【302A】株式会社ビースタイルホールディングス 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2025年2月28日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社ビースタイルホールディングスは「世界を変えるソーシャルカンパニー」として、時代に合わせた価値を創造し続けています。

代表取締役社長の三原 邦彦氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社ビースタイルホールディングスを一言で言うと

「世界を変えるソーシャルカンパニー」です。 

ビースタイルホールディングスの沿革

株式会社ビースタイルホールディングス代表取締役社長 三原 邦彦氏

創業の経緯

もともと私は、インテリジェンス(現 パーソルキャリア)という会社にサラリーマンとして入社し、執行役員や子会社の社長を務めるなど、さまざまな経験を積んできました。

そんな私が起業を決意したのは、2002年のことです。

当時は、いわゆる「寿退社」がまだ一般的な時代でした。

結婚や出産を迎えた女性がその後もキャリアを継続することは、想像以上に難しい環境だったのです。

女性が一度職を離れると、働き方の選択肢が限られ、自宅近くのパート勤務を選ぶことが多くなっていました。

ライフスタイルが変化しても、それに合ったワークスタイルがなかったことが最大の問題だと考えました。

そこで私は、短時間や短日数でも自分のスキルを活かして働ける機会を企業と一緒に創出していこうと決意し、この会社を立ち上げました。

当時、若年労働人口の減少がすでに予測されており、今後の労働力はしゅふ、シニア、外国人、ロボットといった領域に頼らざるを得ないだろうと感じていました。

また、「働きたいのに働けない」というしゅふの方々の課題解決が社会全体の課題解決にもつながるという思いもありました。

そのため、「働きたいのに働けない」というしゅふ層の課題を解決しながら、社会の労働力不足にも貢献できると考え、起業を決意しました。

「しゅふJOB」の立ち上げ

起業後は、パートタイム型の派遣事業を中心に順調に成長していましたが、2008年のリーマンショックで一時的に業績が大きく落ち込んでしまいます。

しかしありがたいことに、比較的早い段階でV字回復を実現することができました。

そして2010年には、自社求人メディアである「しゅふJOB」を立ち上げました。

他社の求人媒体に依存するのではなく、自社でしゅふ層の採用ができる仕組みを構築し、それ自体をビジネスとして成立させたいという思いがありました。

その結果、「しゅふJOB」は非常に順調に成長し、2013年には、派遣事業の稼働者数、人材紹介事業の採用者数、求人サイトを通じての採用者数が合わせて5万人を突破しました。

事業領域の拡大と上場

その後は2016年頃から本格的に上場に向けた準備を進めました。

既存事業の拡大はもちろんのこと、新規事業へのチャレンジも積極的に行いました。

そして、2018年には高いスキルを持ったしゅふ層を対象にした企画職や専門職の人材紹介(サービススマートキャリアAGENT)をスタートさせ、さらに2019年からは企業のDX推進、特に業務の自動化支援を中心としたDX事業も始めました。

こうした取り組みが奏功し、2019年・2020年は順調に成長を続け、売上高が約107億円まで伸びました。

しかし、2020年から蔓延した新型コロナウイルスの影響は想像以上で、メディア事業の売上が半減し、派遣事業に至ってはピーク時の3分の1まで落ち込むという大きなダメージを受けました。

ここで経営判断を迫られ、当時四つあった事業のうち一つを売却し、「しゅふJOB」に経営資源を集中投下することで再成長を目指しました。

幾度となく苦しい状況がありましたが、この集中戦略が実を結び、「しゅふJOB」は年間140%という高成長を2〜3年継続できました。

そして2024年12月、売上高108億円という形で東証グロース市場への上場を果たしました。

現在は、時価総額100億円を目指し、さらなる成長に向けて全社一丸となって取り組んでいるところです。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

ビースタイルホールディングスの事業概要と特徴

概要

ビースタイルホールディングスは派遣・紹介事業、メディア事業、DX事業を中心に、しゅふ層をターゲットにしたサービスを展開しています。

私たちが目指しているのは、働きたくても機会に恵まれない方々に、最適な働き方を提供することです。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

