【5247】株式会社BTM 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年6月3日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社BTMはDXを推進し日本の全世代を活性化させます。

代表取締役社長兼CEOの田口 雅教氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社BTMを一言で言うと

地方人財を活用するDX推進企業です。 

BTMの沿革

株式会社BTM代表取締役社長兼CEO 田口 雅教氏

創業の経緯

当社の創業は2011年8月で、現会長の吉田が立ち上げました。

吉田とは前職の時から知り合いで、彼が会社を立ち上げるという話を聞き、アドバイザーとして相談を受けるようになりました。

ちょうど転職を考えていた時期で、吉田と色々と話をしているなかで、考え方や会社の方向性が私の成し遂げたい目標と同じだったため、創業から約3ヶ月後に正式にBTMにジョインし、本格的にIT事業を展開することとなりました。

地方人財を活用するDX推進企業へ

当初はSES(システムエンジニアリングサービス)事業を中心に展開していました。

創業時から着実に事業を拡大させていましたが、短期的な目線で、目先の事業を追いかけるだけの経営では持続的な成長は見込めないと考えていました。

そこで2020年に私が代表に就任したタイミングで、ミッションドリブンな経営を行うべく、新たにビジョンやミッションを策定しました。

そして「日本の全世代を活性化する」というミッションを打ち出し、地方に眠っている人財を活用しようと事業を拡大させてきました。

コロナ禍を経て、地方戦略を活かしながらDX推進企業としてのポジションを高め、2022年12月に東証グロース市場に上場することができました。

上場後は金融機関・地方自治体との連携をさらに強化して、全国各地の企業・自治体のDXを支援するビジネスを展開しています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

BTMの事業概要と特徴

概要

当社のビジネスはDX推進事業です。

DX推進事業はITエンジニアリングサービスとDXソリューションサービスの大きく2つに分かれています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

まずITエンジニアリングサービスでは、当社のマッチングプラットフォームを活用してクライアントのニーズに最適なエンジニアを提供しています。

主なクライアントはDXにおける「1→10」のフェーズの企業や自治体で、ITのシステムは導入しているものの、それを活用するための人材が不足しているケースがほとんどです。

次にDXソリューションサービスは、人材の提供だけではなく、システムやソフトウェアなどの具体的な成果物を納品するサービスです。

つまり「0→1」のフェーズで、DXを始めたいが具体的に何をすべきかわからないクライアントにコンサルティングから企画提案、システム提案までを一気通貫でサポートしています。

このようにDX推進に関わる「0→10」まで様々なフェーズのクライアントのニーズに対してサポートする事業が当社の主なビジネスです。

売上構成比率は、約8割〜9割がITエンジニアリングサービス、残りの約1割〜2割がDXソリューションとなっています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

事業における優位性

DX市場と地方エンジニアの現状

企業がDX投資を拡大するとともに、エンジニア不足は年々加速しています。

今後、2030年にかけてさらにエンジニアが不足し、エンジニアの需要は高まっていく見込みです。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

また、地方におけるエンジニア数は主要都市に比べて著しく不足しており、東京に一極集中している状況です。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

今後は地方におけるエンジニア、そしてDX推進を担えるエンジニアが必要です。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

当社はこの課題に対して、人材調達力と地方人財の活用した人材育成力を強みに事業を展開しています。

データベースの活用による人材調達力

BTMのデータベースには7,500件超(※2024年3月末時点)のビジネスパートナー・フリーランスとのネットワークが蓄積されています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

そして日本全国・全業種・全職種・様々な企業規模・開発規模のクライアント企業に対して、最適な人材を提供することでマッチングさせています。

当社が提供することができるエンジニアは、コンサルやPMO、クラウド、セキュリティ、デザイナーなど幅広く技術を持ち合わせていますので、様々なニーズに応えることができます。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

これまではDXニーズを抱える企業はエンジニアを個別で探し、様々な会社にそれぞれ発注して、寄せ集めるような形で人材を確保していました。

しかし、それでは手間がかかり、プロジェクトの進行が遅れてしまう原因となります。

そこで当社のデータベースを活用して適切なエンジニアを探してエンジニアを確保することで、スピードを緩めることなく円滑にプロジェクトを進めることができます。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

そのため既存クライアントの継続率は94.3%(※2023年3月期〜2024年3月期の平均継続率)と高い水準を維持し、平均継続期間は17.5ヶ月と1年以上のお取引をいただいているクライアントも多数いらっしゃいます。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

そして当社は同業他社がフリーランスのエンジニアの確保に注力する中、全国各地のIT企業とビジネスパートナーとして協業関係を結ぶことで豊富なエンジニア人材を確保し、独自のポジションを確立しています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

地方人財の活用と人材育成力

当社はDX推進人財を自律型フルスタックエンジニアと定義しています。

先ほども少しお話ししましたが、DXに困っている企業が求める人材像として、「DXを主導する変革リーダー・業務プロセス改革を牽引できる人材・DX技術を活用した事業を構築できる人材」を自律型と表現しました。

そして複数言語に長けており、フロント・バックエンドなどをこなせるといった、「幅広い技術力、高い専門性、豊富な知識」を持っていることをフルスタックと表現しています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

当社は未経験・微経験のエンジニアの段階から入社しても、自律型フルスタックエンジニアに育て、早期戦力化するための教育プログラムをフルリモートで提供しています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

そして、国内11拠点(※2024年3月期時点)にはラボ拠点を設け、地方に眠る優秀なエンジニアを採用しています。

また若手からでも挑戦できる案件もあるため成長機会も多く、給与水準も高く設定しているので、地方人財にとっては非常に魅力的な求人だと思います。

また近年は地方の金融機関や自治体との連携を強化し、多くの案件をご連携いただいています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

