【6181】タメニー株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年5月22日に実施したIRインタビューをもとにしております。

タメニー株式会社は「よりよい人生をつくる。」という企業理念のもと、婚活・ウェディングを中心にお客様に寄り添ったサービスを展開しています。

代表取締役社長の栗沢 研丞氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

タメニー株式会社を一言で言うと

「よりよい人生をつくる」会社です。 

タメニーの沿革

タメニー株式会社代表取締役社長 栗沢 研丞

創業経緯

20年前の結婚相談所業界はHAT(恥ずかしい・あやしい・高い)という言葉もあり、お客様に十分満足いただける成果を実現できていないことも多々ありました。

そうしたなか、創業者で現代表取締役会長の佐藤が、世の中に信頼される婚活サービスを創出するという強い想いのもと、2006年9月に株式会社パートナーエージェントを創業しました。

なお、創業当時は大手ウェディング会社の100%子会社としてスタートしましたが、2008年5月には経営陣や従業員の共同出資で独立しました。

結婚相談所の全国展開と上場

結婚相談所としては、創業当時は関東を中心に展開していましたが、信頼されるサービスを広く提供するため、2011年には関西、東海、2012年には九州、2013年には北海道、2020年には東北に展開エリアを拡大しました。

また、創業時より情報の徹底的な管理が大切と考え、拠点拡大とともに、プライバシーマークを取得するなど、事業の透明性やガバナンスも追及してきました。

この他、2013年からは「OTOCON」というブランドで婚活パーティー事業も開始し、これは現在、結婚相談所の新規会員獲得のパイプラインにもなっています。

そして、着実に事業や収益を伸ばし、2015年10月には東証マザーズ市場(現 東証グロース市場)に上場しました。

コロナによる打撃と回復

上場後は持続的な成長を実現するため、婚活市場と相乗効果が見込める市場への参入を企図していました。

そのなかで、年間成婚者数3,000名を超える当社結婚相談所ともっとも相乗効果が見込めるウェディング市場で、かつ今後成長が見込めるカジュアルウェディング領域に参入することを決定し、2019年にカジュアルウェディングのプロデュースを行う株式会社メイションをグループ化しました。

この決定やグループ化は当社の事業規模を拡大させ、グループ化による効果も想定を上回る状況でありましたが、この翌年に新型コロナウイルス感染症が発生しました。

そして、当社カジュアルウェディング事業では施行の延期や中止が相次ぎ、財務的にも非常に大きなダメージを受けました。

これは、当社にとって非常に大きなターニングポイントとなりましたが、コロナ禍でのポジティブな変化もありました。

それは、リアルでの結婚式が行えないなか、フォトウェディングの需要が急増したことです。

そこで、株式会社メイションの次にフォトウェディングを行う株式会社Mクリエイティブワークスをグループ化し、フォトスタジオを全国に順次展開しました。

また、全社的にも事業構造や収益構造の抜本的な見直しに着手できたことで、企業としてより筋肉質な体質へと進化を遂げることができました。

この結果、新型コロナウイルス感染症により2021年3月期からの3年間は赤字となりましたが、2024年3月期には黒字転換を実現することができました。

タメニーの事業概要と特徴

概要

婚活事業、カジュアルウェディング事業、地⽅創⽣/QOL(Quality of life)事業1の3セグメントで事業を展開しています。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

婚活事業では、高付加価値な結婚相談所「パートナーエージェント」や業界最安水準の婚活パーティー「OTOCON」を展開しています。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

またカジュアルウェディング事業では安くて質のいい結婚式「スマ婚」や⾰新的で質の⾼い海外テイストのフォトウェディング「LUMINOUS」、結婚式二次会幹事代行サービス「2次会くん」を展開しています。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

そして地⽅創⽣/QOL(Quality of life)事業では、地方自治体向け婚活支援(婚活支援システムの提供、婚活支援センターの運営、各種イベント・セミナーの開催等)や、結婚後の生活品質向上に資するサービスの提供(保険販売含む)を行っています。

事業における優位性

⼀気通貫したサービス展開

婚活を起点にして相手を見つけて結婚式を行い、その後の各種ライフイベントまで様々なサービスを一貫して提供できる点が当社の強みです。

当社サービスを通じた成婚数や結婚式プロデュース数は、1年間で約7,300組であり、国内約48万組の婚姻組数のうち約1.5%をカバーしています。

この顧客基盤を活用して、ワンストップで新婚生活から子育てまでサポートするサービスを提供しています。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

高い成婚率

婚活事業はサブスクリプション型のサービスモデルです。

そのため会員様には長く在籍してもらう方が良いと考えるのが一般的です。

しかし、当社は創業時から成婚率にこだわってきました。

何よりも会員様のためを考えると、最優先すべきは相手を見つけることです。

そこで当社コンシェルジュは会員様に寄り添い、会員様との間でPDCAサイクルをしっかり回すことで、ともに成婚を追求していきます。

また、マッチングの精度を高めるためにAIを活用したシステムを自社で開発しています。

具体的には、会員様が自分で相手を検索するだけでなく、AIが相性の良い相手をお勧めします。

会員様には活動を始めるにあたり「EQアセスメント」と呼ばれている診断テストを受けていただき、その結果をもとに思考・価値観・相手に求める条件等を細かく分類し、レコメンドのデータに活用していきます。

このコンシェルジュとシステムがあるからこそ、結果的に約4人に1人が成婚に結びつくという高い成果が実現できていると考えています。

なお、先ほどもお話したように、結婚式や結婚後のライフサポートも行っているため、ロイヤリティを高めたコンシェルジュがカジュアルウェディングや保険への送客を精度高く行うことができるのもポイントです。

