※本コラムは2025年2月21日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社早稲田学習研究会は「生徒第一主義」を軸に生徒の成績を確実に向上させ、着実に事業を拡大しています。
代表取締役社長の佐藤 誉氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
株式会社早稲田学習研究会を一言で言うと
「生徒第一主義」を貫き、確実に成績を向上させる塾です。
早稲田学習研究会の沿革

創業の経緯
W早稲田ゼミは、1987年に群馬県太田市で誕生しました。
創業者である現代表取締役会長・吉原が、家庭教師センターのような形でスタートしたのが始まりです。
当初の生徒はわずか6人ほどでしたが、その指導力が口コミで広がり、入塾希望者が次々と増えていきました。
しかし、家庭教師の1対1の指導では対応しきれなくなり、やがて集団授業の形式を導入しました。
すると、「授業がわかりやすくて楽しい」「成績がぐんぐん上がる」と評判が高まり、さらに生徒が増加しました。
それに伴い、講師陣の拡充や教室の拡大が進み、塾としての基盤を強固なものにしていきました。
実は私自身も、創業から3〜4年目の頃に塾生として通っていた「元W早稲田ゼミ生」です。
当時、小学6年生の終わり頃に入塾し、吉原会長の授業を受けていたことを今でも覚えています。
それまで塾といえば、「勉強をする場所」「宿題が出される場所」「テストを受ける場所」といった、どちらかというと義務感の強いイメージを持っていました。
しかし、W早稲田ゼミの授業は違いました。
とにかく楽しく、わかりやすい。気づけば成績も上がっていて、「こんな塾があるのか」と驚いたことを今でも覚えています。
当時のW早稲田ゼミは、まだ3〜4つのテナントで運営されていましたが、その後、急速に拡大していきました。
気がつけば20近くの教室を展開し、生徒数がどんどん増えていく様子を肌で感じていました。
太田市から群馬全域・栃木・埼玉へ
W早稲田ゼミの勢いは、太田市内にとどまりませんでした。
生徒数の急増により、太田市の校舎だけでは対応しきれなくなり、隣町へ新たな校舎を開設しました。
その後も、生徒の増加とともに新たな地域へと進出していきました。
群馬県内での展開が進むと、今度は太田市に隣接する栃木県足利市に進出し、足利市でも多くの生徒が集まり、さらに佐野市、栃木市、小山市、宇都宮市へと拡大していきました。
そして2025年には、鹿沼市にも新たに校舎を開設する予定です。
一方、群馬県の南側、埼玉県熊谷市に校舎を開設したところ、多くの生徒が集まりました。
その勢いは深谷市にも波及し、ここでは開校直後に約1,000人もの生徒が入塾するほどの人気校舎となりました。
この結果から、「埼玉県でもW早稲田ゼミの教育が求められている」という確信を持ち、本庄市や大宮市へも進出していきました。
現在も、埼玉県を中心にさらなる展開を進めています。
創業から現在に至るまで、一貫して大切にしているのは「生徒第一主義」です。
生徒の成績向上はもちろん、学ぶ楽しさを実感してもらうこと、そして一人ひとりに寄り添うこと、その想いを軸に、これからもより多くの生徒の未来を支えていきたいと思っています。

早稲田学習研究会の事業概要と特徴
概要
当社は、小・中・高校生を対象に学習塾を運営し、単一セグメントで教育サービスを提供しています。
なかでも主力事業である「W早稲田ゼミ」は、小学生・中学生向けの集団指導塾として、多くの生徒に通っていただいています。
小学生には、基礎学力の向上を目的とした指導を行い、中学生には高校受験に向けた実践的な学習指導を提供しています。
特に、授業を担当するのは全員正社員の教師で、質の高い授業ときめ細かなサポートを強みとしています。
また、W早稲田ゼミの卒業生が増えてきたことを受け、高校生向けに「W早稲田ゼミハイスクール」を開設しました。
ここでは大学受験を目指す生徒を対象に、受験戦略や個別指導を組み合わせた手厚いサポートを提供しています。
さらに、東京都内では「ファースト個別」という個別指導の新しい形態にも取り組んでいます。
これは、生徒1名に対し、正社員の教師または難関大の学生講師、加えて教室長・副教室長・アシスタント教師の4名体制でサポートする独自のモデルです。
この体制によって、生徒一人ひとりに最適な学習環境を提供し、確実に学力向上へと導いています。
また、授業日以外でも自習室を開放し、質問対応を受け付けるなど、サポート体制も充実しています。
「ただ授業を受ける場」ではなく、「生徒が学び続けられる環境を整えること」も、W早稲田ゼミの大切な役割だと考えています。

