【3323】レカム株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2023年4月5日に実施したIRインタビューをもとにしております。

レカム株式会社は確かな営業ノウハウを基盤に、成長するアジアマーケットでサステナブル・ソリューション、DXソリューションを展開している会社です。

代表取締役社長 兼 グループCEOの伊藤 秀博氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

レカム株式会社を一言で言うと

グローバル専門商社を目指し、永遠に挑戦し続けるベンチャー企業です。 

レカムの沿革

レカム株式会社代表取締役社長 兼 グループCEO 伊藤 秀博氏

創業経緯

1994年にレカムを設立しました。

もともと情報通信機器の販売会社で働いていた私は、法人営業の標準化がされていないことに疑問を感じ、それを実現したいと考えたのがきっかけです。

そしてフランチャイズモデルで全国展開を行い、法人向けビジネスを標準化して展開し、将来的に独立・起業を望む多くの営業マンにチャンスを与えることが目標でした。

海外への事業拡大

当初は国内でダイレクトマーケティングを行っていましたが、2003年に大きな転機が訪れました。

当時、我々は日本国内のフランチャイズ店を支援するためにコールセンターを中国の大連で開始し、それが初の海外進出でした。

その後、グループの営業支援だけでなく、データ入力などのバックオフィス業務も担い、徐々にBPO業務へと事業を拡大しました。

新事業の展開

さらなるターニングポイントは、2015年に訪れました。

この年、我々は海外での経験を活かして、特に日系企業を対象にLEDやエアコンの販売を通じて、電気料金の削減やCO2排出の削減を図るカーボンニュートラル事業を開始しました。

この新事業は中国から始まり、2017年にはベトナムを含むASEAN各国へと拡大し、現在は8カ国で事業を展開しています。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

レカムの事業概要と特徴

概要

当社は主に国内ソリューション事業、海外ソリューション事業、BPR事業の3事業を展開しています。

基本的なアプローチは、商品やサービスを提案するダイレクトマーケティングの法人営業です。

このスタイルでは迅速に顧客のニーズを捉えることができ、高い収益率を保つことが可能です。

また、国内で培った商品とノウハウを海外にも展開しています。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

事業における優位性

スピード経営

営業活動を含めチームでの連携を基本に、小規模組織でフラットな組織体制を築いているため意思決定のスピードを早め、迅速な商品開発を可能にしています。

また国ごとに市場状況が異なり、一定のフレキシビリティがありますが基本的な営業プロセスは同じであるため、各項目ごとに全てKPIを定めて管理しています。

具体的にはアプローチの数、商談の数、有効な商談から見込み客への転換率、そして最終的な契約獲得率です。

各営業社員には具体的な目標が設定され、全世界の営業データを共有し、自分の成績がどの位置にあるかを客観視できるようなシステムを提供しております。

そして一定の値引きや価格交渉については社員にある程度一任されているので、自立した営業活動を推し進め、スピード感のある営業活動を実現しています。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

事業展開力

当社は海外8カ国に拠点を持っていますが、マレーシアのクアラルンプールにグローバル本社機能を置いています。

マレーシアを主要拠点として選んだのは、3つの観点からです。

まず海外ビジネスをする上で、予期せぬ事態が発生することが多く、迅速に対応できる地域の選定が第1のポイントでした。

クアラルンプールは我々が進出している他のアジア拠点との間に直行便が多く存在し、アクセスが良好です。

2つ目のポイントは時差の問題があります。

本社と拠点間でのリアルタイムでのコミュニケーションを保つためには、時差が少ないことが重要で、日々の運営をスムーズにしています。

3つ目は言語の利便性です。

当社は中国を中心にBPR事業を展開しており、英語と中国語の両方が広く使用されている環境や人材が非常にマッチしています。

このような観点からマレーシアはシンガポールに比べて物価や人件費が格段に低く、アジア拠点として最適でした。

このマレーシアをハブとして海外人材を獲得し、グローバルサービスを効果的に展開できることが優位性の1つとなっています。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

トータルソリューション力

これまで商社を通さずに直接販売をすることで、高品質・高単価の提案を実現してきました。

それは当社の一人のセールスパーソンがワンストップで全ての商品とサービスを展開できるトータルソリューション力を持っているからこそ実現できています。

もちろん営業活動は営業社員の単独の行動ではなくチームでの連携が基本で、各国や各商品ごとに役割が分担されています。

特に海外市場では主に日本人営業員がフロントに立っているため、日系企業の海外現法で日本人同士で会話できるのが当社の強みです。

また海外拠点のBPRに関する間接部門では現地のローカル社員を積極的に採用していますが、営業部隊は日本で採用した後に十分な教育を受けた社員を海外に駐在させています。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