このように婚活の先のサービスを持っているからこそ、婚活事業のマネタイズだけに拘らず、お客様のニーズに寄り添ったサービスを展開し、LTVを高めることができます。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

カジュアルウェディングの広がり

当社のスマ婚(カジュアルな挙式披露宴、少人数挙式等)は高い認知度がある上に、会場費用を抑えるための独自ノウハウがあります。

一般的な挙式費用が平均約327万円であることに対し、スマ婚では平均約200万円と安く開催することが可能です。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

また当社のLUMINOUS(フォトウェディング)に関しては、海外テイストで高品質なサービスを提供しています。

現在は全国7拠点で様々なスタジオセットをご用意していますので、お客様の多様なニーズにも十分対応できると考えています。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

さいごに、2次会くん(結婚式二次会幹事代行)は会場探しからパーティー企画、当日運営、アフターフォローまで結婚式二次会のすべてをプロデュースします。

この領域では2次会くんはパイオニアであり、累計150万人以上のお客様にご利用いただいていること、それによる豊富な知見やノウハウは非常に大きなアドバンテージであります。

タメニーの成長戦略

競争⼒・⽣産性強化

婚活事業

結婚相談所は入会者数、成婚者数を業界屈指に成長させていきます。

そのためには、全国的に出店を拡大させていきたいと考えていますが、投資の観点から自前での出店は難しい状況です。

そこで初期費用を抑えることができるフランチャイズでの店舗展開を進めていく予定です。

パートナーとしては、結婚相談所事業に興味を持たれており、社会性が高く今後重要な事業と認識されている企業が参画していただける予定で、すでに2024年6月に第一号店として町田店もオープンしました。

今後結婚相談所の拠点数を約1.5倍程度まで拡大し、全国での競争力を高めていきたいと考えています。

また婚活事業においては、かなり人に頼ったアナログ作業が多いのが現状です。

そこでAIやRPAを活用しながらDX化を進め、コンシェルジュの作業工数を減らしていきたいと考えています。

カジュアルウェディング事業

カジュアルウェディングは婚姻組数の約2%へのサービス提供を目指しています。

このため、新ブランドを立ち上げ、今後リリースする予定です。

これはブライダル業界全体がコロナ禍を経て変化し、婚姻組数が減少する中でマーケットを動かす可能性が高いブランドだと期待しています。

公表前であるため詳しい内容については控えますが、今後のウェディング業界のゲームチェンジャーになり得るサービスだと考えています。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

⼈的資本・財務資本強化

人的資本への投資に関しては積極的に行っていきます。

転職が当たり前の時代の今、人材は非常に重要で、今後は社員のロイヤリティとエンゲージメントを高めていく必要があります。

足元では稼ぐ力をつけていくことを最優先で考え、将来的に社員や株主に還元していきたいと考えています。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

社会との共⽣推進

当社は地⽅創⽣/QOL(Quality of life)事業において、地方自治体向け婚活支援に関連する業務を多く受託しています。

人口減少が深刻化している自治体では県庁が婚活支援センターを設け、積極的にイベントやセミナーを含む婚活支援を展開しています。

そこで当社は2020年から地方自治体向け事業を強化し、12都府県が当社の婚活支援システムを導入しています。

システムは各自治体のご要望に合わせてカスタマイズして提供しています。

また6都道府県の婚活支援センター運営も受託していることに加え、イベントやセミナーの開催も受託し、地域密着型で事業を行っています。

今後もこのシステム運用からイベントやセミナーの開催までワンストップで行うことができる唯一の企業として、社会との共生を進めていきます。

タメニー株式会社 2024年5月10日 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

注目していただきたいポイント

当社のHRポリシーに注目していただきたいです。

具体的には「心のきれいさ」「働き方の多様性」「成長への期待」「職場型モチベーション」「期待役割主義」です。

このHRポリシーを社内に浸透させ、採用にも反映させています。

そのため当社には非常にホスピタリティが高く、思いやりを持っている社員が多いと思います。

この取り組みは、お客様に対するホスピタリティを高め、今後の事業拡大への基盤構築に繋がっています。

婚活事業に関しては競合他社も多く、競争も激しい環境ですが、私たちは正攻法で事業を進め、着実に業績を伸ばしていきたいと考えています。

投資家の皆様へメッセージ

過去3年間は新型コロナウイルス感染症の影響で大きなダメージを受けましたが、4年目となる2024年3月期は黒字転換を果たしました。

これからが反転攻勢の期間です。

今後は結婚相談所の店舗数も増やし、コロナ禍で抑えていた広告費予算をコロナ前の水準まで引き上げ認知度を向上させます。

また採用数も増やしながら、社内ではDX化で効率化を図り、生産性を上げていきます。

今年度は反転攻勢の起点となる年ですので、ぜひご期待いただければと思います。

タメニー株式会社

本社所在地:〒141-0032 東京都品川区大崎1-20-3イマス大崎ビル 3階

設立:2004年6月15日(創業:2006年9月15日)

資本金:44百万円(2024年5月末時点)

上場市場:東証グロース市場(2015年10月27日上場)

証券コード:6181

  1. ライフ&テック事業のテック分野(婚活事業者間の相互会員紹介プラットフォーム等)は関連性が⾼い婚活事業と統合。ライフ&テック事業のライフ分野(保険販売、⾦融・不動産紹介等)は社会性が⾼い地⽅創⽣事業と統合し、地⽅創⽣/QOL事業へ名称変更した。
    出典:タメニー株式会社 2024年3月期 決算説明・第二次中期経営計画説明資料 ↩︎

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

目次