【138A】光フードサービス株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年8月29日に実施したIRインタビューをもとにしております。

光フードサービス株式会社は『ひとつでも多くの「笑顔」と「笑い声」に出会いたい』を経営理念とし、立呑み業態を主軸とした飲食店のドミナント展開で、10坪のイノベーションを起こします。

代表取締役の大谷 光徳氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

光フードサービス株式会社を一言で言うと

「もっと笑顔。もっといい日。」を目指す会社です。

光フードサービスの沿革

光フードサービス株式会社代表取締役 大谷 光徳氏

創業の経緯

私は19歳の頃、焼肉屋で働き、修行を積んでいました。

その焼肉屋では、仕事を通じて、お肉について深く勉強できる環境だったため、飲食店の経営や”美味しいお肉”についてのノウハウを身につけました。

そして、生産者の情熱や努力が最終的にお客様に美味しさとして伝わることで”美味しいお肉”となるということを知りました。

私はお肉の仕入れを任されていたため、まさにお肉の生産現場である屠殺場に出入りし、生産者の方からのお話を聞き、美味しいお肉を見つけました。

そこで、単にお肉をお客様に提供するのではなく、生産者のこだわりをストーリーとして付加価値を提供する方法を考え、”立呑み”という業態に着目しました。

10坪の小さな店舗でも展開できる立呑みであれば、物理的にも心理的にもお客様に近い接点を持つことができ、ストーリーもしっかりと伝えることができると期待して、2008年4月に創業しました。

厳しい状況を”正面突破”

飲食業界は、幾度かの危機的状況に直面してきました。

私が焼肉屋で修行をしていた頃、BSE問題が発生し、日本中から牛肉が消えました。

その時に学んだのは、お肉を豚肉に変える、別業態への転換をするといった小手先の技術を用いるのではなく、牛肉と心中する想いで真正面から課題に向き合い、育んできた事業を信じて突き進むことが大切だということでした。

そのような”正面突破”する気持ちで、当社の危機も乗り越えてきました。

例えば、2020年から始まった緊急事態宣言下ではお店を開けることができず、営業停止に追い込まれてしまいました。

もちろん国からの援助などはありましたが、それでカバーすることは叶わず、売上は激減してしまったため、財務的にも苦しい状況が続きました。

私たちは社員に「この嵐は必ず過ぎ去る、信じて待とう」と鼓舞し、スタッフ同士のコミュニケーションを活発にさせるなど、様々な施策を打ちながら一致団結して危機を乗り越えようと奮闘しました。

人材流出は飲食業界同様に発生し、スタッフ全員を繋ぎ止めることは困難でしたが、なんとか危機的状況を乗り越え、業績を回復させることができました。

また、上場準備のために内部管理体制を整備し、コンプライアンスの強化を図りました。

そして、2024年2月に東証グロース市場、名証ネクスト市場に上場を果たしました。

今後、私たちは時価総額1,000億円、全国600店舗出店を目指し、外食産業のトップ10入りを果たしたいと考えています。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

光フードサービスの事業概要と特徴

概要

平均10坪の小規模店舗を活用した立呑み業態を中心に「立呑み 焼きとん 大黒」や「立呑み  魚椿」「横浜家系ラーメン 金山家」などを運営しています。

10坪の小箱を上手く活用した席数を限定しない立呑みスタイルで、”365日いつでも気軽に立ち寄れる”場を提供しています。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

また、セントラルキッチンで調理された商品を提供し、スタッフが接客に集中できるような環境に整えています。

例えば、酒屋さんが商品をお酒と一緒に店舗まで届けてくださり、袋を開ければすぐに営業を始められるほど、オペレーションは非常にシンプルで効率的です。

その反面、提供する商品の品質には非常に強いこだわりを持っています。

鮮度が高く、美味しい状態で商品を各店舗に届ける物流網を構築し、結果としてお客様には美味しい食事を楽しんでいただけるだけでなく、店内の雰囲気やスタッフのサービスにも満足していただいています。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

事業における優位性

⽴呑み×小箱業態

立呑みスタイルは席数が限定されないため、席効率を最大化することができます。

椅子の数が決まっていれば、動線を確保する必要があり、ご案内可能な人数は限定されてしまいます。

一方、立呑みであればスペースを柔軟に活用することができるため、通常の居酒屋よりも多くのお客様をご案内することができます。

そして、短時間利用のお客様が多いため、客席回転率の最大化も可能です。

さらに、飲み会前後の0次会や3次会といった需要を獲得し、開店から閉店まで、高い客席稼働率を維持しています。

また、小箱展開によりランニングコストを抑えています。

物件探しの際には競合が少ないため、他業態よりも比較的容易にテナントを確保することができます。

⽴呑み×小箱業態による様々なメリットを効果的に活用し、結果的に高い利益率を実現しています。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

ドミナント出店

小箱業態を活かして、特定エリアに複数の店舗を集中して出店するドミナント戦略を展開しています。

一般的なドミナント展開のメリットは、人材の効率的な採用や配置、物流コストの削減ができることです。

しかし、当社では強みである「再来店・はしご戦略」を前提に、近隣に出店しても自社競合を起こさないというメリットを享受しています。

このドミナント出店により、地元の名古屋だけでなく、東京や仙台などでも同様の戦略で売上を伸ばしています。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

