【6578】株式会社コレックホールディングス 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年11月21日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社コレックホールディングスは「情報コミュニケーションに感性と体温を。」をパーパスに掲げ、メディアプラットフォーム事業、アウトソーシング事業、エネルギー事業の3つのサービスを展開しています。

代表取締役社長の栗林 憲介氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社コレックホールディングスを一言で言うと

「体温ある企業」です。 

Webとリアルを掛け合わせたビジネスモデルにより、人だからこそ届けられる温かみあるサービスを展開しています。

コレックホールディングスの沿革

株式会社コレックホールディングス代表取締役社長 栗林 憲介氏

創業の経緯

当社は2010年、日本放送協会(以下、「NHK」)の契約収納代行業務(以下、「NHK業務」)を主な事業として設立しました。

私自身、サイバーエージェントの藤田晋さんをリスペクトしており、彼の著書『渋谷で働く社長の告白』に深く感銘を受けました。

特に、営業代行で得たキャッシュをIT事業に投資し、成長させていく藤田さんの戦略に大きな影響を受け、業容の拡大に伴い、新規事業として現在も続くメディアプラットフォーム事業を立ち上げ、着実に事業を成長させてきました。

その結果、2018年にはJASDAQに上場を果たし、2019年に東証二部へ移行、市場区分の変更に伴い、2022年からは東証スタンダード市場へ上場しています。

NHK事業からの撤退

当社のメイン事業は、NHK業務でした。

しかし、コロナ禍によりNHKの営業体制が大きく変化し、私たちの主軸であった訪問営業が廃止されることとなり、それに伴いNHK事業からの撤退を余儀なくされました。

この困難を乗り越えるため、既存のメディアプラットフォーム事業の拡大、NHK事業で培った営業人材を活用したアウトソーシング事業、また、これまでのノウハウや経験から、2021年エネルギー事業をスタートさせ、第二創業期として新たなスタートを切りました。

これにより、事業構造を大きく転換することとなりましたが、各事業の推進により、NHK事業を行っていた第一創業期よりも大きく成長しています。再び黒字化を達成することができました。

ホールディングス化

当社は2024年3月に社名をエヌリンクスからコレックに変更し、同年9月には持株会社化を行い、株式会社コレックホールディングスとなりました。

このホールディングス化の目的は、様々ありますが、一番の目的は当社が目指す「メガベンチャー」への成長に必要な経営者人材の育成です。

現在、当社の売上高は約39億円(2024年2月期)ですが、1,000億円規模への拡大を目指す上では、様々な事業、それに伴う多くの経営人材が必要になります。

この目標を実現するために、経営人材の育成を支える柔軟な組織体制を構築する必要があり、ホールディングス化を決断しました。

ホールディングス化からまだ間もないものの、現在のところ非常に順調に運営が進んでおり、今後のさらなる成長に向けた基盤が整いつつあります。

株式会社コレックホールディングス 2024年4月12日 中期経営計画「CORREC Innovation 2029」 より引用

コレックホールディングスの事業概要と特徴

概要

当社の事業は大きく3つのセグメントに分かれています。

1つ目はメディアプラットフォーム事業です。

この事業は創業から1〜2年で立ち上げたもので、10年以上続いている柱の一つです。

これまでの事業ノウハウや実体験を活かし、人だからこそつくることができる「温かみ」あるウェブメディアを複数展開しています。

2つ目はアウトソーシング事業で、セールス・マーケティングにおける企業のサプライチェーンの一部を業務受託する形で支援する事業です。

そして3つ目がエネルギー事業で、主に太陽光パネルの販売と設置を行っています。

2024年5月に、同じく太陽光事業を営む、株式会社Aoieが当社グループに参画したことで、これまでの販売のみならず、設置工事まで一貫して対応することが可能となりました。

