※本コラムは2024年6月12日に実施したIRインタビューをもとにしております。
リックス株式会社は販売・技術・製造・サービスの高度な融合を目指すメーカー商社です。
代表取締役社長執行役員の安井 卓氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
リックス株式会社を一言で言うと
「世界中のものづくりの課題解決屋」を目指す会社です。
リックスの沿革
創業の経緯
当社は1907年に創業され、当初はtoC向けに足袋の卸売を行っていました。
その後、新日鉄(現 日本製鉄)の製鉄所の作業用に直足袋などを販売し、これがtoBのビジネスの始まりでした。
そして、製鉄所での作業場で海外製のオイルシール(オイルが漏れるのを防ぐパッキン)が使用されていることを知り、現場から日本国内で取り扱える企業を求める声がありました。
そこで当社は、各種オイルシールを日本製鐵(現 日本製鉄)に納入し、お客様のニーズに応えながら取り扱う製品を増やしていきました。
メーカー商社へ
当社の大きな転換点は、メーカー機能を手に入れたことです。
1969年に回転継手メーカーである協和工業を吸収合併し、それまで純粋な商社であった当社は自社製品を製造する能力を獲得しメーカー商社としての基礎を築きました。
また、日本の高度経済成長期にうまく乗り、鉄鋼を中心とした事業から、自動車・半導体産業にも事業を拡大しました。
当時からお客様の工場近くに営業所を設置し、太平洋ベルト地帯に販売網を広げていきました。
そして今日では日本国内だけでなく、タイ、中国、ドイツ、アメリカ、韓国、インドネシア、インドなど、グローバルに事業を拡大させています。
リックスの事業概要と特徴
概要
当社には、販売商社・メーカー・研究開発・サービスの四つの機能があります。
これらの機能を組み合わせ、お客様のニーズに応じて最適なソリューションを提供しています。
鉄鋼、自動車、半導体など様々な業界のお客様がいますが、特に工場の操業に関連する製品を多く取り扱っています。
具体的には、車載器といった最終製品に組み込まれる部品ではなく、生産現場で使用される装置や備品、消耗品が中心です。
そのため、自動車販売台数や生産台数と当社の業績はあまりリンクしておらず、産業業界全体の設備投資額などに大きく影響される特殊な業界です。
事業における優位性
“メーカー商社”として独自的なポジション
自社で開発できるメーカーの側面と、ニッチな製品を扱う専門商社としての側面を持ちます。
そのため、当社は製品を仕入れて販売するだけでなく、お客様のニーズに応じて必要な製品をカスタマイズして提供することができます。
また、メーカー機能も持ち合わせているので「ないものは作る」という発想で、問題解決の幅を広げています。
特に当社の研究開発はお客様の困りごとやニーズが起点です。
そしてお客様の近くに拠点を展開しているため、現場で膝を突き合わせて、開発や提案に繋げることができます。
このメーカー商社という独自のポジショニングが大きな強みです。
国内トップシェアのロータリージョイント
ロータリージョイントと呼ばれる、工作機械業界向けの製品を製造・販売しています。
工作機械業界は日本が強い分野で、ヤマザキマザック、DMG森精機、オークマなどの世界的な企業が存在し、当社のロータリージョイントが採用されています。
ロータリージョイントとは、固定した配管から回転する機械装置に水や油を供給・排出するための機能を持つ部品です。
例えば、金属加工時に高温になるドリルに、ロータリージョイントを通して特殊な液体を供給することで、冷却することができます。
そのため高精度な加工には欠かせない部品となっており、当社の高い技術力・製品力が認められ、国内ではトップシェアを獲得しています。
利益率の高いオリジナル製品
当社では自社製品、グループ会社製品、そして当社だけが取り扱うことができる専売製品をオリジナル製品と呼んでいます。
これらの製品は非常に利益率が高く、海外市場でも競争力がある製品です。
まず当社は流体制御に関する製品として、ロータリージョイントのみならず様々な産業用機械に関する製品を製造・販売しています。
例えば、関連会社が製造している「ロッキーバルブ」は、タイヤ加硫機用として世界中で使用されています。
また、デンマークのDanfoss(ダンフォス)社のインバーターやソフトスタータなどを専売しています。
このように戦略的なオリジナル製品を持っていることが当社の強みだと考えています。
リックスの成長戦略
リックス協創センターと新製品の開発
リックス協創センターを建設し、2024年11月から稼働予定です。
このセンターは、お客様のニーズと当社の技術を結びつけ、既存製品に縛られない新たな製品開発を行う拠点となります。