まず、「ビースタイルスマートキャリア」が手がける派遣・紹介事業では、しゅふの方々が持つ多様なスキルや経験を活かせる場を提供しています。

特に「しゅふ × パート(時短)」というコンセプトのもと、幅広い職種に対応した人材派遣や紹介を行っています。

2024年3月期時点の数字では、売上高は約72億円、利益は約5億円を達成しており、多くの企業としゅふ層の方々をつなぐ架け橋となっています。

また、「ビースタイルメディア」が運営する「しゅふJOB」は、しゅふの採用に特化した求人メディアサイトです。

売上高こそ約26億円と比較的小規模ですが、利益率は高く、約8億円の利益を生み出しています。

さらに、当社のDX事業を担う「ビースタイルバリューテクノロジーズ」では、業務自動化のコンサルティングから開発までを一貫して支援しています。

約80名の正社員エンジニアが在籍し、企業のDX推進をサポートしています。

私たちは「代替労働力=しゅふ・シニア・外国人・ロボット」という考え方のもと、労働力の有効活用とIT自動化の両面からソリューションを提供しています。

企業にとって、人材を確保するのか、業務を自動化するのかは大きな経営判断の一つです。私たちは、クライアント企業の状況に応じて、「労働力を供給する」または「人が働かなくても良い仕組みを作る」という二つの選択肢を提供し、人手不足という社会課題の解決に取り組んでいます。

このように、ビースタイルグループは、時代の変化に適応しながら、しゅふ層の活躍の場を広げるとともに、企業の成長を支援する事業を展開しています。

今後も、社会課題を解決するサービスを提供し続けることで、新しい働き方のスタンダードを創り出していきたいと考えています。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

事業における優位性

「四方よし」による経営

私たちには、「四方よし」という経営の価値観があります。

これは、次の四つの要素を大切にする考え方です。

・お客様に満足してもらう(買ってよし)

・会社が利益を生み出す(売ってよし)

・社会に貢献する(世間よし)

・社員が成功できる環境を提供する(仲間よし)

この価値観は、10年以上にわたって私たちの経営理念として根付いてきました。

私は、企業というものは「人を幸せにするための発明」だと考えています。

会社を通じてかかわるすべての人が幸せになれることこそが、私たちのビジョンであり、私自身の信念でもあります。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

しゅふ特化型メディア「しゅふJOB」

世の中には数多くの求人メディアがありますが、その中でも「しゅふ層」に特化したサービスはほとんど存在しません。

そのポジショニングこそが、「しゅふJOB」の最大の強みです。

この選択は偶然ではなく、戦略的に導き出しています。

リクルーティングサービスは、「派遣」「人材紹介」「求人媒体」の三つのカテゴリーに分かれています。

そして、それぞれをさらに五つの軸で分類することができます。

一つ目の「タイミング軸」では、新卒採用や中途採用に分類されます。二つ目は「雇用形態軸」であり、正社員、派遣、パート・アルバイトといった雇用形態ごとに特化したサービスを展開しています。

三つ目の「業界軸」では医療・介護など、業界に特化したサービスや、四つ目の「職種軸」では経理やクリエイティブ職に特化したサービスが存在します。

そして、私たちが重視しているのは五つ目の「ライフスタイル軸」です。

たとえば、短時間・単発の仕事を提供する「タイミー」さんも、ライフスタイル軸に基づく求人サービスの一例だと思います。

その中で、当社は「しゅふ」に特化することで、他にはない明確なポジショニングを確立しました。

一般的に、派遣や人材紹介の分野では短時間・短日数の働き方は売上が減少するため大手企業は積極的に参入しないものと思われます。

しかし、私たちはそこにビジネスチャンスを見出し、しゅふ層向けの求人に特化することで、他社の追随を許さない強固なポジションを築いています。

この独自の立ち位置があるからこそ、「しゅふJOB」は多くのしゅふの方々に支持され、企業の採用ニーズに応えるメディアへと成長してきました。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

主婦層に響く戦略的アプローチ

求人媒体の多くは、テレビCMや交通広告を活用しながら知名度を高めています。

しかし、私たちは単に広告を打つのではなく、「認知効率の最大化」を追求し、しゅふ層に特化した戦略を展開してきました。

このアプローチが奏功し、非常に高い広告効果を生み出しています。

現在、求職者の約半数が「しゅふJOB」を認知しており、35歳以上の女性の認知度ランキングでは6位にランクインしています。

また、2024年上半期のCM指名検索スコアランキングでは、12,000ブランド中61位にランクインしました。

特筆すべきは、2024年時点でHR(人材関連)ブランドの中で100位以内に入っている企業がなく、当社がHRの中では最もテレビ認知度を向上させたサービスになったことです。

この成果を生み出した要因として、CMの影響は非常に大きいと考えています。

15秒のCMの中で「しゅふJOB」という名前を5回繰り返し、視聴者の記憶に残るように工夫しました。

さらに、CMに登場する「ブーコ部長」という豚のキャラクターが子どもたちの間でも人気を集め、結果として家族内で話題にのぼることも狙っていました。

こうした“派生的な認知の向上”も、ブランドの浸透につながっています。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