株式会社コレックホールディングス 2025年2月期 第2四半期決算説明資料 より引用

事業における優位性

ハイブリッド型マーケティング

当社の強みは、ウェブを活用したマーケティング支援と、人を介したリアルな営業の両方を組み合わせたハイブリッド型マーケティング支援にあります。

この手法により、オンラインとオフラインを融合させた最適なソリューションを提供し、多様なお客様のニーズに応えています。

また、当社はtoCビジネスを展開しており、お客様との接点を大切にしながら、サービスを共に創り上げる姿勢を大切にしています。

アウトソーシング事業やエネルギー事業においても、Face to Faceでのコミュニケーションを通じて、言語化されていない潜在的なニーズを引き出し、そのニーズに応える形で、より良い生活を支援するサービスを提供しています。

株式会社コレックホールディングス 2024年4月12日 中期経営計画「CORREC Innovation 2029」 より引用

高い集客力

創業以来取り組んできたメディアプラットフォーム事業では、ユーザーに見てもらう「メディア」の質が最も重要です。

当社のメディアは、単なる情報の羅列ではなく、ユーザーに納得や共感を得てもらえるような、人間だからこそ作れる高品質なコンテンツにこだわり、運営しています。

特に、当社はライティング業務をすべて内製化しており、Googleアルゴリズムのアップデートにも迅速に対応できる体制を整えています。

この強みを活かし、常に高クオリティのコンテンツを提供することで、当社のSEOは業界内でも非常に高い水準を誇ります。

たとえば、ゲーム攻略メディアサイトでは、手間がかかるとされる分野ながら、SEOの強みを活かして後発ながら最盛期には、最大1.8億PVを実現しました。

こうした成果を基盤に、当社はSEOを軸にメディア事業をコンテンツマーケティング支援サービスなどの分野へと横展開し、さらなる成長を目指しています。

さらに、これらの取り組みを通じて、単なるコンテンツ提供に留まらず、顧客のビジネスを支援するプラットフォームとしての価値を高め、メディアを通じて新たな市場機会を創出することを目指しています。

生命力の高さ

当社は、非常に高い「生命力」を持つ企業だと自負しています。

その証拠に、2023年に売上の8割を占めていた事業を失うという困難を乗り越え、現在では、黒字化だけでなく、過去最高の売上高を想定しています。

この成果は、NHK事業で培ったノウハウを活かし、アウトソーシング事業やエネルギー事業を大きく成長させた結果です。

また、当社には真面目で素直な社員が多く、教育体制やマネジメント体制をしっかりと整えているため、事業環境が変化しても柔軟に対応できる人材が育っています。

こうした優秀な人材が揃っているからこそ、当社は「絶対に倒れない企業」であることを証明することができました。

これからも困難を力に変え、さらなる成長を目指して挑戦を続けてまいります。

株式会社コレックホールディングス 2025年2月期 第2四半期決算説明資料 より引用

コレックホールディングスの成長戦略

オーガニック成長と非連続成長

当社は中期経営計画に基づき、既存事業であるメディアプラットフォーム、アウトソーシング、エネルギー事業をオーガニックに成長させると同時に、M&Aを活用した非連続的な成長も視野に入れた事業計画を推進しています。

株式会社コレックホールディングス 2024年4月12日 中期経営計画「CORREC Innovation 2029」 より引用

まず、メディアプラットフォーム事業では、現在の高収益体制を維持しつつ、キャッシュフローを最大化することを目指します。このキャッシュを成長投資に活用し、新たなビジネス機会を創出します。