レカムの成長戦略

グローバル専門商社構想

現在、当社は「グローバル専門商社構想」を推進し、時代に合った最先端の商品やサービスを各国の市場に合わせて提供し、グローバルに成長していく戦略をとっています。

具体的には、4つのステージがあります。

まずステージ1では、LEDなどの導入ハードルが低く効果が明確な商品を戦略商品として、海外に拠点を持つ日系企業に販売しながら顧客を拡大させていきます。

そしてステージ2では、開拓した顧客に対してIT機器などの周辺機器を提供し、顧客を囲い込む戦略を展開します。

さらにステージ3では、日系企業に限らず各国のローカル企業向けに当社のワンストップ・ソリューションを展開することで、新たな市場を開拓していきます。

最後にステージ4では、開拓した各国市場で、その国のニーズに合った独自のビジネスを創出し、新規事業を展開することで、その国の経済発展に貢献します。

このように専門商社として当社のダイレクトマーケティングの強みを活かしながら、いち早く全世界の顧客にソリューション提案することでグローバル事業の拡大を目指しています。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

戦略的パートナーシップの拡⼤

主に2つのパートナーシップ戦略に基づいて拡大していく方針です。

まず1つ目にステージ3の戦略として、ローカル市場の開拓に重点を置いています。

我々は日本企業として現地企業の市場開拓は非常に難しいので、クロスボーダーのM&Aを活用して現地の優良な販売企業を買収し、既に確立された販売網とのシナジーを生かしています。

たとえば、マレーシアでは2021年にSin Lian Wah Lighting社、2023年にSin Lian Wah Electric社を買収し、グローバル本社とともに協業してビジネスを進めています。

2つ目は直接的なM&Aではなく業務提携を通じた戦略です。

海外展開している日系企業の顧客基盤を活用し、クロスセルを実施しています。

例として、中国ではリコーチャイナ社、マレーシアではKDDIマレーシア社、ベトナムではALSOK社といった大手企業との協業があります。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

カーボンニュートラルソリューションの更なる推進

当社のLED商品の競争力は消費電力の低さと高い品質です。

自社ブランドの商品を中国でOEM生産しており、世界最高水準の省エネ性能を実現しています。

また当社の商品には長期保証を提供しています。

5年間の長期保証を付帯させ、この間に商品に故障が発生した場合、保証期間内であれば無償で修理や交換を行います。

また、業務用エアコンとのセット販売をすることで、顧客の電気代削減とCO2削減に貢献しながら、市場でのカーボンニュートラルへのニーズの高まりを追い風に成長していきたいと考えています。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

DXソリューションの推進

近年特に注力しているのは、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)技術の導入です。

2023年4月から、中国のベンチャー企業の実在智能社が開発したRPAソフトウェアの日本語版を独占販売しています。

このソフトウェアは、様々な業務を自動化することが可能で、我々は大手企業から中小企業に至るまで幅広い顧客層に対して営業を展開しています。

また、 RPA技術の導入により、自動化可能な業務は効率化を図り、それ以外の人手が必要な業務については、当社のセンターでのアウトソーシングサービスを提案しています。

今後もこのような新しい技術を取り込みながらDXソリューションを提供し、顧客にとって最適なコスト構造への転換を支援していきます。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

当社の最大の特徴は、海外展開の成功にあると考えています。

同規模の競合企業と比較して、ここまで売上・利益の大部分が海外を占めているのは貴重だと思いますので、ぜひ注目していただきたいです。

もちろん日本は経済的に安定している市場環境ではありますが、GDP成長率を考慮しても成長の潜在力はアジアにあると考えています。

これまで構築してきた強固な事業基盤を活用して、これからもアジア市場での成長を加速させることができると考えているので期待していただければと思います。

レカム株式会社 2024年9月期第1四半期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社は今後も海外市場での成長を積極的に追求していきます。

特にアジア市場における成長速度は速く、その勢いは続いていくと見込んでいます。

我々は既に確立された戦略と強固な基盤の上にさらなる成功を築くべく努力を続けておりますので、投資家の皆様には当社の持続的な成長に期待してご支援いただければと思います。

カム株式会社

本社所在地:〒151-0053 京都渋谷区代々木三丁目25番3号 あいおいニッセイ同和損保新宿ビル12階

設立:1994年9月30日

資本金:2,447百万円(2023年12月末時点)

上場市場:東証スタンダード市場 (2004年5月26日上場)

証券コード:3323

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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