加えて、10年以上前から運営している「しゅふJOB総研」も、認知度向上の大きな役割を果たしています。

就労志向のしゅふ層を中心に仕事や家庭に関するアンケートデータを収集・分析し、そこから得た知見を活用してPR活動を展開してきました。

その結果、直近2年間で年間150件以上のメディア掲載を達成しています。

新聞・テレビ・雑誌といった各種メディアでの露出が増えることで、取材依頼も相次ぐようになりました。

特に、「女性の働き方」に関する特集では、当社への問い合わせが非常に多く寄せられています。

この分野におけるリーディングカンパニーとして、多くの方に認知していただけるようになったことを、大変誇りに思っています。

働く女性のリアルに寄り添う地域密着型の女性採用

しゅふの方々が仕事選びで最も重視しているポイントは「勤務地」であり、家庭との両立を考えると、自宅から通いやすい地域で働くことを選ぶ人が多い傾向にあります。

特に、医療・介護・福祉業界では、女性の約4人に1人が従事しており、産業別の女性就業者数を見ても、医療・福祉分野が22.5%を占めています。

さらに、卸売業(例:イオンさん)や製造業まで含めると、女性の就業者全体の50%以上が地域密着型の産業で働いているのです。

このような市場の特性を理解しているからこそ、私たちは地域に根ざした女性採用の支援を強化しています。

今後、採用ニーズが拡大する分野としては、医療・福祉業界や家事代行サービス、インバウンド需要の高まりに伴う飲食・調理業界などが挙げられます。

また、最近では塾講師の人手不足が顕著になっています。

これまで、塾講師の多くは大学生が担っていましたが、インターンシップの人気が高まる中で、学生の確保が難しくなってきました。

その結果、しゅふ層が塾の先生として活躍するケースが増えてきています。

こうした背景を踏まえると、地域に根ざした女性採用の支援は、今後ますます重要な役割を果たすと考えています。

私たちの強みは、単なる求人掲載にとどまらず、しゅふ層の特性を熟知した上で、企業が本当に求める人材とマッチングできるようサポートしている点にあります。

この強みを生かしながら、地域の雇用を支えるプラットフォームとして、さらに成長を続けていきたいと思います。

リアルな視点を活かした設計と納得感のある営業

「しゅふJOB」のサイトを一度ご覧いただければ、すぐに分かると思いますが、しゅふの方が使いやすい設計に徹底的にこだわっています。

仕事を探す際に、「どのエリアで」「どの条件で」といった細かいニーズがあるため、検索機能を細分化し、ユーザーが最短で求める求人情報にたどり着けるよう工夫しています。

また、当社ではしゅふ層の社員比率が高く、実際にサービスを利用する側の視点を持つスタッフが多数在籍しています。

これは、求職者の気持ちを理解しながらサービスを作り上げる上で、大きな強みになっています。

特に、企業向けの提案においても、私たちは現場のリアルな声を活かしています。

「しゅふJOB」を販売する代理店や営業チームも女性比率が高いため、クライアントとの会話の中で、「どのような採用条件であれば、応募が集まりやすいのか?」といった具体的なアドバイスを女性やしゅふとしてのリアルな視点で提供することが可能です。

こうした実体験に基づいた提案は、クライアントにとって非常に説得力があり、強みとして評価していただいています。

求職者の視点、企業の視点、そして市場全体の動向をしっかりと捉えながら、より多くのしゅふの方に「働く機会」を届けられるよう、引き続きサービスの向上に取り組んでまいります。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

ビースタイルホールディングスの成長戦略

市場環境

ここ数年で、「労働参加余力」─つまり、就業可能な労働力の余地が大きく変化してきました。

特に、女性の労働市場への参加が急速に進んでおり、その影響は今後ますます拡大していくと考えられます。

たとえば、創業した2002年頃と比較して2024年には、女性の労働者総数が約400万人も増加しています。

かつては「M字型」と言われていた女性の労働参加率のグラフも、現在ではより「台形」に近い形へと変化しています。

これは、出産や育児で一時的に労働市場を離れる女性が減り、継続して働く人が増えている傾向を示しています。

さらに、2040年にかけて、追加で約120万人の女性が新たに労働市場に参加すると見込まれています。

一方で、男性の労働参加余力は横ばい傾向が続いています。

そのため、人手不足が深刻化する企業にとって、しゅふやシニア層の活用はもはや選択肢ではなく、不可欠な労働力になっています。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

以下のグラフが示すように、労働力として最も多いのは60代前半の世代です。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