事業における優位性
ノウハウの蓄積とゴール設定
W早稲田ゼミが急成長を遂げた理由は大きく分けて二つの要素があります。
一つは受験の仕組みを深く理解していること、もう一つは教師の質の高さです。
まず、ターゲット層の特性から説明すると分かりやすいと思います。
北関東、特に群馬・栃木・埼玉の群馬寄りのエリアでは、中学生のほとんどが公立高校受験を目標にしています。
そのため、生徒全員のゴールが非常に明確です。
もちろん、生徒一人ひとりの学力は異なりますが、当社の校舎は大規模なため、学力別にクラス編成を行っています。
それでも、最終的な目標は「公立高校合格」という共通のゴール。これは指導の方向性を統一する上で、大きな強みになっています。
つまり、「生徒の目標=公立高校受験」「教師の目標=公立高校受験のサポート」という明確な構図が成り立つため、指導の軸がぶれることがありません。
この仕組みは、教師の育成という観点からも大きなメリットをもたらします。
多様な進路に対応しようとすると、指導方法やカリキュラムが複雑になり、統一感を持たせるのが難しくなります。
しかし、特定の都道府県の公立高校受験に焦点を当てることで、カリキュラムが一本化され、社員教師はその指導メソッドを確実に身につけることができます。
もちろん、教師それぞれの個性や教え方には違いがありますが、根本的な指導方針は統一されているため、個々の裁量に左右されることなく、高い水準の授業を提供することができるのです。
このシンプルな仕組みこそが、W早稲田ゼミの質の高い指導を支える大きな要因となっています。

正社員教師を育成
全員が正社員教師であること、これは当社の大きな特徴の一つであり、他社との差別化要因でもあります。
一般的な学習塾では、一つの校舎に100〜150人ほどの生徒が通い、社員は教室長1名と教務担当1名の2名体制が一般的です。
授業を担当するのは大学生のアルバイト講師が中心で、社員の役割は教室運営やマネジメントが中心になります。
しかし、アルバイト講師の場合、週に2〜3コマ程度しか授業を担当できないことが多く、指導経験を積む機会が限られます。
特に、所得制限の問題もあり、長期的なキャリアを築きにくいという課題があります。
一方で、当社では正社員教師が直接授業を担当します。
新卒採用者も中途採用者も、基本的に教師として採用し、フルタイムで勤務するため、授業経験を豊富に積むことが可能です。
たとえば、中学1年生の数学を担当する教師が、週に1コマだけ授業を持つのではなく、同じ学年・科目の授業を週に複数回担当する形になります。
これにより、授業スキルの向上が圧倒的に早く、結果として高い指導力を維持できるのです。
また、研修制度や教材の整備も、正社員教師が主体となるからこそ、より高いレベルで充実させることができます。
「一流の授業を提供するために、教師自身が成長し続けること」が、W早稲田ゼミの教育の質を支える大きな原動力となっています。
「生徒第一主義」を貫く
よく他の塾から移ってきた生徒に「先生の印象は?」と聞くことがあるのですが、返ってくる答えは決まって「とにかく声が大きい」「明るくて元気」「面倒見がいい」といったものです。
これは生徒だけでなく、保護者の方からもご評価いただいています。
しかし、私たちの強みは、それだけではありません。
W早稲田ゼミの教師に共通しているのは、「生徒第一主義」を徹底している点です。
それぞれの教師には個性があり、授業のスタイルも異なりますが、「生徒のために全力を尽くす」という信念は、全員が共有しています。
ここで言う「生徒第一主義」とは、単に生徒の言うことを何でも聞いてあげるという意味ではありません。
私たちの目的は、「生徒の成績を上げ、高い目標を持たせ、志望校に合格させること」です。
その実現のために、徹底的に寄り添いながら指導していくことが、私たちの使命だと考えています。
「生徒第一主義」を徹底し、結果を出すことにこだわる教師集団がいることこそが、W早稲田ゼミの最大の強みだと自負しています。
「学びの楽しさ」を提供する
当社の授業では「成績が伸びる授業」と「学びの楽しさ」を提供しています。
一般的な塾では、学生アルバイト講師が授業を行うことが多いですが、その場合、指導方法を統一する必要があり、どうしても標準化されたテキストに頼らざるを得ません。
その結果、学力に関係なく網羅的な教材を使うことになり、内容が教科書や参考書と大差なくなってしまうことがあります。
さらに、学生講師の場合、限られた時間の中で授業準備をしなければならないため、どうしても「あれもこれも伝えなければ」と情報過多になりがちです。
しかし、成績を上げるために最も重要なのは、知識の定着だと考えています。
特に英単語や数学の計算問題など、反復が必要な学習は単調になりがちですが、ここをしっかりやり切れるかどうかが、学力向上のカギになります。
W早稲田ゼミでは、正社員教師が「いかに不要な情報を削ぎ落とし、重要なポイントだけを効果的に伝えるか」を常に考えながら授業を行います。
しかし、ただ効率的な授業をするだけでは、生徒の集中力は続きません。
そこで、授業の中にさまざまな工夫を取り入れています。
たとえば、クイズ形式で理解を深めたり、声のトーンや身体全体を使ったダイナミックなパフォーマンスを交えたりすることで、授業そのものを楽しいものにしています。
さらには、替え歌を使って暗記を促すなど、遊びの要素を取り入れながら、自然に学べる工夫もしています。
また、基礎基本を定着させるための反復学習も重要視しています。
単調になりがちな演習も、「飽きずに続けられる工夫」をすることで、生徒自身が楽しみながら取り組める環境を作っています。
「面白いから行きたい」「楽しいから続けたい」と思える環境こそが、生徒の成績向上につながると信じて、日々指導にあたっています。

