※本コラムは2024年4月18日に実施したIRインタビューをもとにしております。
YCPホールディングス(グローバル)リミテッドはアジア市場での成長を求める企業に対して幅広いサービスを提供し企業の変革を推進するプロフェッショナル・ファームです。
グループCEOの石田 裕樹氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
YCPホールディングス(グローバル)リミテッドを一言で言うと
アジアを牽引するプロフェッショナル・ファームです。
YCPホールディングスの沿革
創業の経緯
2011年に日本でヤマトキャピタルパートナーズとして創業しました。
当初はプロフェッショナル数名の小さい組織ではありましたが、特にPEファンドのお客様を中心に現場常駐型(PMO)のコンサルティングを提供しながら、グローバル展開を目指してまいりました。
そしてアジアを中心にグローバル化を進める中で、2014年にグループの社名をYCPに改めると共に香港に本社機能を移管、ホールディングスとして体制変更しました。
上場と事業の多角化
2021年、シンガポールにグループ統括機能を担う当社 (YCPホールディングス(グローバル)リミテッド) を設立し、東証マザーズ市場 (現 グロース市場) に上場を果たしました。
その後、コンサルティングだけでなく、クライアントの経営変革を実現させる専門のソリューション事業や、経営のノウハウを活かして自社で事業を行うプリンシパル投資事業まで多角化させていきました。
現在では、日本以外にも東南アジア・中国・インド・北米・欧州に拠点を構え、コンサルティングやソリューション事業に従事するプロフェッショナルが約500名、投資先企業まで含めた総従業員数が約800名と、積極的に業容を拡大してまいりました。
YCPホールディングスの事業概要と特徴
概要
マネジメント・サービス、ソリューション、そしてプリンシパル投資の3つのセグメントで事業を展開しています。
創業初期よりグローバルに事業展開を行ってきたため、アジアを中心としたクロスボーダーの支援はもちろんのこと、M&Aの実行支援やDXの導入等を強みにクライアントの課題解決に寄与しています。
事業における優位性
現場常駐型のコンサルティング
当社のメイン事業でもあるマネジメント・サービス事業は、紙で納品する一般的なコンサルとは異なり、現場常駐型での支援が特徴です。
主に戦略の策定を担うアドバイザリーサービス、クライアントの現場で実行支援を手掛けるプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)、そしてクロスボーダーを含む難易度の高いM&Aのトランザクション等、クライアントに寄り添ったサービスを提供しています。
また、消費財や小売関連産業、さらには自動車や製造業の分野に特化した人材が豊富で、専門性の高いご提案が可能です。
例えば、生産性の改善や営業体制の見直し、新規事業の開発等を中心に、国内外問わず世界20都市で多国籍企業・現地企業への支援を行っています。
グローバルにおける展開力
創業間もない頃からグローバルに事業を展開し、現在ではアジアを中心に20都市に拠点を有し、日本や欧米、さらにアジア各国の有力企業からお引き合いをいただいております。
マネジメント・サービス事業では現在、約130名の日本人スタッフがいますが、そのうち20名強が海外に駐在しています。
また、中国やインド、シンガポールなどアジア各国において新卒採用を含むローカル人材を積極的に採用していることから、各国の法規制や風土等に精通した人材が多く、ほとんどの拠点の経営は現地出身のシニアな人材が務めています。
そのように各国に裁量を持ったスペシャリストを配置しておりますが、グローバルでの組織運営をするために意見交換や情報交換の場を定期的に提供しています。
例えば「スクラム」という年に2回のパートナー合宿を開催し、全拠点のパートナーが一同に介する場を提供することで、日頃から円滑なコミュニケーションが行えるきっかけを作っています。
また、グローバルに事業を展開しているため、通貨や地政学リスクを分散させることができるというメリットもあります。
売上の大部分は現地通貨で決済を行っているため、米ドルで換算した際での昨今の円安影響も限定的となっております。
特に足元で売上を伸ばしているインドでは、インド・ルピーが米ドルに対して価値を上げているので、インドでの事業拡大とともに案件以上に売上が伸びていく可能性を期待しております。
このように、多国籍企業・現地企業との取引が多く、通貨や地政学的なリスクの分散が可能なことは、グローバルに展開し続けている当社の強みであると考えております。
YCPホールディングスの成長戦略
マネジメントサービス事業のオーガニック成長
マネジメント・サービス事業は、2026年までにCAGR11%の売上成長と並行して、営業利益率の向上を実現していきます。