そして、2040年に向けて、このボリュームゾーンがさらに拡大することが予測されています。

特に60歳以上の人口では、女性の長寿による影響ではありますが、女性が男性より459万人も多い状況にあります。

このような人口動態を踏まえると、企業は必然的にしゅふ層の活用を強化していくはずです。

こうした社会的な変化に対応するため、私たちは「しゅふ領域」に特化した事業を展開してきました。

この取り組みは、今後さらに評価され、企業にとっても欠かせない戦略の一つになると考えています。

中長期の成長を見据えた戦略

二つの視点で取り組む成長戦略

私たちビースタイルホールディングスでは、現在「労働力の供給」と「労働需要の低減」という二つの大きな課題に取り組んでいます。

人手不足が深刻化する中で、いかに適切な労働力を供給し、同時に業務の効率化を進めるかが、今後の事業成長において極めて重要なポイントになります。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

「労働力の供給」

まず、「労働力の供給」の観点では、しゅふのさらなる活躍を支援するために「しゅふJOB」の強化を進めています。

派遣・紹介事業も含め、「しゅふJOB」を通じた採用可能な求人層をしっかりと拡充し、より多くの女性が活躍できる環境を整えていきます。

また、「しゅふJOB」の利用が広がるほど、サービスの価値も向上します。

そのため、現在は首都圏(1都3県)と関西圏で展開しているテレビCMも、最終的には全国で放映できるように進めていきたいと考えています。

さらに、産業別の女性就業者数に応じた顧客構成を実現することも、私たちの目指す方向性の一つです。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

特に、人手不足が深刻な医療・介護・福祉分野においても、しっかりと人材を確保できるような媒体へと成長させることで、より競争力のあるサービスを提供していきます。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

一方で、派遣・紹介領域においては、新たなブランド戦略も検討しています。

「しゅふJOB」という名称は、50代以上の層には強く響く一方で、30代・40代の層には「しゅふ」という言葉が時代遅れに感じられる可能性があります。

そのため、現在展開している「スマートキャリア」ブランドを、30代・40代の価値観に合うよう再定義し、ブランド力を強化していきたいと考えています。

この世代は、「働きやすさ」だけでなく、「働きがい」も重視する傾向があります。

そのため、単に柔軟な働き方を提供するだけでなく、キャリア形成やスキルアップの機会を提供できるような求人を揃えていくことが重要です。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

「労働需要の低減」

次に、「労働需要の低減」についても、さまざまなソリューションを通じて企業の業務効率化を支援しています。

具体的には、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やiPaaS(クラウド上でアプリケーションやサービスを統合するプラットフォームサービス)の導入を進めることで、省人化を図り、企業が限られた人材で最大の成果を出せるようサポートしていきます。

また、生成AIの活用も重要な取り組みの一つです。

技術の進化に合わせ、企業の生産性向上に直結するソリューションを提供し、上流から下流まで一気通貫で支援できる体制を構築していきます。

特に、エンドユーザーを中心とした顧客獲得を推進し、より上流工程からの支援に着手することで、事業のさらなる拡大を目指します。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

「代替労働力」の活用と新規事業の立ち上げ

さらに、私たちは「代替労働力」の活用にも力を入れています。

しゅふ・シニア・ロボットの導入に加え、新規事業の開発にも積極的に取り組んでいます。

新規事業の統括組織として「ビースタイルビジネス開発研究室」を設立し、複数の新しいビジネスを生み出してきました。

その一例が、副業人材を活用する「パーソナル・アシスタントサービス(パケットタレント)」です。

このサービスでは、多様な働き方を求める人材をマッチングし、企業が必要なスキルを持つ人材を柔軟に活用できる仕組みを提供しています。

また、外国人労働力の活用や社会福祉分野への進出、生成AIの導入といった、新たな事業の柱を強化しています。

これらの取り組みは、既存事業と組み合わせながら試験運用(PoC:Proof of Concept)を進めている状況です。

今後、当社が持続可能な成長を実現するための戦略的なステップとなっています。

株式会社ビースタイルホールディングス 2024年12月27日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

M&Aの方針

旧来型事業に焦点を当て、確実な成長を目指す

ビースタイルホールディングスでは、M&Aの方針として旧来型の事業を中心に検討しています。

具体的には、派遣業・人材紹介・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)といった、比較的歴史のあるサービスを提供している企業にフォーカスしています。