戦略的なエリア選定
エリア拡大に向けた選定の基準としては、大きく二つの基準を重視しています。
一つ目は、生徒数を一定数確保できる地域であることです。
少子化が進んでいるとはいえ、埼玉県内でも減少が緩やかな地域や、東京のように人口が維持されているエリアは多く存在します。
そうした地域を中心に、慎重に出店を検討しています。
ただし、単純に「このエリアに出店したい」という理由だけで校舎を開設するわけではありません。
他の学習塾と大きく異なるのが、校舎の立地戦略です。
一般的な学習塾は、駅前に小規模な教室を展開し、生徒数100人規模の教室を各駅に設置するモデルが主流です。
しかし、W早稲田ゼミでは、町の中央部に大型校舎を構え、周辺の小・中学校から幅広く生徒を集める戦略を採っています。
そのため、広い土地や大きな建物、十分な駐車場スペースが確保できる物件が必要になります。
「このエリアに出店したい」と思っても、適切な物件が見つからなければ出店はしません。
常に物件情報をリサーチし、「ここなら多くの小・中学生を集められる」という最適な立地を見極めて出店を決めています。
二つ目の軸として、必ずしも人口の多いエリアだけを狙うわけではない点が挙げられます。
これは、合格実績の向上という目的もあるからです。
たとえば、群馬県には前橋高校というトップ校があります。
この前橋高校を目指す生徒は、前橋市内だけでなく、周辺の市町村にも多くいます。
そうした生徒を支援するため、前橋市に隣接する渋川市など、比較的人口が少ない地域にも出店しています。
2025年に新たに開校する栃木県の鹿沼市も、同様の理由で出店を決めました。
鹿沼市は都市部ではありませんが、宇都宮高校や宇都宮女子高校といったトップ校を目指す生徒が多くいます。
そうした生徒たちをサポートし、合格者を増やすことも、私たちの使命の一つです。
塾は単なる教育機関ではなく、地域社会に貢献する存在でなければなりません。
そのため、「この学校のエリアだから」という狭い視点ではなく、広い地域を見据え、地元の子どもたちのためになるようなエリア選定を意識しています。

早稲田学習研究会の成長戦略
北関東を中心に新規エリアを着実に拡大
近年、個別指導のニーズが高まっており、他社も次々と個別指導塾を展開しています。
さらに、各市町村には昔からの個人塾もあり、「競合がまったくいないエリア」というのは、ほぼ存在しません。
特に埼玉県への進出、そして今後の都内展開を見据えると、競合の存在は避けられない状況です。
だからこそ、競争環境の中でもしっかりと生徒を集められる校舎づくりが重要になります。
実際、それを実現できているからこそ、W早稲田ゼミは生徒数を着実に増やしてきました。
ただし、W早稲田ゼミとして全国的にブランド認知を一気に広げるのは、現実的ではないと考えています。
そのためにテレビCMなどの大規模な広告展開を行うとなると、莫大な広告費がかかるため、戦略的ではありません。
そこで、私たちは「地域に根ざした学習塾」として、新規エリアを着実に拡大していく方針を取っています。
年間2〜3校のペースで新規出店を重ね、地域での存在感を高めながら、「W早稲田ゼミといえば誰もが知っている塾」となることを目指しています。
現在は埼玉県を中心に展開を進めていますが、まずはしっかりと見通しが立つエリアで地道に成果を積み上げ、確実に根付かせていくことが重要だと考えています。