具体的には、2026年までに営業利益52.3百万米ドル (79.2億円1) を必達目標として設定しました。
すでに組織体制を整えた日本とインドにおいては、当社の存在感も高まっており、各国でリーダーシップを発揮しながら事業を成長させていきます。
また、時期を見極めながら中国への追加投資、それから中東市場への進出も検討中です。
今後は、アジアを中心にグローバル化をさらに進めながら、業界知見をさらに高めていくため、例えばモビリティやテクノロジー産業に精通したスペシャリストを採用していく方針です。
主力のマネジメント・サービス事業の基盤を確かなものにし、着実にオーガニックな成長を実現してまいります。
周辺領域におけるソリューション事業への拡大
ソリューション事業に関して、現在は投資初期の段階で、0→1のフェーズにあると考えています。
既に数百人規模のマネジメント・サービス事業部がクライアントの現場で経営課題に取り組んでいるため、そこから派生する問題解決のための専門ソリューションを開発し、ご提供することが今後の大きな成長戦略です。
ここで注目していただきたいのは、我々が現場に常駐してコンサルティング業務を行なっている点です。
既にクライアントとの強固な関係を築き上げ、寄り添った提案を行いながら成果を上げています。
そのような中で、2022年5月にデジタル・トランスフォーメーション及びインタラクティブ・ソリューションを、2023年4月にはサプライチェーン・ソリューションといった事業部を新設し、自社ソリューション及びプロダクトの研究や開発を行なっております。
これらはクライアントのニーズを丁寧にヒアリングし、実行支援において自社で開発した方が良いと考えたサービスです。
クライアントのニーズをしっかりと把握し、自社でワンストップに提供することにより、アップセル・クロスセルを図ってまいります。
プリンシパル投資事業によるグループの成長加速
今後のプリンシパル投資については、成長段階に応じて様々なステージの企業や事業に投資していきます。
既に自社で立ち上げたパーソナルケア・ブランドを、アジア全域でD2Cモデルで展開しています。
我々は、これまで様々なクライアントのアジア展開を支援し、そのマーケティングノウハウを蓄積してきました。
その経験値を活かし、ECサイトで消費財のブランドイメージ作りやサプライチェーンを構築し、大きく成長させてきました。
また、ペットケア領域は日本各地の事業承継に問題を抱えている動物病院の受け皿としての役割を果たしており、M&AやDX化をキーワードに拡大し続けている事業です。
今後も後継者問題を抱えている動物病院の支援を行いながら、事業を成長させていきます。
そして戦略投資領域においては、当社のグローバルでの展開力やM&Aの専門性の高さ、そしてDXへの深い理解を活かしつつ、事業成長を見極めていきます。
もちろん、投資対象の出口も考えており、成長段階に合わせて上場や事業売却を検討しております。
皆様にお示ししているプリンシパル投資の目標は保守的な数値ですので、今後の当社からの開示に期待していただければと思います。
注目していただきたいポイント
当社は、東証の新設制度であるJDRを活用したクロスボーダーIPOの3事例目となります。
この制度により、株の売買は日本円で行われますが、当社自身はグローバルでの事業展開をしているため、当社への投資は自然と通貨や地域のリスク分散に繋がります。
また現在、アジアは成長市場として非常に多くの機関投資家や個人投資家の方々に注目されています。
特にインド市場は急速に成長しており、当社のマネジメント・サービスやソリューション事業の需要が高まっていくと考えています。
今後もこれまでのノウハウを活かしながら、グローバルでの事業展開を進めて参ります。
ぜひアジアのマーケットの動向と、アジアでイニシアチブを取りながら事業を展開する当社に注目していただければと思います。
投資家の皆様へメッセージ
当社は2021年12月に東京証券取引所に上場し、調達した約30億円を活用して、2021年当時は111億円の売上だった業容を、直近の2023年12月には184億円の売上にまで飛躍的に成長させることができました。
今後の3年間においても、同様のペースで業容を拡大させることが目標です。
投資家の皆様には、当社の資金の活用方法や成長性をご評価いただき、温かいご支援をいただけると幸いです。
YCPホールディングス(グローバル)リミテッド
本社所在地:シンガポール、コーリヤー・キー20、#12-6
設立:2021年3月5日
資本金:US$ 41.2 million(2024年5月アクセス時点)
上場市場:東証グロース市場(2021年12月21日上場)
証券コード:9257
- 日本円への換算は、1ドル = 151.40円 (2024年3月29日の為替レート) により計算 ↩︎