【3566】ユニフォームネクスト株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年8月9日に実施したIRインタビューをもとにしております。

ユニフォームネクスト株式会社は「ワークライフをハッピーに!」を企業理念に掲げ、オンラインを中心に業務用ユニフォームを販売しています。

代表取締役の横井 康孝氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

ユニフォームネクスト株式会社を一言で言うと

ユニフォームの常識を変え、日本の働くを変える会社です。 

ユニフォームネクストの沿革

ユニフォームネクスト株式会社代表取締役 横井 康孝氏

創業の経緯

当社の創業は、私の父が1994年に福井県で始めた小さな業務用ユニフォームの販売代理店を始めたところにまでさかのぼります。

地元企業を中心に、メーカーから仕入れたユニフォームを販売するという、当時としてはオーソドックスなビジネスモデルで事業を展開していました。

私自身は、元々は別の業界で働いていましたが、創業から3年後に当社に加わり、一緒に事業を進めてきました。

EC販売の開始

会社が成長するにつれ、代理店ビジネスの限界に直面しました。

2007年に社長職を引き継いだタイミングでは、売上2億円で運転資金としての借入が1億〜2億円で、社員数も約10人という零細企業でした。

福井県という小さな商圏で価格競争に巻き込まれていたため、持続的な成長は困難であると考え、インターネットを活用したユニフォームの販売を始めました。

従来のユニフォーム販売は、大口顧客への大胆な割引でリピート顧客を獲得し、小口顧客を相手にしないスタイルが主流でした。

そこで当社はECでユニフォームを販売するモデルを導入し、小口顧客に価格や対応など大口顧客と同等のサービスを提供することで、新たな市場を獲得できると確信しました。

既に、競合のユニフォーム販売サイトは存在していましたが、アパレルのECサイトのようにラインナップを取り揃えるばかりで、1つ1つの商品情報が薄く比較検討がし辛いサイトになっており、顧客が真に求めているニーズを汲み取れていないように感じました。

ユニフォームは一般的なアパレルとは異なり、BtoBかつ、機能や素材が重要視されます。そのため、詳細情報をしっかりとECサイトでも提供し、お勧めする商品を明確に伝えることが必要です。

そこで当社にも参入余地はあると考え、2008年10月に飲食店向けユニフォーム通販サイト「フードユニフォーム」を開設しました。

飲食店向けに特化したのは、私がランチェスター戦略にヒントを得て、1つの業界で1位になることを目指したからです。

さらに、私たちはEC販売だけでなく、オリジナルカタログを作成して全国の企業に配布するというオフライン戦略も展開しました。

オンラインだけでは届かない顧客層に対してもアプローチしたことが功を奏しました。

ユニフォームで働き方を変える

その後、事業の拡大にも積極的に取り組み、飲食業界向けのユニフォーム販売を皮切りに、作業服、医療用ユニフォーム、オフィス向けユニフォームなど、多岐にわたる業界に進出しました。

これにより、特定の市場に依存しない安定した収益基盤を築き、2017年7月に福井県内の企業としては初めて、東証マザーズ(現 東証グロース)に上場を果たしました。

しかし、更なる成長のためには単なるユニフォーム販売で売り上げを伸ばすだけでは物足りないと考えるようになりました。

その後、ある関係で知ったリンクアンドモチベーション社の、社員のモチベーションを高めることで企業の成長を後押しするという考えに共感し、「もしかしたらユニフォームにも、社員の士気を高める効果があるのではないか」と着想し、企業理念を刷新しました。

この企業理念を体現するため、近年は中堅中小企業を中心に社員のモチベーションを高めるための一つのきっかけとしてユニフォームを活用していただく提案を推進しています。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

ユニフォームネクストの事業概要と特徴

概要

当社のビジネスはECサイトを主軸にした業務用ユニフォームの販売です。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

飲食業や建設業、製造業、医療関係など、さまざまな業界に対するユニフォームを取り揃えています。

オンライン販売にとどまらず、オフラインでの顧客対応にも力を入れ、顧客の多様なニーズに迅速に対応する体制を整えています。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

事業における優位性

自社スタッフによるサービスの差別化

EC販売に関わる業務のほとんどを内製化し、同一拠点に集約することで、部門連携によるスピーディーで高品質な対応を実現しています。

コールセンターや物流、WEB制作やシステム開発など、全てが自社対応です。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

また、スタッフ全員が一貫して高いレベルのサービスを提供できることもポイントです。

小口顧客が大半を占める中で、どのスタッフが対応してもクオリティの高いサービスを提供できるよう、徹底した研修と教育を行っています。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

ユニフォームはリピート需要が高い商材であるため、顧客に安心感を与え、再度注文してもらえるようなサポート体制を整えています。

特に、WEBページの制作にあたっては、顧客が見やすく選びやすい商品ページを作っており、サイズの着用イメージや機能性、使用素材など細やかな情報を提供しています。

このように高いレベルの自社スタッフの存在が当社の成長を支えています。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

