【6193】バーチャレクス・ホールディングス株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年3月28日に実施したIRインタビューをもとにしております。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社は、「コンサルティング」 、「テクノロジー」、「アウトソーシング」のサービスラインを持ち、クライアント企業の結果に貢献する会社です。

代表取締役社長の丸山 栄樹氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

バーチャレクス・ホールディングス株式会社を一言で言うと

ワンストップのサービスを提供し、クライアントに伴走することでビジネスの成果を上げていく新しいコンサルティング会社です。

バーチャレクス・ホールディングスの沿革

バーチャレクス・ホールディングス株式会社代表取締役社長 丸山 栄樹氏

創業経緯

当社は、1999年に設立されました。

それまで私はアンダーセン・コンサルティング(現 Accenture)に勤めており、そこでの経験を活かし、よりクライアントに寄り添ったサービス実現を目指して独立しました。

当時は、インターネットが普及し始め、オンラインを通じたビジネスが注目されている時代でした。

当社は、コンサルティング業務だけでなく、コールセンターを活用したマーケティングやITサービスの提供にも乗り出しました。

創業直後には、証券手数料の自由化が進み、オンライン証券の需要も急増していた中、日興ビーンズ証券(現 マネックス証券)のコールセンターのコンサルティングとアウトソーシングを受注し、売上を1億円まで伸ばしました。

その後、ユニクロのフリース等のEC販売に関するコンペに参加し、競合大手を退けてコールセンターのコンサルティング・システム開発・業務運営の全てを当社が請け負いました。

コールセンターが事業の中核になり得るビジネスが拡大する時期に、業務とシステムの設計から業務の運営まで実施できる能力を評価していただいたのだと考えています。

本来のビジネスモデルへの回帰

しかし、アウトソーシング事業が肥大化し、コールセンターの大規模な設備投資が必要になるにつれ、設備稼働の繁閑が経営を圧迫し始めました。

そこで設備を売却し、IT事業の強化に注力し、自社製品を作りあげました。

こうして、2008年頃からコンサルティング・テクノロジー・アウトソーシングのワンストップモデルのバランスを整えながら軌道修正していきました。

そして自社のIT製品も売れ始め、大手企業との取引も伸び、2016年に東証マザーズ市場(現 東証グロース市場)に上場を果たしました。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

バーチャレクス・ホールディングスの事業概要と特徴

概要

当社の事業セグメントは、IT&コンサルティング事業とアウトソーシング事業の2つです。

事業領域としては、デジタルマーケティングからCRM(顧客マネジメント)に至るまで、企業と顧客の接点に関わる領域を幅広くカバーするに至っています。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

事業における優位性

【3つのスキル】を融合させ【ワンストップ】で企業変革を支援

当社の最大の強みは、コンサルティング、IT、オペレーションの全てのスキルを内部で兼ね備えていることです。

この3つのスキルを組み合わせることで、一気通貫のサービスを提供できます。

具体的には、上流工程はコンサルティングチームが中心となって課題解決の構想を描き、工程が進むにつれITエンジニアがシステムを導入し、そして戦略を熟知したコンサルタントと協力する形で現場業務のメンバーが業務を実行します。

これにより当初描いた戦略的業務を実際に実現することができるのです。

また、そのような経験と実績により、当社のコンサルティング提案がより戦略性と具現性の両面を備えたものになり、クライアントから信頼され発注をいただくことができるのです。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

スキル領域毎に特化した競合他社 vs 一気通貫支援が可能な当社グループ

多くのコンサルティング会社は、自社内でオペレーション業務やIT開発を行っていません。

クライアントは、IT領域は他の会社に発注し、オペレーションはまた別の会社に発注する形でプロジェクトが進みます。

一方、我々はコンサルティングから事業のオペレーションに至るまで、ワンストップでサービス提供することが可能です。

クライアントのニーズに対して、最後まで責任を持って伴走支援することができるのです。

このような当社独自の事業モデルを通じて、これまで数多くの大手企業様からご指名を頂き、ご支援させて頂いてきました。

クライアントにしっかりと寄り添った伴走型の支援を行っていること、そして創業以来その確かな実績を一貫して積み上げてきたことが、他社と比べた際の当社の優位性です。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

ストックビジネス化による安定的成⾧の加速

当社のビジネスは、コンサルティングフェーズからクライアントと歩みを共にし、IT開発やアウトソーシングサービスを提供しているので、最終的には安定したストック収益を積み上げることが可能です。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

特に、近年注力している「マザーセンター」構築運営支援サービスは、プロジェクトが長期に渡ることを想定したモデルであり、継続的なコンサルティング支援やシステムの月額利用料などのサブスクリプション提供が、ストック型の収益確保につながっています。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

バーチャレクス・ホールディングスの成長戦略

遺伝的アルゴリズム TENKEI

当社は、一般的なIT技術のみならず、AI領域に関わる研究開発も20年以上にわたって行ってきました。

そして、遺伝的アルゴリズム・進化計算というAI領域において、業務計画のDX化を推進するためのプラットフォーム「TENKEI」を開発しました。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期 第2四半期決算説明会資料 より引用