現在の主力製品であるロータリージョイントも、最初は売れるかどうかわからないものでした。
また、微粒化装置はかなり前から開発を進めておりましたが、最近ようやくお客様からの引き合いが増えてきました。
このようなニッチでも競争力のある製品を継続的に作り出していくために、リックス協創センターを建設しました。
基本的に現場はお客様と膝を突き合わせて製造工程の課題を探しています。
そのような顧客密着営業で、お客様から集めてきた情報を元に新製品のタネを発掘しています。
社内からアイデアを募集するRENSという取り組みや、外部からのアイデアを取り込むためのオープンイノベーションにも取り組んでいます。
そして、そのようなアイデアを元にして製品開発に必要な研究・計測・テストなどを行うのが協創センターの役割です。
今後は、協創センターを活用しながら新製品の開発を推進していきます。
インド工場建設と生産力の強化
インドは人口が世界一となり、今後も産業が発展していくと予測しています。
そして、当社のお客様である日系の工作メーカーが多数進出しており、インドの経済発展に伴って工作機械の需要も増加しています。
またインドの機械メーカーも工場を増設しており、2018年には当社もインド市場の成長性を見込んで、ムンバイに販売拠点を設立しました。
そして2023年にはカルナータカ州に製造現地法人を設立しました。
今後は、工作機械向けのロータリージョイントを中心に、自社製品をインドでも製造・販売し、経済成長とともに事業を伸ばしていきたいと考えています。
ロボットベンチャーへの出資と共同開発
先行して投資してきたアイ・ロボティクスとハイボットに関しては、すでに多くのお客様から引き合いをいただいています。
まず、アイ・ロボティクスでは、作業型ドローンなどを利用したプラント向けの点検ソリューションを開発・提供しています。
また、ハイボットでは人間では過酷な現場作業を代替する、高所点検用ヘビ型ロボットなどを開発しています。
近年、製造業では「老朽化した設備の点検や検査にロボットを導入したい」というニーズが高まっていることもあり、様々な現場で二社のロボットが検討されています。
さらに、最近出資したKiQ Roboticsは柔軟指と呼ばれる革新的な製品を開発しています。
これまで製造工程で使われる装置では把持(物をつかむ)するためには、ワーク(把持対象)に合わせて治具を付け替える必要がありました。
ワークの種類が増えると、治具も増えてそれを付け替える段取り替えの時間も増えます。
一方でこの柔軟指を使えば、ワーク毎の多少のサイズの違いなどは柔軟指が追随してくれて、段取り替えもなく確実につかむ、離すといった作業ができます。(サイズの差が大きすぎるとその限りではありません)
実際に当社の製造工程の中でも導入しており、効率化を実現する製品として活躍しています。
今後はユニークで独自性のある技術や企業に投資をしながら、お客様の課題に応えるソリューションを提供し、ニッチトップを目指していきたいと考えています。
注目していただきたいポイント
当社は東証再編の際にプライム市場を選択し、当初は流通時価総額と一日当たりの売買額の基準を満たしていませんでした。
しかし、資本コストや株価を意識した経営の計画を策定し、着実に取り組んだ結果、両基準をクリアすることができました。
また、IR活動も強化して当社の事業の内容や取り組みを発信しています。
そして、新しい行動規範「RIXing Action」を策定し、世界を含む全社で啓蒙活動を行っています。
当社が定めた9つのアクションを元に、中長期的な人材育成を強化し、持続可能な事業基盤を築いています。
今後は「世界中のものづくりの課題解決屋になる」というあるべき姿に向けて、全社一丸となって取り組んでいく方針です。
ぜひ当社がものづくりを支えていることや、今後の成長のための取り組みに注目していただければと思います。
投資家の皆様へメッセージ
私たちはお客様にとってなくてはならない存在となることを目指しています。
BtoB企業であるため、日常の場面で投資家の皆様と直接お会いできる機会は少ないかもしれません。
そこで、当社の事業内容や業績については透明性を持って積極的に情報を発信していきます。
私たちの取り組みが、「ものづくり」という社会の基盤を支える重要な役割を果たしていることを知っていただき、温かいご支援をいただければと思います。
リックス株式会社
本社所在地:〒812-8672 福岡県福岡市博多区山王1丁目15番15号
設立:1964年5月1日
資本金:8億2,790万円(2024年6月アクセス時点)
上場市場:東証プライム市場(1996年11月7日上場)
証券コード:7525