物流及び流通加工の迅速な対応

物流および流通加工においても、ユニフォームネクストは他社と一線を画しています。

ユニフォームはリピート商材であるため、在庫切れや納期の遅れが致命的です。

そこで当社では自社で在庫を管理し、迅速な出荷が可能な体制を整えています。

さらに、刺繍やプリント加工などの流通加工も自社で行っているため、顧客からの緊急の要望にも柔軟に対応できます。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

刺繍やプリント加工の技術については、クオリティの高さを重視して加工技術を積み上げています。

例えば、企業のロゴマークを入れる際には型の作成から始め、顧客から「かっこいい、凄い」と言っていただけるように、日々技術力を高めています。

このこだわりが顧客の満足度や信頼性の向上に繋がり、確実なリピート注文に繋がっています。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

人気商品に絞り込む在庫戦略

厳選した人気商品に絞り込んだ在庫戦略を採用しています。

一般的な代理店は在庫を持たないので、納品までに数週間〜数ヶ月かかってしまうケースも少なくありません。

一方、当社は需要の高い商品を確保しておくことで、発送までのリードタイムを短縮し、在庫切れのリスクを最小限に抑えつつ、必要とする商品を常に提供できる体制を整えています。

また、商品数を絞り込むことで、顧客が商品選びに迷うことなく、スムーズに購買決定ができるようにしています。

これは業務用ユニフォームの販売に特化した、当社ならではの戦略です。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

ユニフォームネクストの成長戦略

業界の特色と市場環境

ユニフォーム業界は、地方の代理店を中心とした従来型の販売モデルが依然として主流です。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

しかし、私たちは、こうした市場の特性を見極めつつ、EC販売に早期にシフトすることで、従来の枠を超えた成長を実現しました。

地域の代理店は訪問販売が主体で、EC化率は低いのが現状です。

また、地域の代理店は積極的な営業を行わず、長年の取引を継続しているだけというのがほとんどです。

さらに、代理店の事業承継の問題も発生しており、代理店数は減少傾向にあります。

そのため、今後も当社の拡大余地は大いにあると考えています。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

リピーター対策で安定した収益基盤を形成

リピーター対策に注力することで安定した収益基盤を築きます。

具体的には、既存顧客に対してメルマガやハガキなどあらゆる方法でアフターフォローを行います。

また、初回注文後のリピート注文時に生じるトラブルなどに対して、きめ細やかなサポートで責任を持って対応し、今後も安心してリピート利用できる体制を整えています。

このようにリピート率を向上させていくことが、1つ目の成長戦略です。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

ユニフォームEC化率の向上

ユニフォーム業界全体でのEC化は途上で、特にBtoB市場では多くの企業が従来の取引方法に依存しています。

市場環境についてお話しした際にも触れましたが、近年は後継者不足による代理店の廃業が増えてきました。

この当社にとって追い風でもある市場環境を利用し、WEB広告やDMカタログなどを通じて潜在顧客へのアプローチを進めながら、EC化率の向上を目指します。

ユニフォームネクスト株式会社 2024年3月 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

中小企業へのアプローチ

近年は従来の小口顧客に加え、中小企業へのアプローチを強化しており、ホールセール部門の拡充に力を入れています。

中小企業が課題として抱える、社員のモチベーション向上などに対して、当社のユニフォームを活用した提案を行うことで、新規顧客を獲得しています。

北陸三県(福井、石川、富山)を中心とした地域密着型の営業活動を展開し、それ以外の地域ではオンラインを活用した商談や提案を行うことで、全国規模での顧客獲得を進めています。

注目していただきたいポイント

当社はITエンジニアを抱えているため、自社でサービス開発が可能です。

「ユニネク」というSaaS型サービスを中小企業向けに開始しました。

これは企業の経理・総務部門向けのシステムです。

顧客企業の社員一人一人にアカウントを発行し、社員自身でユニフォームを簡単に管理・発注できるように設計されており、多くの企業に導入されています。

これにより、従来は経理部や総務部の仕事であったサイズ表の集計などの手間が省け、負担軽減を実現しました。

さらに、当社で販売している安全靴やヘルメットなどの周辺の商品についても、「ユニネク」を通じてクロスセルできるのではないかと今後の拡大に期待しています。

今後もサービスを拡充し続け、顧客満足度を高めるとともに、新たなビジネス領域を拡大させていくので、ぜひ当社の事業展開に注目していただければと思います。

投資家の皆様へメッセージ

当社はユニフォームを通じて日本の働く環境をより良くすることに貢献したいと考えています。

私たちの目標は、単なる商品提供に留まらず、働く人々のモチベーションを高め、企業を盛り上げていくことです。

当社のことをより多くの皆様に知っていただくために、定期的に会社見学ツアーを開催しています。

実際の仕事風景や取り組みを見ていただいて、「福井でこんなにも頑張っている会社があるんだ」と感じていただき、ご支援いただけると幸いです。

ユニフォームネクスト株式会社

本社所在地:〒910-0123 福井県福井市八重巻町25号81番地

設立:1994年4月21日

資本金:358百万円(2023年12月末時点)

上場市場:東証グロース市場(2017年7月19日上場)

証券コード:3566

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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