東京への進出とその状況
中長期的な展開として、「ファースト個別」の拡大を考えています。
東京の中学生の進学状況を見ると、公立中学が約4割、私立中学が約4割、そして公立・私立を問わず中高一貫校の内部進学生が約2割という割合になっています。
さらに、公立中学に通う生徒の進学先も、都立高校と私立高校に分かれ、選択肢が多様です。
一方、北関東では公立高校受験が主流です。
そのため、「生徒と教師が同じ目標に向かって学ぶ」というW早稲田ゼミのスタイルが非常にフィットしています。
しかし、東京では私立高校受験の割合が高く、生徒の進路選択が多岐にわたるため、北関東のビジネスモデルをそのまま展開するのは難しいと考えています。
さらに、東京では中学受験が激戦になっており、小学生の学習ニーズが北関東とは大きく異なります。
これまで当社では、「中学進学後の定期テストで高得点を取ること」を目的とした小学生向け指導を行ってきました。
しかし、東京ではこれに加えて「受験対策」が不可欠になります。
とはいえ、現時点では中学受験を主軸とした指導ノウハウが十分にあるとは言えません。
そのため、東京エリアではまず「個別指導」からスタートし、地域のニーズをしっかり把握しながら、今後のビジネス展開の方向性を見極めていく方針です。

M&Aへの方針
M&Aについては、将来的な成長戦略の一つとして視野に入れています。
ただし、当社はまだ上場して間もない段階ですし、現在は中期経営計画に沿って、W早稲田ゼミの小・中学生向け部門を中心に、年間2〜3校のペースで出店を進めることで目標を達成できると考えています。
そのため、現時点で他社のM&Aや、新規事業として学童やスイミングスクールへの投資をすぐに進める予定はありません。
もちろん、そうした可能性を完全に否定するわけではありませんが、今は目の前の出店戦略を確実に進めることが最優先事項です。
まずは、W早稲田ゼミの基盤をしっかりと固め、地域でのプレゼンスを高めていきます。
その上で、中長期的な視点で新たな事業展開も模索していく考えです。
注目していただきたいポイント
まず、当社の財務体質にご注目いただきたいと思います。
当社の営業利益率は20%と、業界内でも非常に高い水準を維持しています。
これは、事業の効率性や収益性の高さを示すものであり、大きな強みの一つです。
また、配当の魅力もぜひ見ていただきたいポイントです。
前期の配当実績は、上期20円、下期35円の年間55円です。
この水準は配当利回り約5.5%に相当し、投資家の皆様にとって十分なリターンが期待できるものだと考えています。
さらに、完全無借金経営を貫いている点も当社の大きな特徴です。
「実質無借金」ではなく、本当に借入が一切ありません。
これは、財務の健全性を示すだけでなく、安定した成長を続ける上での強固な基盤となっています。
急成長を遂げるベンチャー企業のように、短期間で株価が2倍、3倍になるようなことはないかもしれません。
しかし、着実に成長を積み重ね、長期的な視点で安定した成長を続けていく企業です。
投資家の皆様にも、ぜひその点をご理解いただき、長期にわたってご注目いただければと思います。

投資家の皆様へメッセージ
「安定して成長し続ける」と断言するのは簡単ではありませんが、当社は目標に向かって着実に成長を続けており、今後もその方針を貫いていきます。
現在、埼玉を中心に、まだまだ出店の余地があります。
当社の理念やビジネスモデルは、これらの地域においても十分に通用すると確信しています。
だからこそ、無理な拡大をせず、確実に地域に根付かせながら成長を遂げていくことを最優先に考えています。
また、一人でも多くの方に「W早稲田ゼミがどのような塾を運営しているのか」を知っていただき、「こんなに良い塾を展開している会社なのか」と感じていただけるような企業を目指していきます。
そして、そうした認知が広がることで、「長期的に応援したい」と思っていただける企業へと成長していきたいと考えています。
その期待に応えるためにも、株主還元はしっかりと実施していく考えです。
企業の成長とともに、投資家の皆様にも長期的なメリットを提供できるよう、引き続き努力してまいります。
今後とも、W早稲田ゼミへのご支援をよろしくお願いいたします。
株式会社早稲田学習研究会
本社所在地:〒104-0031 東京都中央区京橋1丁目6番11号
設立:1993年1月22日(創業:1987年4月)
資本金:183,860,000円(2025年2月アクセス時点)
上場市場:東証スタンダード市場(2023年12月22日上場)
証券コード:5869