BTMの成長戦略

データベースを活用したマッチングの最大化

当社のデータベースには非常に多くの人材情報と案件情報が蓄積されています。

例えば、DXのニーズを抱えた企業が見つかった場合はそのプロジェクト情報がデータベースに登録されます。

そして当社の営業部隊は適切な人材をその企業に提供するために、ビジネスパートナーと常に情報を連携しながらマッチングを行っています。

今後はこの営業人材を増強するとともに営業エリアを拡大していくことで、情報量・データベースを強化しながら効率化を進め、マッチング総数を増やしていきたいと考えています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

独自ノウハウを活用した自律型フルスタックエンジニアの拡大

全国11ヶ所にあるラボ拠点を全国的に展開していくことで、地方エンジニアの採用を強化し、高単価人材である自律型フルスタックエンジニアの育成を行っていきます。

実は地方では通勤距離は東京に比べて通勤距離は短く、車や自転車で通勤する方が多いため、出勤に対する抵抗が少なく出社意欲が高いのが現状です。

拠点を設けることで社内外でリアルなコミュニケーションができる環境を作り、エンジニアの育成やクライアントとの接点を作っています。

実際に営業的な観点から、リアルな拠点があるということでクライアントからの引き合いも増えています。

今後も自律型フルスタックエンジニアの育成に力を入れ、採用力と育成力をさらに強化していく方針です。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

地方企業・自治体のDX推進

地方企業・自治体のDX推進を行い、地方創生と当社の成長を加速させていきます。

地方金融機関などとの連携をさらに強化し、地方企業の課題解決のためのソリューション提供を行っていきます。

金融機関からの連携によってお繋ぎいただいたクライアントは、DXへの必要性を感じている企業が多く、DXのフェーズも様々なので当社のサービスが役に立っています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

また自治体に関しては、自治体のDX窓口を当社が請け負いながら普及活動や啓蒙活動を注力して行っています。

例えば長野県小諸市では、DXの相談に関しては当社に一任されており、地元企業のDX支援に繋がっています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

M&Aにより成長を加速

成長を加速させるための戦略としてM&Aを推進していく方針です。

2024年3月期時点では未だ成約に至った事例はございませんが、当社とのシナジーを発揮できる企業を対象に20社以上の仲介業者からの提案を受けました。

当社のM&Aの要件としては主に3つあります。

まず1つ目の要件例は地方企業や自治体とのパイプがあることです。

まだ当社がアプローチできていない地域における企業や自治体との取引がある企業は、今後の事業拡大の上でともに成長できると考えています。

2つ目は次に当社の地方拠点を補完できる企業です。

当社が進出しているエリアでも、採用力のある企業をターゲットとしています。

最後にDX提案力・技術力です。

当社が保有していない提案力や技術力を補うことで、DX人財の育成や更なる案件獲得に繋がると考えています。

そしてM&Aした企業については、当社のカラーに染めるのではなく、それぞれの強みを尊重し、シナジーを活かした成長を目指しています。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

注目していただきたいポイント

当社のデジタルとアナログを両立させた事業展開に注目していただきたいです。

拠点を地方に設けることについて、投資家の皆様から「固定費が増えるだけで意味がないのではないか」という意見をいただくことがあります。

しかしデジタルとアナログを共存させることが重要な戦略であると当社は考えているため、積極的に地方拠点を展開しています。

主な理由は地方の企業と信頼関係を築くためにアナログ的なアプローチは欠かせないからです。

地方出身の方々なら理解しやすいと思いますが、地方の企業は保守的な考え方をすることが多く、外部から来た人間には簡単に心を開いてくれません。

そこで当社は現地で採用し、現地に根差した拠点を持つ事で、必要に応じてすぐに対応できる体制を整えています。

また地域ごとに動き方やスピード感も異なり、実際に拠点を出して現地に根ざして事業を行うことで特徴や風土を理解することができます。

そのため営業する際も頻繁に出張し、クライアントとの対面でのコミュニケーションを取りながら信頼関係を築いています。

世間ではITやデジタル、DXと言われていますが、最終的にDXを行うためにシステムを使うのはあくまでも人です。

例えば、導入したシステムを企業・自治体の方が「使えない・使わない」という場合には、説得やコミュニケーションが必要になってきます。

例えばAIが言葉を発しても人の心に響かないように、システムの導入だけでは本質的なDXは進みません。

アナログな手法が大切で、人と人のコミュニケーションが必要だと考えているため、地方のDXを推進する企業として拠点を積極的に展開しています。

このアナログな戦略でDXを進めることができるユニークな企業だとご認識いただき、ご興味を持っていただけたら嬉しいです。

株式会社BTM 2024年3月期 決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項) より引用

投資家の皆様へメッセージ

私たちの成長戦略は、デジタルとアナログの両立に基づいています。

特にアナログの部分は現場でのコミュニケーションや信頼関係の構築のためには、地域に根ざしたDX推進が不可欠で、一定の時間がかかります。

ただし、今後必ずその重要性が発揮されるタイミングが訪れるはずです。

投資家の皆様には当社のミッションやビジョンに共感し、中長期的な視点で応援いただきたいと考えています。

株式会社BTM

本社所在地:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷二丁目12番19号 東建インターナショナルビル別館5階

設立:2011年8月4日

資本金:174百万円(2024年6月アクセス時点)

上場市場:東証グロース市場(2022年12月27日上場)

証券コード:5247

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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