次に、アウトソーシング事業においては、現在の成果報酬型ビジネスモデルに加え、ストック型商材への移行を進めることで、安定的な収益基盤の構築を目指します。

自社ブランドの新電力サービス「コレクトエナジー」や生活支援サービス「福利セレクト」といった自社商材を展開し、今後も拡大を図っていきます。

そして、エネルギー事業では、個人宅向けに太陽光パネルや蓄電池の販売を通じ、再生可能エネルギーの普及を推進していきます。

さらに、2024年5月に買収したAoie社とのシナジーを活かし、売上・利益のさらなる拡大を実現できると期待しています。

これらの施策を通じて、既存事業の成長と新規事業の創出を両輪に、持続可能な成長を目指してまいります。

株式会社コレックホールディングス 2024年4月12日 中期経営計画「CORREC Innovation 2029」 より引用

AI実用化に向けた取り組み

当社では、新たにAI事業を立ち上げるのではなく、既存事業をブラッシュアップする手段としてAIを活用しています。

たとえば、ウェブメディアのライティングでは、SEO効果を高める記事を効率的に作成するため、適切なプロンプトの設定とPDCAサイクルを繰り返し実践しています。

社内でAIの適用範囲を徹底的に検証し、その結果得られたノウハウを将来的には外部展開することで、AIを活用した付加価値の高いサービスを提供していくことを目指しています。

今後はさらにAI活用の範囲を拡大し、業務効率化にとどまらず、より高度な業務領域へのAI導入を推進することで、既存事業の競争力を強化し、新たな成長機会を創出してまいります。

株式会社コレックホールディングス 2024年4月12日 中期経営計画「CORREC Innovation 2029」 より引用

投資戦略(M&Aの方針)

当社は現在、約40のメディアを運営しており、ジャンルごとに得意分野と課題があります。

中でも、ゲーム攻略メディア、人材系メディア、光回線関連メディアが主要な収益源として機能しています。

複数ジャンルのメディアを展開することで、一部のメディアが業績低迷しても他のメディアで補完でき、Googleアルゴリズムの変化にも柔軟に対応できる体制を構築しています。

また、SEOを強みとする当社は、収益性の低いメディアを安価に買収し、SEOによるテコ入れで高収益メディアへと生まれ変わらせるスキームを活用しています。

株式会社コレックホールディングス 2024年4月12日 中期経営計画「CORREC Innovation 2029」 より引用

さらに、Aoie社をはじめとするロールアップ型のM&Aに加え、当社グループのシナジーを活かし、市場規模拡大を見込める領域にも積極的に挑戦しています。

たとえば、2023年12月に買収したCoCoXia(ココシア)株式会社は、介護領域で福祉用具のレンタルサービスを提供しています。

一見当社とは関係がなさそうな領域ですが、市場の成長性や、toCサービスに強みを持つ当社グループだからこそ、ノウハウや経験を共有することで、さらなる成長を見込むことができると考えています。

今後も市場規模及び当社グループの強みを活かせる領域に対し、新たな事業創出を目指していきます。

株式会社コレックホールディングス 2024年4月12日 中期経営計画「CORREC Innovation 2029」 より引用

注目していただきたいポイント

2024年9月に持株会社体制へ移行したことで、当社は「上場企業」としての信頼性や安心感に加え、「ベンチャー企業」としての行動力とスピード感を一層強化しました。

また、祖業であるNHK業務から完全撤退し、売上の8割を失うという困難に直面しましたが、上場企業としての競争優位性とベンチャー企業の柔軟性を活かし、新たなビジネスポートフォリオを構築することに成功しました。

これらの強みを基盤に、さらなる成長と持続的な発展を目指してまいります。

今後の当社の挑戦に、ぜひご期待ください。

株式会社コレックホールディングス 2024年4月12日 中期経営計画「CORREC Innovation 2029」 より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社は、新たなビジネスモデルへの転換後も順調に成長を続けています。

現在、メディアプラットフォーム事業、アウトソーシング事業、エネルギー事業の3つを柱に、これまで以上の成長を見込んでいます。

「生命力」と「柔軟な経営力」を武器に、さらなる企業価値の向上を目指し、挑戦を続けてまいります。

今後とも、投資家の皆様の温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

株式会社コレックホールディングス

本社所在地:〒171-0022 東京都豊島区南池袋2-32-4 南池袋公園ビル

設立:2010年3月11日

資本金:52,230,594円(2024年9月1日時点)

上場市場:東証スタンダード市場(2018年4月27日上場)

証券コード:6578

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「資産運用ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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