一般的にAIを用いてアルゴリズムやシステムを最初から構築する場合、AIの専門家をチームに組み込み開発を行うため、多大な時間とコストがかかります。

しかし、「TENKEI」は用意されたテンプレートのカスタマイズで専用アプリを構築できるため、初期投資を抑えてAI・DXを活用した業務基盤を構築することができます。

「TENKEI」は、膨大な組み合わせパターンの中から最適な組み合わせを抽出できる技術です。

製造業の生産計画や人員シフト計画、車両スケジューリングなど、人手では膨大な時間を要する複雑な業務を、瞬時に遂行することができます。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期 第2四半期決算説明会資料 より引用

その「TENKEI」基盤をSAAS型で提供し、企業の計画業務のDX化を支援していきたいと考えています。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期 第2四半期決算説明会資料 より引用

AIコールセンターの「マザーセンター」に注力

「マザーセンター」は、当社の成長戦略の中核のひとつであり、特に2024年3期はChatGPTを用いた自動応答システムの開発に力を入れてきました。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

ChatGPTを顧客対応に活用するには、回答の正確性などまだまだ課題があります。

当社の「マザーセンター」で取り組むAIコールセンターは、人がChatGPTを教育し、回答精度を向上させながら継続的に自動化率を上げていくという業務モデルです。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

また、当社のITソフトはChatGPTと通信(会話)しながら、ChatGPTを教育する機能やお客様に返信する機能などを持っています。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

生成系AIのみならず、音声応答や音声認識、あるいはChatBotなどのテクノロジーも「マザーセンター」で取り組むテーマです。

コンサルティングチームが「マザーセンター」の機能全体を設計し、AIなどの技術を組み込みながら、実際の業務をチューニングしていきます。

これはまさにコンサルティング・テクノロジー・オペレーションをワンストップで提供できる当社でしか取り組めないことであると自負しています。

足元ではこの「マザーセンター」としての機能を活かし、東京電力エナジーパートナー様とAIコールセンター構築に取り組んでいます。

今後、益々大企業様との協業事例が増えていくものと期待しています。

デジタルマーケティングの案件サイズ拡大

デジタルマーケティングの分野は、2020年に「Salesforce Rookie partner of the year」を獲得し、シルバーパートナーに昇格したことで、更なる案件サイズの拡大を見込める分野です。

これまでは案件規模が1,000万円以下の層に対する実績を積み上げてきましたが、シルバーパートナーへの昇格とともに数千万円から数億円規模の導入を考える中堅企業層からの受注を獲得できるようになりました。

デジタルマーケティングは、顧客になる前の工程です。これまで当社は、CRM(顧客管理)領域で顧客になった後の業務領域の実績が豊富でした。

今後は、マーケティングから顧客管理、そしてカスタマーサクセスの一連の流れをワンストップで支援できる企業となっていきます。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

そのためにも自社サービスの開発を通じて、伴走型DXを作り案件規模の拡大と自社のSaaSによるストックビジネス化を目指します。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

個別事業毎の成⾧

今後は、自社CRM関連製品とAWSを組み合わせ、CRMの統合プラットフォームとして展開していきます。

電話、メール、チャットなどのマルチチャネル対応を、AIや顧客応対管理システムなどとつなげ、次世代の顧客対応を可能とするプラットフォームです。

また2023年6月には「Amazon Connectサービスデリバリープログラム」を取得し、Amazon Connectの販売代理店としての資格を所有しています。

さらに2023年10月にはAWS活用コールセンタークラウドサービスの「Connectrek」がAWS認定ソフトウェアとなりました。

この販売資格と認定ソリューションを活かして更なる拡販を見込んでいます。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

注目していただきたいポイント

当社は、創業以来、単にレポートを作成するだけのコンサルティング会社とは一線を画し、クライアントに伴走してビジネス成果を向上させることを目指してきました。

その実現のため、コンサルティングだけでなく、ITの導入や業務の実行も含めた一気通貫のサービスを提供してきました。

コンサルティング会社にも関わらずITの自社製品も開発販売し、業務のアウトソーシングまで請け負う新しいコンサルティング会社であるというところを注目していただきたいと思っています。

クライアントは報告書やレポートが欲しいのではなく、ビジネスの結果を早く着実に手に入れたいと考えているはずです。

そのビジネスの結果を提供するまでが今後のコンサルティング会社の使命だと思っています。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社は、東京電力エナジーパートナー様などの大手企業とのプロジェクトを通じて、次世代の業務ソリューションを実現しています。

まだまだ発展途上ではある当社ですが、実は総合的なスキルで数多くの大企業様との実績を積み重ねてきています。

現在の連結売上は70億円程度ですが、まずは早急に100億円規模へと拡大させたいと考えています。そうなれば成長の加速が更に早まると考えています。

この成長を支えるため、特にAI技術に注力し、DX人材の採用と育成にも力を入れていきます。

是非とも多くの皆さまからのご支援をいただけますよう宜しくお願いいたします。

バーチャレクス・ホールディングス株式会社

本社所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-3-13 ヒューリック神谷町ビル8階

設立:1999年6月15日

資本金:610,516,947円(2023年3月時点)

上場市場:東証グロース市場 (2016年6月23日上場)

証券コード:6193

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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