この方針を採る理由として、新しい事業は市場での評価が高く、買収コストが割高になりがちである点が挙げられます。

成長性が見込まれる分野は当然ながら競争も激しく、M&Aを実行する際の投資対効果が見えにくくなります。

そのため、M&Aでは確実に売上と利益を獲得できる企業を対象とし、より堅実な成長を実現する戦略を採っています。

M&Aの基準と入札への方針

買収対象の企業に関して、厳格な規模の条件は設けていませんが、理想としては買収後に売上規模を3〜5倍に成長させられる企業が望ましいと考えています。

これは、単なる買収によるシナジー効果だけではなく、ビースタイルホールディングスの持つノウハウやリソースを活用することで、対象企業の成長を加速させることが前提となっています。

しかし、現在のM&A市場では価格の高騰が顕著です。

そのため、場合によっては想定よりも高い倍率での買収を検討せざるを得ないケースも出てきています。

このような環境下では、単に買収することを目的とするのではなく、「買収した企業を成長させられるかどうか」を最優先の判断基準としています。

この方針に基づき、私たちは戦略的に対象企業の調査・検討を行い、経営陣がしっかりとコミットできると判断した場合に限り、適正な価格で入札を行う考えです。

最適な成長戦略を見極める

M&Aを成功させるためには、買収後のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)が非常に重要になります。

しかし、M&Aを実施したからといって、一律の方法で統合を進めるわけではありません。

企業ごとに状況や強み、文化が異なるため、客観的に分析を行い、どのような形が最も成長につながるのかを見極めることが必要です。

統合プロセスでは、買収先企業の強みを活かしながら、どの領域でビースタイルホールディングスのノウハウを活用できるかを慎重に検討し、最適な成長戦略を策定していきます。

注目していただきたいポイント

私たちビースタイルホールディングスは、グロース市場に上場したばかりの企業です。

これまでの道のりの中で、コロナ禍の影響を大きく受けましたが、その中でも「しゅふJOB」が成長事業として高く評価されていることを強く認識しています。

現在、当社の時価総額はまだ小さい状態ですが、ここから本格的に成長エンジンをかけ、事業を大きく伸ばしていくフェーズに入ります。

特にこだわっているのは、売上総利益の拡大です。

売上規模をただ追い求めるのではなく、利益率を意識した成長を実現することで、企業価値をしっかりと高めていきます。

また、成長率と売上総利益の規模を軸に、株価の向上を目指すことが重要だと考えています。

当社の売上や利益は、転職者の雇用創出と比例しており、より多くの雇用を生み出すこと自体が、社会貢献性の高い取り組みであると自負しています。

したがって、単なる数字の成長だけではなく、「社会的な意義のある成長」を遂げることが、私たちの目指す方向性です。

そういった視点で、当社の成長を見守っていただければ非常に嬉しく思います。

また、将来的には、プライム市場への上場を目指し、十分な規模に達した時点で本格的に配当の実施を検討していきます。

現時点では、まだ成長フェーズにあるため、小さい額の配当よりも、成長への投資を優先する方針です。

そのため、当社の株式をお持ちいただく方には、「成長企業としての期待」を持っていただきながら、中長期的な視点で見守っていただければと考えています。

私たちは、単なる短期的な利益追求ではなく、持続的に成長し、社会に価値を提供し続ける企業でありたいと思っています。

ぜひ、成長率や売上総利益の拡大に注目していただけると幸いです。

投資家の皆様へメッセージ

現在、当社の株価は決して良い状況とは言えません。

しかし、上場企業として経営をする以上、時価総額の向上を目指すことは当然の使命であると考えています。

実際、上場企業のうち時価総額100億円を超える企業はわずか20%に過ぎず、残りの80%の企業はこの壁を超えることができていないのが現状です。

私は、この20%に入ることを強く意識し、それを確実に達成できる経営をしていきます。

また、株式市場のレギュレーション(規制)に則った経営を徹底することも、上場企業としての責務です。

ただ上場しているだけでは意味がなく、株価が上昇する経営を実現しなければなりません。

そのために重要なのは、成長力と利益の両立です。

単に売上を拡大するだけではなく、しっかりとした利益を生み出し、持続可能な成長を実現することが、企業価値向上の鍵になると考えています。

私は、経営者として右肩上がりの成長を続けることを使命とし、強い覚悟を持って経営に取り組んでいます。

その姿勢を知っていただき、応援していただければ幸いです。

今後も、皆様の期待に応えられる企業であり続けるために、より一層の成長に向けた取り組みを進めてまいります。

引き続き、温かいご支援をよろしくお願いいたします。

株式会社ビースタイルホールディングス

本社所在地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-18-1

設立:2020年2月14日(創業:2002年7月5日)

資本金:309,519,500円(2025年3月アクセス時点)

上場市場:東証グロース市場(2024年12月27日上場)

証券コード:302A

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「資産運用ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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