再来店・はしご戦略

当社には”接近戦”と呼ばれる特徴的な接客方法があります。

お客様との接触回数を増やす「ザイオンス戦略」や、スタッフとお客様、お客様とお客様を共通の話題で繋ぎ、コミュニティ形成を図る「トライアングル戦略」が基本的な戦略です。このようにコミュニティ形成を図ることで、お客様は食事だけでなく人との繋がり、人との会話を求めて来店するようになります。

また、スタッフとの距離が近く、丁寧でホスピタリティの高い接客を行うため、スタッフのファンが増えています。

例えば、スタッフにちなんだイベントを開催すると自分の”推しスタッフ”の応援者として参加していただけるため、来店に繋がっています。

さらに、戦略的な人員配置も来店回数を増やすための戦略です。

例えば、”推しスタッフ”が別店舗に異動した場合には、一大イベントとして「卒業式」を開催しています。

そして、新店舗に移動した後も、ファン化したお客様はそのスタッフに会いに別店舗に足を運ぶきっかけに繋がります。

そして、「〇〇が新しい店舗でも頑張ってたよ」と伝えるために、元々いた店舗に報告しにいくというような流れを生み出し、来店回数を増やすというものです。

さらに、オンラインでの戦略も積極的に活用し、スタッフの情報や各店舗のイベント情報を発信しています。

このようにあらゆる施策で”来店動機”を作り、再来店・はしごを促進することで売上を伸ばしています。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

光フードサービスの成長戦略

既存店の継続的な成⻑

当社の”接近戦”を支えるデジタル戦略とアナログ戦略を強化し、再来店・はしごを促進していきます。

メニューのオーダーには、LINEを活用したQRモバイルオーダーシステムを導入しています。

これにより、スタッフの業務負担を軽減するとともに、お客様の来店頻度や注文傾向に合わせた接客に活用できるCRMとしての機能を備え、LINEで各種情報の配信などを行い、再来店・はしごに繋げています。

一方で、顧客の来店意欲を促進するため、スタンプカードをアナログで配布しています。

あえてアナログなところも見せることで、お客様の達成感やお客様同士のコミュニティ形成にも役立っています。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

今後もアナログでお客様との距離を近づけるような取り組みを行いつつ、その裏ではしっかりとDXを活用し、お客様にファンになっていただくためのイベントを戦略的に仕掛けていきます。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

新規出店とドミナントエリア拡大

これまで名古屋以外にも、東京、広島、仙台へのドミナント展開を進めてきました。

1日の乗降者数16万人以上の駅周辺をターゲットに、全国的にエリア展開することを目指しています。

既にドミナント展開してきたエリアでは、当社の強みや戦略を活かして売上を着実に伸ばしてきました。

このような実績があるため、当社の戦略は再現性が高いと考えています。

各エリアで緻密なマーケティングを行い、エリアのニーズを捉えた出店で全社総来店回数の増加を狙っていきます。

新規出店に向けた資金調達については、上場時に行った公募増資で十分に確保しているため、エリアを見定めながら積極的に進めていく方針です。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

人材の確保

新規出店を安定的に行っていくためには、人材の確保が重要です。

採用者数を拡大するとともに、離職率を抑えることに注力し、労働環境の改善を徹底しています。

また、適切な人事考課を行うことで、スタッフ間の公平性を保ち、仕事に対するモチベーションを高めていきたいと考えています。

昨年度の離職率は業界平均の約27%に対して約11%と、かなり低い数字を記録しました。

アルバイトから正社員への登用も増えており、昨年度はアルバイト200名弱の5%程度が当社に入社するという良い流れが生まれています。

直近の人材確保は順調に進んでおり、今後も地道に採用と内部環境の整備を進めていきます。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

私たちのビジネスモデルの特徴は、既存店が継続的に成長し続けるということです。

1号店が開業から16年経った今でも成長を続けているのは、飲食業界では非常に珍しいと考えています。

また、新規出店については600店舗を目指し積極的に進めていますが、これまで培ったノウハウを活かしたドミナント展開による成果が見え始めています。

1号店だけでなく、2号店、3号店も同様に成長を続けており、既存店舗全体では年間110%の成長率を維持しています。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

今後、既存店の成長と新規店舗の成長が掛け合わさることで、売上と利益が複利的に増加していくと期待しています。

この当社の持続的に成長していくビジネスモデルと独自の戦略にご注目いただければと思います。

光フードサービス株式会社 2024年11月期第2四半期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

私たちは虚勢を張ることなく、身の丈に合った成長イメージを持っています。

これまでの実績に裏打ちされたビジネスモデルに基づき、今後も堅実に成長を続ける所存です。

特に、立呑み業態における効率的なモデルは外食産業の中でも特徴的で、際立った競争力を持っていると自負しています。

私たちのビジネスの強さは、現場でこそ感じられるはずです。

投資家の皆様には、ぜひ私たちの店舗に直接足を運んでいただき、実際の雰囲気やお客様とのつながりを体感していただければと思います。

光フードサービス株式会社

本社所在地:〒453-0014 愛知県名古屋市中村区則武1丁目10-6ノリタケ第1ビル101

設立:2009年12月1日

資本金:411,552,000円(2024年8月アクセス時点)

上場市場:東証グロース市場、名証ネクスト市場(2024年2月28日上場)

証券コード:138A

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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