業として「Fun and Health」というブランドを展開しています。

足元では機能性栄養食品の青汁部門で市場シェアNO.1を獲得しているWの健康青汁が牽引し、ECを中心に売上が伸びています。

また、2021年の5月にフラット・クラフト社を買収し、アマニ油やMCTオイルなどの機能性オイルの販売を始めました。

そして、2024年3月からはダイエット効果のある「Slimore Coffee(スリモアコーヒー)」を新販売しました。

今後は、2024年4月にリリースしたヘルスケアサポートアプリを活用しながら、CRMを強化し、マーケティング投資を積極的に行っていきます。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

海外チャネルの展開

コロナ前からパーフェクトワンを国内から海外へ拡大する計画を立てていましたが、コロナ禍で少し停滞していました。

今後は再出発を図り、東アジア、西アジア、アメリカの販売チャネルを強化していきます。

特に、アメリカでは化粧品事業の成長が見込まれ、日本でのマーケティングノウハウを活かしてECモールなどを活用した販売に注力していきます。

また、今期においてはパーフェクトワンオールインワン美容液ジェルが世界で最も売れている顔用保湿ジェルブランドとしてギネス世界記録™4に認定されました。

メイドインジャパンかつギネス認定を受けたオールインワンスキンケアブランドのトップランナーとしてのポジションを活かし、アメリカ市場さらにはグローバル市場での拡大をめざします。

新日本製薬 株式会社 2024年9月期第2四半期 決算補足説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

当社には32年の社歴があります。

パーフェクトワンはシニア世代を中心に多くのお客様に支えられ、安定した企業としてご評価いただいております。

しかし、当社はこの現状に満足せず、ベンチャー精神を持ってさらなる成長をめざします。

長期的には売上1,000億円達成をめざし、すでに新たなターゲット層への製品開発や、新市場への進出を積極的に行っています。

足元ではミレニアル世代向けのパーフェクトワンフォーカスは着実に伸びており、青汁を中心にヘルスケア事業も成長しています。

ぜひ、当社がパーフェクトワンのみならず、新たな育成ブランドに積極的な投資をしている企業だということに注目していただければと思います。

投資家の皆様へメッセージ

当社の中長期的な成長戦略の一つは、主力ブランドであるパーフェクトワンの強みを最大限に活かしていくことです。

これまで、オールインワンスキンケア領域で確固たるポジションを築いてきましたが、今後は全世代に製品展開を行い、さらなる成長を目指します。

年齢を重ねても、継続的に利用いただけるようにラインナップを拡充しつつ、ヘルスケア領域で皆様の健康に対してアプローチしていきます。

ぜひ、当社の安定的な事業基盤と積極的な成長投資に期待していただき、ご支援いただければと思います。

新日本製薬 株式会社

本社所在地:〒810-0074 福岡県福岡市中央区大手門1丁目4-7

設立:1992年3月11日

資本金:4,158百万円(2024年6月アクセス時点)

上場市場:東証プライム市場(2019年6月27日上場)

証券コード:4931

  1. パーフェクトワンフォーカスシリーズ含む:富士経済「化粧品マーケティング要覧2017~2024」(モイスチャー部門およびオールインワン部門/メーカー、ブランドシェア2016~2023年実績) ↩︎
  2. 富士経済「化粧品マーケティング要覧 2024」(クッションファンデーション部門/ブランドシェア2023年実績、クレンジングバーム部門/メーカー、ブランドシェア2023年実績) ↩︎
  3. TPCマーケティングリサーチ調べ(2023年のメーカー出荷) ↩︎
  4. TFCO株式会社調べ「最大の顔用保湿ジェルブランド」(パーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズ 2022年1月~12月販売実績) ↩︎

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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